TVアニメ「ユーリ!!! on ICE」第11話・第12話のあらすじを、画像多いめで内容濃くしっかり紹介しています。完全ネタバレなので注意してください。
【第11話】出場選手たちを見守るヴィクトルの胸の内
▲グランプリファイナル出場の6選手
ついにグランプリシリーズ最終戦、バルセロナ大会が開幕です。
出場選手は、第6位通過の日本の勝生勇利。中国大会2位、ロシア大会4位の成績。昨年に続く2度目のファイナル出場。第5位通過はタイのピチット・チュラノン。アメリカ大会4位、ロシア大会優勝の成績。ファイナル初出場。
第4位通過はロシアのユーリプリセツキー。カナダ大会2位、ロシア大会2位の成績。昨年のジュニア大会金メダリストがシニアに参戦。第3位通過はスイスのクリストフ・ジャコメッティ。中国大会3位、フランス大会優勝の成績。昨年のファイナル銀メダリストが、初制覇に挑みます。
第2位通過はカザフスタンのオタベック・アルティン。アメリカ大会2位、日本大会優勝の成績。ファイナル初出場。第1位通過はカナダのジャン・ジャック・ルロワ。カナダ大会優勝、ロシア大会優勝の成績。ショート+フリーで4回転を6回跳ぶクワッドジャンパー。
▲いよいよ最後のSP
SP第1滑走は、6位通過の勇利から。ヴィクトルが勇利のペアリングに力を注入します。考え事をするとジャンプミスしがちな勇利が、何も考えなくてもいいおまじないを込めたペアリングです。
どんな結果になるにせよ、勇利がこのSPを滑るのはこれが最後。
▲落ち着いた表情で滑り出す勇利
中国大会、ロシア大会とパーソナルベストを更新してきたSPですが、ここで勇利はジャンプの構成を変更しました。
クワッドジャンパーのJ.J.の構成に比べると、これまでの構成では基礎点で及ばないからです。
▲金メダルを狙い、果敢に4回転フリップに挑む
金メダルを狙うため、SPでも4回転フリップに挑みます。思わずリンクサイドのヴィクトルも一緒に跳びますが──
▲回転は足りているものの、着氷で手をつくミス
着氷で手をついてしまいます。これは減点対象。
▲全身で悔しさをあらわす勇利
演技後、険しい表情を浮かべ氷に突っ伏して、全身で悔しさをあらわにする勇利。いかに勇利がこのファイナルで金メダルに執着しているかがうかがえるシーンです。
そんな勇利の姿を見ながら、ヴィクトルは思います。
──いつだって新しい気持ちで滑っていれば、みんな驚いてくれる。自分の首を絞める枷でもあった。新しい強さは自分でつくりだすしかない。ずっとそう思ってた。
今は勇利を通して、新しい感情がオレのなかに流れ込んでくる。勇利にこれから与えるべきものは何だろう。
勇利のコーチをすることで、ヴィクトルに今までなかった新しい気持ちが流れ込んでくる──新しい気持ちを自分の強さに変換して戦ってきたヴィクトルにとって、これは嬉しい驚きだったでしょう。
勇利から受ける影響が、確実に自分を強くしていると感じているヴィクトルの心には、現役復帰の望みがムクムクと膨れ上がっています。
と同時に、自分を育てる勇利の存在も忘れていません。勇利の今後に関与し続けたい気持ちもあります。ヴィクトルが勇利を手放す気のないことが、ここでハッキリ分かります。
▲タイ人初のグランプリファイナル進出にワクワクしているピチット
勇利に続く第2滑走者はピチット。ピチットは金メダルよりも、これから自分が歩む道をワクワクしながら進むことを選びます。
構成点をあげるよりも、エンターテイナーとしての完璧さを追求。結果、勇利よりも低い点数に終わるも、終始、笑顔にあふれていました。
▲ヴィクトルの振り付けを完璧に自分のものに
第3滑走者はユリオ。これまでユリオはこのSPの表現に悩み、自分の経験不足を痛感してきました。
▲ユリオの滑りを真剣な面持ちで眺めるヴィクトル
今回のユリオはすべてのエレメンツを最高の状態に仕上げ、完璧な滑りを見せます。そんなユリオの演技を、ヴィクトルは一人、じっと見つめています。
ヴィクトルがいないことに気付いた勇利が探しにきて、彼の後ろ姿に声をかけようとして気づきます。いつもの余裕のあるヴィクトルではなく、今はピリピリと厳しい空気をまとっていることに。
▲ヴィクトルのもつ世界歴代最高得点を更新!
