2019年1月~放送のアニメ「約束のネバーランド」。第10話あらすじと見どころを紹介します。あわせて感想もどうぞ! 「さよならハウス、さよなら大好きだったわたしたちの家。さよならママ」! 原作未読者の感想です。【注意】完全ネタバレ!



第12話/「今日がわたしたちの第1歩!」朝日は昇る。エマたちの顔を明るく照らして!



EPISODE.12「150146」

 

自分もろともハウスを焼いて、その騒ぎに紛れてみんなを脱走させようと企んだレイをぶったたき、強引にレイも一緒に脱走させたエマ。レイの奥の手も見越したノーマンの計画に呆然とするレイは、一緒に逃げる子どもたちの人数が足りないことに気がつきます。

 

「家族みんなで逃げる」と言い張り続けたエマなのに、どうして──?

 

前回、これまで隠されてきた多くの情報が開示され、ついに実行に移された逃走劇はとってもエキサイティングでしたね! 今回は第1期の最終回。最終回では、エマがこれまで言い張り続けてきた「みんな連れて行く」という意見を曲げた理由など、いくつか残された謎を回収しつつ、第2期に繋げていきます。

 

「4歳以下は置いていく!」エマの決断とその理由

 

第6話、10月31日にノーマンとエマが洗濯物を干しているシーンで、エマが「みんなに話そう」と提案します。それを受けて翌日の11月1日(第7話)で、ノーマンとエマがシスター・クローネの部屋で話す内容をナット、アンナ、ラニオン、トーマに部屋の外から聞かせてハウスの真実を信じさせます。

 

ノーマンが出荷された後、じょじょに4歳以上の子に真実を話し、エマに代わって一緒に逃げようと誘っていったドンとギルダは、今後のことをエマに相談しにきます。

 

エマ「もう誰も出荷なんてさせたくない。家族全員連れていく。全員で逃げよう」

ギルダ「全員・・・他のプラントの子たちも・・・いいのかな、あたしたちだけ。見たこともないけれど、隣にいるんでしょう? 同じように何も知らず、同じように暮らす家族が・・・」

 

ギルダにこう言われて、さすがのエマも「全員はムリだ」と悟ったのでしょう。ここでエマはフィルを呼んでもらいます。いつも重要なところでヒョコヒョコ顔を出していたフィル、そしてハウスが火事になった後もハウスに留まった、あのフィルです。

 

フィル「やっぱり、そうだったんだね。ずっと考えてたんだ。鬼ごっこのとき、シスターが言ってた”収穫”って何かなって。シスター、レイの引き出し開けてたり、エマ、ノーマンがいなくなる日、ママのこと怖がってたり、ずっと変だなって思ってた。──そっか。ノーマンは収穫・・・コニーも、みんなも。だからエマは──」

 

まだ4歳とはいえ、とても頭のいいフィルは、いろいろおかしいことに気づいていたんですね。分からないなりに、ちゃんと考えていた。やっとエマから納得いく答えを聞かされて、フィルは泣き出します。

 

エマ「ねぇフィル、よく聞いて。今、二つの道で迷ってる。赤ちゃんまでみんな連れていくか、4歳以下を置いていくか。収穫されるのは満6歳から。一番、誕生日が早いマイナでも1年半時間がある。それに上が15人抜ける。数より質のこのハウスなら、収穫のペースは必ず落ちる。将来、上物になりうる年少者は、この先、今以上に殺せない。その点、4歳の6人は、フィルをはじめどの子もスコアは悪くない。どんなに短く見積もっても、2年の時間はあると思う

フィル「待てるよ、ボク! だから置いてって



出荷のタイミングや年齢から考えて、まだ2年の猶予があるから、だから今は連れていかないことをエマは選んだのです。もちろん、後で迎えに来る気で!

 

エマ「でも、諦めたわけじゃない。2年以内に必ず戻る。そしてそのときこそ、フィルたちと他4つのプラント、すべての子どもたちを連れて出る

 

今回のエマは冷静でした。現実に即したいい判断だと思います。2年以内にフィルたちだけでなく他のプラントの子どもたちも助け出すって、なかなか大変そうだけど! でも、きっとエマならやってくれそうな、そんな気迫がありました!

 

ママvsエマ(ノーマン憑き)!

