2019年1月~放送のアニメ「どろろ」。第10話「多宝丸の巻」の詳細なあらすじと見どころを紹介します。1969年版ではかなり嫌なヤツだった多宝丸。今作では意外といい子なんですよ! あわせて感想もどうぞ!【注意】完全ネタバレです!

第10話/「民が苦しんでいるのに、放っておけと申すか!」おお、勇ましい!



「多宝丸の巻」

tahoumaru no maki

 

山は緑に覆われ、清水が流れ、小金の稲が実る豊かな地、醍醐領。百鬼丸の父・醍醐景光が治める土地です。その豊かさは、百鬼丸の腕や脚を鬼神に捧げることで実現してきたものでした。稲穂に実がつきはじめたというのに、今年は例年になく雨が降らず、このままでは十分な収穫が見込めません。その原因を、景光は知っています。

 

なにしろ、鬼神像が集う地獄堂に雷が落ち、1体また1体と鬼神像は割れていき、そのたびに厄災が起きているのですから──。もしやと思い、16年前に失踪した産婆と産婆が川に流したはずの赤子を、景光は秘密裏に忍びに探させていました。

 

忍び「かつて城づとめをしていた産婆から両腕、両足のない赤子を川に流したと聞いた者がおります。さらに3日ほどまえ、朝倉の密偵を追っていた組頭が、何者かに襲われ、深手を負いました。組頭によれば、その者の両腕は、作り物であったと」

 

これが前回、第9話でのラストに語られていたことです。「朝倉の密偵を追っていた組頭が、何者かに襲われ、深手を負いました」って、これ第6話の最後で、ミオを失った百鬼丸が獣の唸り声をあげてつぎつぎ侍を斬り倒していったときのことですね。あのとき、百鬼丸が鬼神になってしまわないかと恐ろしくなったどろろが百鬼丸を止めました。ミオの種もみを手に「ねぇちゃんは負けてねぇ、だからアニキも負けねぇでくれ!」と。それで百鬼丸の手が止まった隙に、一人だけが寺の石段を駆け下りて逃げていったのです。

 

あの男が百鬼丸のことを話したのです。一人だけ逃げて行ったとき、百鬼丸の噂が景光に伝わるような気はしたんですが、やっぱり! って感じです。(ただ「3日ほど前」というと、少し近すぎるような気もしますが・・・。)

 

さらに景光は地獄堂に赴き、鬼神に問います。

 

景光「あの赤子じゃな。あやつが生きて、貴様らに奪われた身体を取り戻さんとしている。答えよ!」

 

天井から降り注いだ一筋の光が床を焼き、立ち上った煙の中に、生まれたばかりの百鬼丸、まだ幼い百鬼丸、そして現在の百鬼丸の姿が浮かび上がります。景光は、鬼神の力により百鬼丸の顔を見てしまいましたね!

 

今回のテーマは「多宝丸の性格」です

 

産婆に百鬼丸を川に流させた後で生まれた多宝丸は、為政者の息子としてなに不自由なく育ちました。ただし、両親になにか秘密があることに気が付いています。そのせいで、母の縫の方はいつも首のない菩薩像に祈ってばかりで自分を見てくれないのだと寂しい思いを募らせながら育ってきました

 

庭の木に登って気を引こうとしたり、雉をしとめてきて喜ばそうとしたり、出征して手柄を立てようとしたり。けして口には出さないけれど、多宝丸はいつもいつも母の関心を自分に向けようと努力してきました。でも残念ながら、これまでその努力が実を結ぶことはありませんでした。

 

百鬼丸の実の弟・多宝丸がどんな男なのか、それが今回のテーマです。

 

多宝丸には、幼い頃からつき従っている二人の兄弟従者がいます。兄の名が兵庫、弟は陸奥といいます。(端正な顔立ち、華奢な体つきから弟ではなく妹かも?)。兵庫と陸奥は、多宝丸が母親に愛されている実感のないことを知っています。でもそれを口に出すことはしません。いつも「奥方さまはお優しい」と、多宝丸をいさめます。良い従者ですね^^

 

多宝丸は、前回の第9話で景光に報告していた忍びを探し出すよう兵庫と陸奥に命じます。陸奥は毒薬の知識に長けているようで、捕まえた農民姿の忍びに自白剤を飲ませました。