ユリオの得点は118.56。ヴィクトルの持つ世界歴代最高得点を更新します。
▲グランプリファイナルの常連クリスはさすがに強い
続く第4滑走者はヴィクトルの盟友クリス。
勇利だけでなく、クリスのスケート人生にもいつもヴィクトルがいました。ヴィクトル不在の今季をクリスは少しつまらなく感じています。
──ヴィクトル、そこで見てな!
クリスは滑りでヴィクトルを挑発します。リンクに戻ってこいとの期待を込めて。
▲クリスの挑発はヴィクトルに届いている?
選手たちの演技を見つめるヴィクトルの様子に、勇利は微妙な変化を感じ取ります。
独自色の強い演技を披露する、オタベック・アルティン
▲誰にもない表現力がオタベックの武器
続く第5滑走者は、なんとあのユリオと友達になったオタベック。ユリオの声援に、親指を立てて演技に臨みます。
感情を表に出さないタイプのオタベックですが、その演技の表現は独自色が強く、今回のグランプリファイナルではダークホース的な存在と期待されています。
じつはオタベックの独自性は、バレエが上手く踊れないという挫折からつくりあげられたもの。バレエを学ぶことを辞め、バレエの才能に恵まれた人たちのできないことを追求してきた結果です。
ヴィクトル「いいね彼。とってもエキゾチックだった。すごく新鮮!」
と、ヴィクトルもべた褒め。オタベックはパーソナルベストを更新。
▲自信家のJ.J.をファイナルの魔物が襲う
最終滑走者はJ.J.。これまで絶好調だったJ.J.を、ファイナルの魔物が襲います。前走のオタベックの滑りがチラついたり、他の選手たちの高い壁を感じてしまったり──。
観衆の声援を味方に調子を取り戻そうとするも、最後の4回転も失敗。SPの得点は最下位に沈みます。
▲SPの結果
グランプリファイナル初日、SPの結果は、ユリオが首位。そして勇利はオタベック、クリスに続く第4位。
【第12話】グランプリファイナル最終戦。勇利の順位は?ヴィクトルとの今後は──?