 

燃え上がるハウスを見ながら、エマたちに強い敵意をむき出しにするイサベラのスカートをつかむフィルの手。フィルに気づいたイサベラは、いつものママの仮面をかぶります。

 

イサベラ「フィル、他の子たちは?」

フィル「こっち!」

 

フィルの向かった先から大勢の小さな子たちが駆け寄ってきます。にこやかに子どもたちを迎えたイサベラは「みんなここで決して動かないでね」と言いおいて、少し離れたところから本部に連絡を入れます。

 

イサベラ「こちら73584、第3プラント。脱走です、警報を!

 

やっぱりイサベラが持って出た荷物は通信機だったんだね。おそらく「73584」は、イサベラの首に刻印された識別番号でしょう。警報が鳴り響き、橋を守る警備の鬼たちに指令が下ります。

 

鬼「特上以外は殺してかまわん。ただし、すべて頭部は傷つけるな。姿を現したら即時、捕獲しろ。絶対に見逃すな」

 

筋骨りゅうりゅうとした大勢の鬼たちが手に手に武器をもって集まっています。おぉ、きしょい!

 

イサベラ「さぁ、逃げてみなさい。エマ!

 

これじゃ橋から逃げるのはムリそうだよ。さぁ、どうするエマ?

 

塀の上を走っているエマたちは警報を聞きつけ「予想より早いな」と焦ります。「どうする?」とレイに訊かれたエマは、自信たっぷりに崖の向こうの森を指さして──。

 

エマ「ここから渡る」

レイ「え、渡る? でも、あのときノーマンは・・・」

 

そう。ノーマンは出荷の前日「逃げるなら橋からだ」とレイとエマに言っていたんです。でも、ノーマンから渡された計画の全貌を書いた手紙には、こう記されていました。

 

逃げるなら橋からだ──って、誰だってそう考える。崖からなんてありえないって! だからこそ、橋へは行かない。崖から逃げる。対岸までの距離と地形を見てきた。危険だけど、渡れそうな場所がある。それにまだ2か月。時間はある」

 

驚くレイに、ギルダはにっこり微笑みます。

 

ギルダ「大丈夫。めちゃくちゃ訓練したんだから!」

 

ここでドンが訓練の成果を披露します。ロープの先につけた石を対岸に投げて木に絡ませ、こちら側の木と渡してピンと張ります。このロープにハンガーをかけ、ターザンよろしく向こう岸まで滑り降りるんです! この場所は壁と向こう岸までの距離が近く、しかも向こう岸の方が下なので、この方法で渡ることができる! ノーマンは出荷の前日、壁を走ってこの場所を見つけた。だから帰ってきたとき、げっそり疲れてたんだね。

 

 

ドンに続いてトーマとラニオンが2本のロープを、それぞれのペットボトルロケットでドンのいる対岸に飛ばして、計3本のロープを渡します。(確かにペットボトルロケット作って遊んでたよね!)3本のロープを伝って次々と対岸に滑り降りていく子どもたちを見ながらレイは唖然茫然。そこにノーマンが現れ言います。

 

ノーマン「どぉ?」

レイ「したり顔だな、憎たらしい!

ノーマン「だって、まんまとレイを騙せたもの!」

レイ「”いいもの見せてやるから、黙って来い”」

ノーマン「その通りだろ。見て! ボクらがあり得ないと思っていた光景

レイ「あぁ、オレは、全員なんてあり得ないと思ってた。あいつらは、足手まといだって」

ノーマン「ボクも迷った。でも、最後は決断した。エマがいたから。エマだから、みんな信じてついてきてくれるんだ。無茶で、無謀で、でも真っ直ぐで。迷わず”全員”と言えちゃうエマだから。諦めなくてもいいんだよ、レイ

 

一瞬、本物のノーマンかと思ったけど幻でした。

 

そっか。「黙って来い」は、そういう意味だったんだね。この場所に「来い」だったわけ。「いいもの見せてやる」は、ノーマンもレイも無理だと踏んでいた、みんなで逃げる光景だったわけだね。エマがいたから、「みんなで逃げる」と言い続けていたエマがいたから、ノーマンはこの作戦を思いつけた。逆に言うと、エマがいなけりゃ、ノーマンだって5人だけの脱走プランしか思いつけなかった。

 

この計画は、レイの暴走(自分を焼くつもりの火事騒ぎ)と、エマの無茶(みんなで逃げる)と、そしてノーマンの知力があって初めて成り立ったもの。3人いたからこそできた脱走劇だったというのが、素晴らしくいいね! しかも、ドンとギルダも、他の小さい子たちも活躍してる!