 

多宝丸「父上から特別な命を申し付かっているな。何を命じられた」

 

忍び「16年前に消えた赤子と、産婆を探せと

 

多宝丸「赤子だと。なぜ父上はその赤子を探す。答えよ」

 

忍び「それは・・・」

 

いい淀んだ忍びは舌を噛み切って自害しかけます。それ以上、訊きだすことをあきらめましたが、多宝丸は両親の秘密はその赤子にあると目星をつけました。

 

多宝丸のバケモノ退治

 

湖の見える高台にやってきた多宝丸は、湖岸にある漁師村が騒がしいのに気がつきます。村に行ってみると、領民が屋敷仕えの侍たちに頼みごとをしているところでした。湖に化け物が住みついて、漁師を食べてしまうので、どうか助けてくださいというのです。

 

多宝丸「よかろう、わたしがその化け物を退治してくれる

 

侍「多宝丸さま、この者たちの話を信じるおつもりですか。よしんばまことであったとしても、化け物退治など──」

 

多宝丸「この者たちの言葉に嘘はない。民が苦しんでいるのに、放っておけと申すか!

 

多宝丸、坊ちゃん育ちのただの甘ちゃんというわけでもなさそうです。領民の頼みを訊いてやるなんて、いいところがあるじゃないですか! 多宝丸は兵庫、陸奥、さらに屋敷仕えの侍たちと一緒に湖に舟を出します。

 

現れたカニの化け物を中心に湖に大渦ができ、舟は渦の中心に流されそうになります。が、湖岸の木と舟を綱で縛ってあるので、舟は化け物の渦に乗りません。どうやら多宝丸は、バカでもなさそうです

 

舟を飛び移って多宝丸がカニの大ハサミを切り落とすとカニは水中に沈み、舟に脚を突き立て沈没させようとしてきます。カニの方もけっこう頭いいですね! いったん湖岸に上がった多宝丸は、考えます。舟での戦いが不利なら、他になにか方法はないかと。

 

多宝丸「見よ、この景色を。山は緑が濃く、泉は水に溢れ、水田は稲で満ちている。これが醍醐の土地だ。だが、わたしが生まれる前は違ったと聞く。水害によって稲は育たず、木の根を噛んで飢えをしのぐほどだったと。それをここまで立て直したのは誰か。我が父、醍醐景光だ。わたしはその息子、多宝丸。化け物ごとき、必ずやこの手で打ち果たしてくれよう! おまえたちがすべきは死ぬことではない。わたしを信じる、ただそれだけで良い」

 

爆弾を抱えて化け物の口に飛び込めば倒せると言い出した陸奥と兵庫に、それでは人もろとも死ぬと答えた多宝丸の次のセリフがこれでした。

 

父を尊敬し、従者の身を案じる優しいところのある子なのですね。領主の息子らしい自尊心もあります。母には少し寂しい思いを抱いてきたけれど、それでも真っ直ぐ育っているようです。「どろろ」公式の登場人物紹介には、多宝丸は「実直な性格」と書かれています。

 

百鬼丸と多宝丸。つかの間の邂逅

 

いくつも連なる湖の形状をみていた多宝丸は、大掛かりな仕掛けを思いつきます。水門をつくり、化け物のいる湖の水を抜いてしまおうというのです。早速、次の日から木を切り倒し水門づくりの工事が始まります。

 

ついに水門が完成し、湖の水を抜くと多宝丸は兵庫と陸奥と共にカニの化け物に戦いを挑みます。その勇敢さに触発された漁師村の民たちも、石つぶてで応戦します。多宝丸、すっかり民衆の心をつかんでいます!

 

あと一歩で倒せる! というところで、カニの化け物は大岩をつかんで水をせき止めている水門にぶつけ始めます。このカニ、なかなか知恵があるのです。ついに決壊した水門から水が押し寄せます。形勢逆転。あわやカニに食べられそうになっている兵庫を助けに多宝丸が刀を振るう直前に、素早い影が飛び出してきてカニを十文字に斬っていきました。

 

百鬼丸です!