勇利とヴィクトル、実質上の別れ話
▲勇利は真剣な面持ちで引退を告げる
グランプリファイナル初日の夜。お風呂上りのヴィクトルを、話があると勇利が呼び止めます。
勇利「ファイナルで終わりにしよう。ヴィクトルは、もう十分ボクのためにやってくれたよ。おかげで、ボクのラストシーズン、全力で挑めた。今までありがとう、ヴィクトル。コーチお疲れさまでした」
ペコリと頭を下げた勇利の目がとらえたのは、ヴィクトルの足に落ちる大粒の涙。
▲ヴィクトルの反応はなんと涙──
ハッと視線を上げると、ヴィクトルの両目からぞくぞくと涙がこぼれ落ちています。予想外の反応に勇利は目を丸くして「ヴィクトル?」と呼びかけます。
ヴィクトル「あーぁ。勝生勇利が、ここまで自分勝手な人間とは思わなかった」
勇利「はい。自分勝手に決めました。引退します」
▲珍しいヴィクトルの泣き顔を、ついのぞき込む勇利
はぁ・・・と、諦めたように息を吐いたヴィクトルの前髪を上げて、勇利がのぞき込んできます。4歳年上の、世界選手権5連覇の、いつも自信に満ちたリビング・レジェンドの涙がよほど意外だったのか、勇利はつい奇行に走り、それをきっかけにその場の緊張も一気にほどけます。
ヴィクトル「勇利、何やってるの?」
勇利「いやぁ、ヴィクトルも泣くんだと思って・・・」
▲泣きながら怒るヴィクトル
ヴィクトル「怒ってるんだよ、オレは!」
勇利の手をはねのけて、ヴィクトルは言葉を荒げます。
勇利「グランプリファイナルまでって言ったのは、ヴィクトルだろう?」
ヴィクトル「もっとオレの力を必要としてるのかと思ってた」
勇利「ヴィクトルは競技復帰しないの?ボクのことはもういいから──」
ヴィクトル「自分は引退して、オレには競技を続けろなんて、よく言えるよね!?」
ヴィクトルのおかげで、充実したグランプリシーズンを送れた。それは紛れもない本音でしょう。そして、ヴィクトルが競技復帰したがっているのも察してしまった──。ヴィクトル以上のコーチは望めないと勇利は知っているし、それなら自分が引退するのが誰もが納得する解決策だと──これが勇利の考えでしょう。
勇利のなかには、ずっとヴィクトルを独占したい気持ちはあるけれど、そこはヴィクトルの望みを優先したいと日本人的謙虚さを発揮してしまったわけです。
一方ヴィクトルは、勇利のコーチを辞めたくないと思っているし、勇利も同じ気持ちだと信じていました。そこにいきなり勇利からの引退宣言で、考えがまとまっていない様子です。
この後の話し合いで二人は、フリーが終わったら、それぞれ自分で答えを出すと決めました。
男子フリーが開幕!
▲実際のTV中継さながらの演出がにくい!
ついに迎えたグランプリファイナル男子FP。サグラダファミリアをバックにリポートするのは、トリノオリンピック銀メダル、世界選手権優勝のステファン・ランビエールさん。
実在の選手を起用し、声まで担当してもらうというこだわりの演出で、リアルな臨場感を盛り上げます。
▲SPから大崩れのJ.J.は、FPの最後には自分らしさを取り戻す
SPで大きく出遅れたJ.J.は、フリーでも出だしで失敗してしまいます。それでも自分らしさを曲げず、他の選手の自滅を待つよりは自分から勝ちにいきたいと、最後はより高度なジャンプに挑戦。
J.J.のFPの点数は213.91。失敗があったにもかかわらず、高得点をマーク。
それを見つめる会場のエミル(チェコ)、ミケーレ(イタリア)、ネット中継でイ・スンギル(韓国)。
▲スケート仲間たちの戦いに、勝ち負け以上の価値を感じている勇利
勇利も出番に備えてスケート靴の紐を締めます。
──グランプリファイナルが終わっても、まだ何年も彼らの戦いは続く。完結しない物語ほど、魅力的な物語はない。
同じ時代を生きる選手たちは、さまざまな大会でぶつかり、あるときは勝ち、あるときは負け──。皆が自分のできる最高の演技をぶつけて切磋琢磨を続けてゆく。
一人で戦っていると思っていた昨年までは感じることのなかった、ライバルたちとの魅力的な物語を紡いできた充実感を覚えるとともに、その輪から零れ落ちようとしている自分を寂しく思っているような、そんなモノローグ。
▲今できる最高の演技を目指すピチット