 

みんなを向こう岸に送り出して、最後に残ったエマが渡ろうとしたそのとき、イサベラが壁の上を走ってやってきます。

 

エマ「さよならハウス、さよなら大好きだったわたしたちの家。さよなら、ママ

イサベラ「行かないで、エマ。わたしの可愛い子どもたち」

 

ママの言葉を無視してエマはロープを滑り降り、対岸に渡った後に3本すべてのロープが切られます。勝敗は決しました。イサベラの負けです!

 

イサベラの過去。レスリーの思い出と出産

 

壁の上に取り残されたイサベラは、幼い日、まだハウスにいた頃のことを思いだします。

 

イサベラには仲良しのレスリーという男の子がいました。レスリーは楽器を弾くのが上手で、いつも木の下でバンジョーのような弦楽器を弾いています。そこに突然、木の上からイサベラが降ってきてレスリーは驚きます。

 

レスリー「うわぁっ! イサベラ! びっくりしたぁ」

イサベラ「ごめんなさい。木登りしてたら素敵な曲が聞こえたから。つい。レスリーが創ったの?

レスリー「──うん」

イサベラ「素敵な旋律ね。なんて曲?」

レスリー「名前はないんだ」

イサベラ「すごいなぁ、もっと聴かせて!」

レスリー「えっ。でも──恥ずかしいからみんなには内緒ね」

 

イサベラは幼い頃すごくオテンバだったみたい。対してレスリーは、かなりシャイ。そばかすの載った頬を赤らめながら話します。

 

レスリーがつま弾く曲は、イサベラがいつも歌っている、そしてレイが火事の前に歌っていたあの曲でした! その曲が進んでいくと・・・。あぁ、これっていい場面でいつも流れるあの曲の前奏だったんだね! どの曲と言葉で伝えられないのがもどかしいんだけど、観ている人なら必ずみんなが「あぁ!」って分かるはず!

 

その後レスリーは里親が決まってハウスを出て行きます。別れが辛かったイサベラは、たぶんレスリーに会いに外に出ようとして壁を上ったんでしょう。そして、深い堀と断崖絶壁を見て、ここからは逃げられないと悟ります。

 

やがて12歳になったイサベラは、鬼を前に選択を迫られます。このまま出荷されるか、ママ候補として生き残るか。驚いていたので、イサベラはここで初めてハウスの真実に気がついたんですね。もちろん、ママ候補になる道をイサベラは選びます。やがて大人になったイサベラは妊娠し、出産します。大きなお腹をさすりながら歌うのは、レスリーが創ったあの曲

 

出産後、イサベラは第3プラントのママに任命されます。どうやら出産は一度きりだったよう。それから数年後。イサベラは、門の近くの木の下で本を読みながら、鼻歌を歌っているレイを見つけます。そう、あのレスリーが創った、他の誰も知らないはずのあの曲です。

 

イサベラ「レイ。その歌、どこで・・・」

レイ「ねぇママ。どうしてオレを産んだの?

 

この頃のレイはいくつかな。今のフィルくらいだから、4歳かな? レイは生まれる前の記憶もあると言っていたから、どうやらこの曲を生まれる前に訊いて覚えていたみたい。このときイサベラは、レイが自分の子どもだと知りました。そしてレイの質問に、こう答えます。

 

イサベラ「それはね、レイ。生き延びるためよ。誰よりも長く」

 

あぁ~~~~~。前回の記事を読んでしまった方ごめんなさい!

 

もしかしてレイはイサベラの息子じゃないかって考察してたんだけど。そう考えれば、いろいろ辻褄が合うって書いてたんだけど、モロ大当たりでしたね。これじゃ、まんま「ネタバレ」でしたね~! すみませぬ~~~~~!!!