 

舟に上がった多宝丸は、カニの化け物の上に立つ百鬼丸を見つけます。

 

多宝丸「お前は?」

 

両手に仕込み刀、はだけた胸に醍醐の家紋が入ったお守りが見えています。多宝丸はこのお守りに気づいたでしょうか?

 

多宝丸の性格まとめ

 

じつは1969年版のテレビアニメでは、多宝丸ってかなり子どもっぽい性格でした。

 

腕が立つからと醍醐の屋敷に百鬼丸を連れてきた張本人が多宝丸で、百鬼丸が不遜な態度を取るのに父の景光がそれを放っておけと言うのを見てまずへそを曲げます。普通なら斬り捨てるのに、なぜ? と。さらに百鬼丸を見た縫の方がそれがあの赤子だと気付いてかばうのを見て、決定的に百鬼丸を敵視します。最後には子どもっぽい言葉で百鬼丸を挑発して決闘し、あえなく命を落としてしまうという・・・。

 

今作の多宝丸はかなり印象が違いますね。

 

父の醍醐景光を尊敬していて、従者や領民を思いやる優しいところがあり、化け物に向かっていく勇敢さと物事をよく考えて実行する思慮深いところもあります。いずれ景光の跡目を継いだら、良い領主になりそうです。

 

しかし敬愛する父・景光が鬼神の力を借りて兄の身体を生贄に領地を豊かにしたのだと知ったら・・・。多宝丸は苦しむでしょうね。母がいつも菩薩に祈っているのは百鬼丸の無事なのだと分かったら、1969年版と同じように嫉妬も感じるでしょう。

 

[char no=”1″ char=”あいびー”]今作の多宝丸の性格設定が、エンディングに強く影響してきそうに思えます。ところで「それをここまで立て直したのは誰か。我が父、醍醐景光だ!」って父を超尊敬しているこの言葉、微妙にフラグだったりしますよね──。次回第11話は「ばんもんの巻」。ううう。厳しい話ですね。どんな料理で見せてくれるのか、楽しみです。[/char]

「まんじゅ?」

 

前々回の第8話「さるの巻」で鼻と嗅覚を取り戻した百鬼丸は、それからすっかりニオイに敏感です。聴覚を取り戻したときと同じように、まだニオイの取捨選択ができないので、どんなニオイも強烈に感じるのでしょう。

 

今回の冒頭でゴリラのような化け物を倒した百鬼丸は、返り血を浴びて真っ赤になります。それを見たどろろは「あちゃー!」と頭を抱えます。百鬼丸が血の臭いを嫌がるらしく、さっそく川で着物を洗っています。身体を洗った百鬼丸は手首に巻いた布についた血の臭いも気にしています。すっかりきれい好きになっちゃいましたね!

 

着物を洗いながら、どろろは商人から聞いた噂を話して訊かせます。

 

どろろ「その國は、とにかく土地が豊かなんだって。このご時世にみーんな白い飯を腹いっぱい食ってんだってよ。な、すごいだろ? 次はそこで決まりだな。がっぽり稼いで、いいもんたらふく食うんだ。鯛のお頭焼きに干しアワビにまんじゅうに!

 

百鬼丸「まんじゅ?

 

どろろ「やわっこくて甘くて、とびっきり美味い食いもんだよ。ま、楽しみにしときなって!」

 

土地が豊かなその國って、もちろん醍醐領ですね。

 

これまで必要なことしか口にしなかった百鬼丸が、ここではただの噂話に口を挟んでいます。まんじゅうに興味があるようですね。ぜひ、食べてもらいたい^^ しかしどろろは、ずいぶん高級な食べ物を知ってますねぇ。「鯛のお頭焼きに干しアワビ」なんて、どこで覚えたんでしょう?

 

百鬼丸は母親似、多宝丸は父親似

 

上のツイッター画像でキャラクター原案の浅田弘幸さんが書いていますが、百鬼丸は美人の縫の方似ですね。すっきりとしたキレイな顔立ち。多宝丸の方は髪の生え際や眉が特徴的な父親似ですね。百鬼丸が16歳、多宝丸は14歳か15歳。今は二人とも若いから輪郭に差はありませんが、年を取るにつれ多宝丸の輪郭が筋ばってきて男っぽくなりそうですね!

 

しかし、原作そのままの多宝丸の髪型・・・。カニだぁ♪



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