ピチット「このグランプリファイナルでボクは誰にも似てない。自分が一番目立つ自信があるよ!」
ピチットは、まだ4回転は1種類しか跳べないけれど、タイの伝統舞踊を取り入れた振り付けで、自分らしさをアピールします。
勝生勇利、最後のフリープログラム
▲会場に入るときも目をそらしたままの二人
ついに勇利の出番です。
勇利が自分勝手に引退宣言してから、二人は気まずいまま。目を見合わせることもしません。
▲「これは今言おうかすごく迷ったが──」
ついに迎えた、コーチとして最後の送り出しの瞬間。ヴィクトルは「大丈夫、勇利なら金メダル取れるよ。自分を信じて」と、コーチらしい言葉をかけます。すると勇利の反応は──
勇利「ねぇヴィクトル、前に言ったよね。ヴィクトルにはヴィクトルでいてほしいって。今さらそんなコーチらしいこと言おうとしないでよ。最後は笑ってリンクに立ちたい」
引退を決めた勇利の最後の望みは、コーチではなくヴィクトル個人としての言葉。それなら──と、ヴィクトルは一呼吸置いてささやきます。
ヴィクトル「勇利、よく聞いて。これは今言おうかすごく迷ったが──。世界選手権5連覇のオレが休んでまでコーチしたのに、今まで金メダルひとつ取れないって、どういうこと?」
▲ここに来て、戦績に不満を言うヴィクトル──いかにもヴィクトルらしい
思わず目を見合わせる二人。
確かにヴィクトルの言う通りで、勇利は中国大会2位、ロシア大会4位の成績。国内予選で優勝の賞状はもらったけれど、金メダルはいまだなし。
▲あぁ、いつものヴィクトルだと、思わず笑みがこみあげる
ヴィクトル「いつまで予行演習やってるつもりだい?金メダルにキスしたいなぁ」
いかにもヴィクトルらしい言い方に、思わず勇利はヴィクトルに体をあずけて笑い出します。遠目に見ているアナウンサーは「どうしたんでしょうか勝生選手、泣いているようにも見えますが」と。たしかに、少し安堵の涙も混じっていたかもしれません。
そして二人は右手と右手をしっかり握りしめ、そっと手を離します。このとき、ヴィクトルの手が少し追いかけるように伸びるのが、彼の心情を繊細に表しています。
▲輝く右手のリング
いよいよFP。勇利の最後の演技が始まります。
──もう、ゴールは決めた。
ボクの名前は勝生勇利。どこにでもいる日本のフィギュアスケート選手で24歳。
▲勇利は人生の半分以上をヴィクトルを目指してきた
「YURI on ICE」の演技中、勇利はこれまでのスケート人生を振り返ります。
──ボクの人生は、もう半分以上ヴィクトルを目指してた。ヴィクトル、連れてきてくれてありがとう。ヴィクトルだけじゃない。
そういえば4回転サルコーは、ユリオに教えてもらったジャンプでした。
ジャンプの構成を、さらに高得点が狙えるものに変更していることに、ヴィクトルが気づきます。
▲金メダルを取りたい一心でジャンプ構成をより高難度に
トリプルループからトリプルフリップに変更。
──ノーミス以上の演技をしないと、金メダルの可能性はない。SPの後ずっと考えてきた。競技人生最後のフリーは、ヴィクトルのフリーと同じ難易度に挑んで終えたい。
トリプルフリップから4回転トゥループに変更。
勇利もまた、他の選手の自滅を待つのではなく、自分の滑りで金メダルを掴みに行きます。ヴィクトルと同じ難易度を滑ることで、ヴィクトルがコーチをしたこの8カ月がムダではなかったと、ヴィクトルの有能さを世界に証明して見せるために。
▲果敢に攻める勇利の滑りから目が離せない
「1本増やして4本跳ぶつもりか?勇利」どんどんジャンプの難易度を上げる勇利から目が離せないヴィクトル。
▲「終わりたくないよヴィクトル」
──気がついた?ヴィクトル。終わりたくないよヴィクトル。ずっと一緒にスケートを続けたい。ボクのコーチでいることは、競技者としてのヴィクトルを少しずつ殺してるのと同然だ。ボクの中にいるヴィクトルを見てて。ヴィクトルがコーチになってくれたことは無駄じゃない。それを証明できるのは、世界中でボクしかいない。
勇利の本音が漏れます。競技復帰を望むヴィクトルの願いを叶えたい。そのためには自分が引退するしかない。けれどやっぱり──ずっと一緒にスケートを続けたい。
▲4回転フリップ、ついに成功!