 

あまりに大当たりしてしまったので、本放送を観ながら目が点でした、わたくし・・・。

 

 

でも、レイはイサベラが母親だと知っているけど、イサベラの方は知らないと思っていたので意外でした! 実の息子と知ってて出荷するのかぁ。焼身自殺したと思ったレイを前に「せめて脳だけは」って言ったのかぁ・・・。しかもママになった理由が、レイを産んだ理由が、「誰よりも長く生き延びるため」なのね。結構モヤモヤしますね──。長く生きられなかったレスリーの分もって気持ちもあるのかな。

 

回想が終わり、今に戻ったイサベラはため息をついてこう言います。

 

イサベラ「でも、もういいか。わたしの負けよ」

 

それからイサベラはロープを回収し、子どもたちが脱走した痕跡を消します。

 

イサベラ「行ってらっしゃい。気を付けてね。願わくば、その先に光がありますように

 

笑顔で送り出したイサベラは、まだ火が残るハウスの前にもどります。そしてフィルに言うのです。

 

イサベラ「安心なさい。無事に逃げて行ったわ」

 

フィルはエマたちの脱走を知っていると、気が付いていたんですね。最後まで目ざといイサベラです!

 

ついにハウスを脱出したエマたち15人が迎えた朝は、とても眩しかった!

 

ハウスを背に、森を走り続けるエマたち。

 

エマ「やった、やったよノーマン。外だ。出られた! 必ずみんなを連れに戻る。今日が、わたしたちの第1歩!」

 

ノーマンはここにいないけれど、エマはノーマンに話しかけます。そして開けた高台にたどり着いた子どもたちの目の前から、眩しい光を放ちながら朝日が昇ります。

 

エマ「最初の朝だ!」

 

やったねエマ、レイ、ドン、ギルダ、みんな! そしてノーマン!

 

わずかな暗転の後、始まるオープニング曲とスタッフロール。おぉ、長い映画を観終わったような達成感があります! 良かった、楽しかったー!

 

第2期決定!

 

グレイスフィールド・ハウスを舞台に、わずか11歳の子ども3人が挑む脱出劇。ついにエマたちは5歳以上の15人で逃げるという不可能とも思えた脱走に成功しました! ここで第1期は終了です。

 

でも、まだまだ課題は残っていますよね。

 

ハウスを出たら、次は外で生きていかなければいけない。まず食べるもの、次に寝るところの確保。頼りは、図書館で見つけた蔵書票にある「ウィリアム・ミネルヴァ」という人物だけ。こんなに不確かな情報で、鬼の手を逃れ、なんとかしなければいけないなんて!

 

しかも2年以内に、フィルを始めとする残してきた第3プラントのみんな、他のプラントの子どもたちも、全員を救出しなければ! なかなかハードだよね。

 

ハウスを出てからの奮闘は、第2期で語られるようです。第2期は2020年に放送決定! まだ1年近くありますが、楽しみですねー^^

 

12話以降に残された謎まとめ

 

1、シスター・クローネが残したものは?

➡シスター・クローネはノーマンに、小箱1つ、市松模様の銀のボールペン、メモを残しました。小箱には2本のカギが入っていました。1本のカギは医務室のメスなどが入った棚のカギだと思われます。もう1本は橋から逃げるときに使うものかと思ったけれど違ったので、電気系統のブレーカーなどがある箱のカギとかかなぁ? それでスプリンクラーが作動しなくなっていたとか? でも、クローネが拾った外から来た男が落としたボールペンは、第2期以降に絡んでくるアイテムだと思われます!

 

2、蔵書票の「ウィリアム・ミネルヴァ」は誰?

➡今のところ手掛かりなし

 

3、外の世界はどうなっている?

➡今のところ手掛かりなし

 

4、蔵書票にある「約束」とは?

➡今のところ手掛かりなし

 

5、グランマが口にした「ティファリ」とは?

➡今のところ手掛かりなし

 

6、ノーマンは本当は生きてる・・・よね?

➡今のところ手掛かりなし

 

まだまだ、結構な数の謎が残されています。すべて第2期以降に解明されるんでしょうね!

 

「約束のネバーランド」は面白いの?

 

ストーリー面で、個人的にいろいろ引っかかるところはあります。今回の第12話で引っかかったところを軽くあげてみます。

 

1、ノーマンがレイやエマにウソつく理由は?

ノーマン出荷の前日。ノーマンは壁に下見に行き、壁の向こうは崖だったとレイとエマに伝えます。その上で、5つのプラントと本部からなる6角形のプラント全体の構造を知り「逃げるなら本部の橋からだ!」と断言します。でもそう言っておきながら、脱出計画の全貌を記したエマへの手紙には「逃げるなら橋からだ──って、誰だってそう考える。崖からなんてありえないって。だからこそ、橋へは行かない。崖から逃げる」と、書いています。

 

これ、なんでわざわざレイやエマにウソつく必要があったのかな? いや、ウソでミスリードしたのはレイやエマだけじゃなく視聴者もだよね。じつは本当の狙いはそこでしょう。視聴者をミスリードして、後でひっくり返して驚かせるという自作自演だよね。かなりあざとい!