最後のジャンプはヴィクトルの代名詞・4回転フリップ。今まで試合で成功したことのない技を、ついに完璧に成功させます。
▲ヴィクトルの表情に勇利も気づいているはず
最後のポーズで伸ばした左手の先には感激の表情のヴィクトル。
▲勇利、歓喜の雄たけび!
今までなかなか思うような演技ができなかったFPで、ようやく完璧な演技ができ、歓喜の叫びをあげる勇利。
ついに勝生勇利のスケート人生の集大成ともいえる「YURI on ICE」を完璧に滑り切りました!
▲高得点をマークし、勇利が1位に躍り出る
勇利の得点は221.58。ヴィクトルがもつ歴代最高得点を塗り替えました。ここで勇利は一気にトップに躍り出ます。
▲「競技者としては最高に面白くないね」
キス&クライで勇利の得点を見たヴィクトルは、握手を交わした手を引き寄せ勇利の耳元でささやきます。
ヴィクトル「おめでとう勇利。二人のユーリにオレの記録を抜かれるのは、振付師兼コーチとしては最高に嬉しいが、競技者としては最高に面白くないね」
ヴィクトルは競技復帰を告げ、勇利のことは勇利の判断にゆだねます。
▲勇利に自分のパーソナルベストを軽く越されて面白くないクリス
次の演技者はクリス。勇利の得点に興奮冷めやらぬ会場で滑るのは、ベテランのクリスでもやりにくそうです。楽しそうにする勇利とヴィクトルの姿を見るにつけ、さらに心が乱れます。
しかし、そこはさすがにクリスです。ポイントが加算される後半にコンビネーションを入れ、最後はしっかり会場を盛り上げます。
▲自分だけの表現を追求するオタベック
オタベックの演技が始まり、最終演技者のユリオがリンクに向かいます。オタベックは4回転すべてを成功させます。
ヴィクトルがユリオに託した思い
▲強引にヤコフに話しかけるヴィクトル
廊下でヤコフを見つけたヴィクトルは、慌てた様子で声をかけます。
ヴィクトル「ヤコフ、話したいことがあるんだ」
ヤコフ「今か?後にしてくれ、これからユーリの出番だぞ」
ヤコフがこう言うのは当然ですが、ヴィクトルにも火急の要件がありました。ヤコフに競技復帰を告げると、ユリオはその意味を汲み取ります。
ユリオ「オイ、それってカツ丼が引退するってことか?」
ヴィクトル「引退は勇利が決めることだ。グランプリファイナルが終わってから決めると言ってた」
ほんの少し唇をゆがませ、ヴィクトルはユリオをハグします。
▲おまえだけが頼りだと言わんばかりの2段階ハグ
最初は軽く、続いてぐっと力をこめて。勇利に強いライバル心をもつユリオなら分かってくれると信じて、言葉にならない思いを伝えます。
このときヴィクトルがどんな表情をしていたのか、ユリオに何を伝えたかったのかは、ハッキリと描かれていません。
でもきっと、
「ユリオ頼む、勇利の金メダルを阻止してくれ。勇利が引退してしまう!」
12歳年下のユリオに、どこかすがるような表情でそう伝えたかったのでは。これが、ヴィクトルの火急の要件だったのです。
▲バレエ表現に頼らない、オタベックだけの個性的な魅力
──今こそおまえの舞台に駆け上がるときだ。全世界がおまえを待っている。おまえが何を望んでいたか忘れるな。今こそ出発するときだ。おまえの夢を満たせ。おまえだけがそれを実現できるのだ。生きろ、おまえの生を。踊れ、おまえの夢を。歌え、歌え、おまえ自身の歌を。やりつくせ、遊びつくせ。見つけだせおまえの道を。そしてその上を行け。始まりのときは今だ。自分を生き抜け。始まりのときは今だ。おまえのための時間だ。
オタベックの演技に合わせて語られるヴィクトルの独白は、すべてのスケーターに向けたもの。なかでもとくに、同じロシア生まれの年若いユリオに向けたものでしょう。おしきせでない、自分の生から湧き出る表現をしろ、と。
▲勇利を失いたくないのはユリオも同じ
最終演技者のユリオを残して、勇利は現在トップ。勇利の金か銀は確定です。
──勇利、よく見てろ!