 

2、つなぎ目のない長いロープはどこから手に入れた?

脱走に使うロープは、リネン室から予備のテーブルクロスを盗んで結んで作っていたはず。つなぎ目のあるロープじゃハンガーで滑り降りるのは無理! どっからそんな長いロープいくつも調達した?

 

3、わざわざペットボトルロケット飛ばす意味なくない?

壁から向こう岸に最初にドンが渡ったとき、2本のロープの端を体に括りつけて渡れば、わざわざペットボトルロケットなんて不確かなもの飛ばす必要なくない? まぁ、ペットボトルロケットの方が映像的にハデな演出にはなるけどね。

 

4、イサベラの人物造詣がムリすぎる・・・

仲良しのレスリーが先に里親に引き取られるという名目でハウスを出て、その後12歳になったイサベラはハウスの真実を告げられます。そこで初めてイサベラは、レスリーがもうこの世にいないことを知るのです。ママを目指して猛勉強するイサベラの目的は「誰よりも長く生き延びること」。それは上で書いたように、レスリーが生きられなかった分も長く──という意味合いもあったのかも知れないけど、ちょっとよく分からない。だったらレスリーなんて必要なくて、死ぬのが怖いって理由で十分なような気が・・・

 

せっかくレスリーを出すなら、ただレイに歌わせる歌のためだけじゃなくて、イサベラとレスリーとの心の交流をしっかり描いてほしかった。それを経て、どうしてイサベラが「誰よりも長く生き延びること」に執着するようになったのか、ちゃんと伝わるように描いてほしかった・・・。

 

それからイサベラは、本部の言われるまま子どもを出産し、ハウスのママとして子どもたちを育て出荷してきました。すべて「誰よりも長く生き延びる」ため。その目的に至る過程が分からないと、ただ身勝手で短絡的で、愛情に欠けた人物にしか見えないんだけど・・・。つまり、ハウスの子どもたちに優しく接しているのは、すべて仮面。イサベラは実の子どものレイですら、冷酷に出荷できる鬼のようなさもしい人物だって思えてしまう。

 

それなのに、秘密の部屋に出荷された子どもたちの大切にしていた物を飾ってみたり、子どもの描いた絵を胸に抱きしめてみたり。じつは優しい人なんだよって演出があちこちにされていて、ぜんぜん一貫してないんだよね。

 

10年間、実の息子を含む子どもたちを育てている過程で、人間なら迷いが生じるはず。最初は死ぬのが怖くてママ候補生になったけれど、その内、子どもたちと接する内に母性が芽生え、命じられるままに出荷することに抵抗を感じるようになるはず。ましてやレイは実の子。レイだけは──という葛藤があって当たり前!

 

じつはイサベラは優しい人なんじゃないかと思わせる描写があるかと思えば、レイが焼身自殺したと思いこんだときに口から出た言葉が「せめて脳だけは」だったりして心の底から鬼だと思わせる描写があるかと思えば、最後には「行ってらっしゃい。気を付けてね。願わくば、その先に光がありますように」なんて・・・。言葉としては美しいけれど、なんて薄っぺらい人物造詣だこと・・・。いや、こういうのは薄っぺらいと言わない。ムリ筋です。

 

イサベラはすごく苦悩に満ちた描きがいのある面白い人物なはず! そこを掘り下げずに表面なぜただけで、怖い人に思わせてじつはいい人──に思わせてやっぱり悪い人──と思わせて本当はいい人っていうどんでん返しを繰り返しただけのキャラクターになっちゃってます。

 

ちょっと辛口な言い方したけれど。要はイサベラはそれくらい、雑な扱いするにはもったいないキャラクターだって言いたいわけ。でもそこは、少年向けの雑誌掲載作品だから。少年相手にイサベラの苦悩を掘り下げて見せても意味ないから、だからこんな扱いになったのかなぁ~って。もったいなく思うのです。

 

構造が難解だったり、アンフェアだったり、いろいろ問題を感じる作品

あんまり書くと非難ばかりしていると取られそうなんで、詳しくは書かないけれど。この作品は、いろいろ問題が多いつくりだと思う。ストーリー構造として、複数主人公の心理戦てのがまず、かなり難しい!