ユリオの気迫のこもったFPが始まります。
この期に及んで、ちょっとしたネタバレが。
思えばユリオが初めて登場したのは第1話。勇利がトイレで一人泣いているときに、なぜか思い切りドアを蹴り、出てきた勇利に「ユーリは二人もいらない。さっさと引退しろバーカ!」と一方的に怒鳴り散らしていったのが最初でした。
▲昨年のグランプリファイナルでは最下位に沈んだ勇利
昨年のグランプリファイナルでの勇利の演技をユリオは生で見ていて、その表現力にじつは心惹かれていたのです。
昨年ユリオはまだジュニア部門だったので、勇利の演技をじっくり観賞することができたのでしょう。
▲ジュニア部門のユリオはシニアの演技をじっくり見る時間があった
──ユウリ・カツキ。さんざんジャンプ、ミスってんのに、心を掴みにくるステップ。ノーミスで観たい。どんなヤツなんだろう?
好奇心にかられ、後をつけてトイレに入ったユリオが見つけたのは、個室でひっそり泣いている情けない勇利でした。
──だっせぇ、泣いてんのかよ!
そして、つい罵ってしまったと。
▲ヤコフから視線をそらすと、そこに勇利を発見
ちなみに、第1話でのヴィクトルとの会話から、ユリオがステップシークエンスを苦手にしているのが分かります。
ヤコフからの説教に、あーうるさいとばかりにユリオは横を向いて勇利を見つけ、さらにその視線を辿ってヴィクトルも勇利に気付きます。ヴィクトルが勇利に「記念写真?いいよ」と声をかけたのは、ユリオのおかげとも言えます。
演出が本当に細かく、よく練られています。
▲「豚に食わせる金メダルはねぇ!」
ユリオはヴィクトルより早く勇利の才能に気付き、最初から勇利をライバル視していたのですね。だからこそ勇利の引退に怒るのです。
──金メダル取れたらやめんのか。ヴィクトルの点越えられたら、他はどうでもいいのか?ふざけんな。オレをがっかりさせんな。豚に食わせる金メダルはねぇ!
▲氷上の仲間に声援を送る勇利だが──
最初は「ユリオ、がんばー!」と声援を送っていた勇利。
▲転倒してもすぐに起き上がる
後半に入り、ジャンプをミスっても歯をくいしばって果敢に演技するユリオ。
──勝生勇利、見てるか。おまえの記録はいつか絶対オレが抜く。今、引退したら一生後悔させてやる、バーカ!
▲気迫の演技でフィニッシュ
途中、転倒したものの、力を出し切ったユリオは演技後に感極まって嗚咽を漏らし──。
▲言葉を失いただ茫然とユリオを見つめる
ユリオの渾身の演技に引き込まれ、ついに呆然と目を見張るばかりの勇利。ユリオの演技が勇利の心を動かしたようです。
ヴィクトルが勇利やユリオを含めたライバルたちの奮闘に心動かされて競技復帰を決めたように、勇利もまた、ユリオの迫真の演技にともに戦いたい気持ちにかられてしまったのでしょう。
勇利は銀メダルを獲得。ヴィクトルとの関係はどうする?
▲男子フリー総合得点の順位
SPとFPの総合得点。ユリオは僅差で勇利を上回り、金メダル。勇利は銀メダルを獲得しました。
▲銀メダルをヴィクトルに捧げる勇利
表彰式の後「金メダルじゃ、ないけど」と、銀メダルをヴィクトルの首にかけようと近づく勇利を出迎えるのは──
▲勇利の銀メダルに上機嫌のヴィクトル
ニッコニコのこの笑顔。
ユリオの頑張りのおかげで、勇利の金メダル獲得は阻止されました。つまり、ヴィクトルにはまだ勇利の金メダルを目指してコーチを続ける理由があると言いたいわけです。それまで引退なんてさせないよ?と。
ヴィクトル「金メダルじゃないと、キスする気になれないなーオレ!」
▲「勇利からなにか提案はないかな?」
(それなら、オレのコーチ続行だよね?)と言いたげに、言質を取りに満面の笑みでぐいぐい迫ります。
ヴィクトル「あー勇利の金メダルにキスしたかったなぁ。こんなんじゃコーチ失格だよ。勇利からなにか提案はないかな?オレがドキドキするようなの──あ、今なに考えた?」
▲「ボクと一緒にあと1年、競技生活続けてください」
ここまで言われたら、ユリオの演技を観ながら競技生活を続けたいと願ってしまった自分の気持ちに逆らえません。
迫るヴィクトルを、意を決して逆に押し戻してきっぱり言います。
▲「金メダル、絶対取ります!」
勇利「ヴィクトル、ボクと一緒にあと1年競技生活続けてください。金メダル、絶対取ります!」
あと1年と、またしても短い期限を切る勇利に「いいねぇ、もう一声!」と、ヴィクトルは今度こそ遠慮しません。
▲「ワリに合わない──でしょ?」と言いたげな表情
ヴィクトル「競技続けながらコーチ復帰するんじゃ、前みたいに戻れるか、オレだって不安なんだよ。世界選手権5連覇ぐらいしてもらわなきゃ、ワリに合わない」
最低でも5年は続けるよ?──と。
▲「──うん」
──うん。ヴィクトルらしい強気発言に勇利の意地も吹き飛び、代わりに嬉し涙がこみあげます。
▲競技翌日。勇利のエキシビション
勇利のエキシビションは、昨年のヴィクトルのFP「離れずにそばにいて」。今の勇利ならヴィクトルと同じ難易度のジャンプを入れて演技することができます。
キレのあるジャンプを3度ほど決めると、そこに滑り込んできたのは去年の試合で身に着けていた紫の衣装を着たヴィクトル。
▲途中からヴィクトルとのペアプログラムに
二人は近い距離で一緒に踊り始めます。見つめ合ったり、リフトしたり・・・これは本来男女で踊るペアの演技ですね。
▲息の合った演技を披露
息ぴったりな演技を披露する二人。エキシビションは競技の翌日に行われるので、きっと朝からしっかり練習して仕上げてきました。
さて、この夜のバンケットで一体何が起きたのか──想像しながらニヤけておきましょう。
ラストシーンはヴィクトルの故郷ロシア
▲競技復帰するヴィクトルに合わせて拠点はロシアに
ラストシーンは、ヴィクトルの故郷ロシア。服装からして4月ごろでしょうか?橋のたもとにヴィクトルとユリオが勇利を待っています。
▲夢に向かって真っすぐ進む勇利
そこにマッカチンと一緒に息を切らしながら走ってくる勇利。
──一人で抱えるには大きすぎる夢じゃなきゃ、たどり着けない場所がある。ボクらは愛と呼ぶ。氷の上のすべてを。
▲ずっと一緒に歩みたいヴィクトル
勇利を見つけたヴィクトルが、左手を上げて大きな声で名前を呼びます。
ヴィクトル「勇利!」
大きすぎる夢に向かって二人は、今季も一緒に挑みます。愛を知った二人は、どちらも幸せな笑顔です。