 

また、重要なことを隠したままストーリーを進めるのは、少しならいいけれど多用するのはアンフェア。それで最後にまとめて情報開示して、じつはこうだったんですよ! ってのは、ニセモノのカタルシスしか与えない。

 

ここはけっこう不満かも。

 

他にも、大事なところで説得力が弱い、ご都合主義が多い、混乱させるだけのミスリードなどなど。

 

ストーリーや着想はいいのに、構造上の推敲が足りてないかなぁという印象です。分かりやすい引き(クリフハンガー)に走りすぎたかな。こういうところが、良くも悪くもジャンプ作品だなぁと思いました。

 

絵も可愛いし、主人公3人は好感もてるし、面白いよ!

 

いろいろ問題は感じるけれど、でも面白いよ! 元気で明るいエマ、天才でエマが大好きなノーマン、じつは苦労人のレイ。どの子もとても好感がもてる! 絵もすごくキレイだし、キャラクターは可愛いし!

 

最年長のフルスコア組だけで進めていくかと思いきや、全員を巻き込んで全員が活躍して脱獄するというアイデアもとってもいいと思う。ハイテク機器を使わずに、子どもの身の回りにあるものだけで脱獄を達成するというのも楽しいし! 一部、鬼に食べられるとか、レイが自殺しかけるとかグロいところはあるけれど、名探偵コナンを観られる年齢ならまったく問題ないと思う。

 

問題は放送枠。ノイタミナはちょっと年齢層高いから、わたしみたいにイロイロ気になってしまう人も多い気がする。もうちょい明るいめの味つけして、早い時間に放送した方が人気になるような気がしました!

 

まぁ、イロイロ書いたけど、お気に入り作品です。第2期はまたガラリと違った雰囲気になるはずですよね。楽しみです^^

 

おまけ。お風呂で思いついたこと

お風呂でツラツラ考えていて。ちょっと思いついたことが二つあるので、忘れないうちに追記しておきます。

 

その1、「あの子たち何はいてた?」の言葉の意味

前回の11話でママが手洗い場でエマのそぎ落とされた耳を拾ったあと「あの子たち何はいてた?」って言ったのが、ずっと分からなかったのね。でも、ひらめきました!

 

レイがオイルをかぶる前にエマと話していたとき、エマはたしか白いスリッパをはいていた。でも、ハウスから森に向かって走っているエマは靴を履いている。つまり、レイを逃がした後、エマは靴に履き替えてたってこと。

 

ママはそれに気づいたわけだ。そして、この火事が逃げるために起こした騒ぎなんだと確信した、ってことね。

 

今、何度も11話の火事のシーンを見直してみたけど、ママの隣にいるエマの足元って、暗くなっててちゃんと描いてないんだよね。タイミングよくやってきたギルダの足元もよく分からない。小さい子どもたちは靴っぽかったけどね。ここは、ちゃんと描いてほしかったなー! 隠し過ぎー!

 

その2、イサベラの描き方は、こうだったら印象違ったと思う!

イサベラの人物造詣がもったいないって上で書いたけど、じゃどうすれば良かったのか。自分なりに思いついたので、ちょっとだけ書いておくね。

 

1月14日のカレンダーに斜線を入れ、ついにレイの誕生日と思ったイサベラは「Ray」と書いた文字を指でなでながら「レイ・・・」と、いとおしそうに呟く。それからエマの叫び声で食堂に行き、レイが焼身自殺をはかったと知り、死に物狂いで助けようとする。「せめて脳だけでも」なんて言わせない。

 

エマの耳を見つけて脱獄したと知ったイサベラは壁に上り、ついに子どもたちが向こう岸に渡っている場所にたどりつく。(走っている途中でイサベラの過去を流し、レイが実の子どもだと開示しておく)。壁の上に最後に残っているのはエマとレイ。レイはエマを先に行かせる。ここでレイとイサベラはしばし見つめ合い、「じゃ行くよ」とかってレイが言うとイサベラがレイを抱きしめて──。

 

レイやエマたち15人が対岸の森を走って逃げるのを確かめてから、イサベラはあのセリフを言う。「行ってらっしゃい。気を付けてね。願わくば、その先に光がありますように」。もちろん「わたしの負けよ」なんてセリフいらない。

 

[char no=”1″ char=”あいびー”]わたしなら、ぜったいこっちのシナリオにするな! てことで。ちょっとした思い付きでした![/char]

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