2019年1月~放送のアニメ「どろろ」。第14話「鯖目の巻」の詳細なあらすじと見どころを紹介します。「世の中やっぱりお金が最強!」あわせて感想もどうぞ!【注意】完全ネタバレです!



第14話/「おまえさんの背中のソレは、人を動かし世を変える、でかい力の源になる」。大金をどう使うか? どろろは未来を想う

 

鯖目の巻

sabame no maki

 

モノクロ画面に赤々と燃える焚火──。今回の物語は冒頭、イタチの裏切りから足を怪我した火袋とお自夜が話しているシーンから始まります。傍らには、小さなどろろが眠っています。

 

火袋「悔しいがこうなっちゃもう、オレの望みが叶うことはねぇ。だが、侍どもから集めたあの金だけは、無駄にはできねぇ。あれは、力のねぇ農民たちが立ち上がって生きていくための大事な元手になるんだ。いいか、必ずどろろに伝えてやってくれ。オレたちが何のために戦い続けるのか」

 

あぁ、火袋たち野盗の隠し財産の話しですね。いつ命を落とすかもしれない火袋は、財宝のありかをお自夜に伝えようとしますが、その言葉をお自夜は遮ります。

 

お自夜「待って。あたしは聞かない方がいい。知ったら、きっと使っちまう。大願のためじゃなく、どろろ一人のためにね──ここに入れておくれ。ここなら、自分じゃ見えないからね」

 

こう言うと、お自夜は着物をはだけて背中を向けます。

 

お自夜「あんたの大願、半分はあたしがしょっていく。残りの半分は──

 

なるほど。お自夜はなんて高潔なんでしょう。こうして財宝の半分はお自夜の背中に、もう半分はどろろの背中に刻まれたんですね。でも、たしかに自分の背中の財宝の地図は見えないけれど、お自夜はどろろの背中の地図を見ることはできますよね。けれど結局、お自夜はそれに手をつけずに餓死したってことですなんですね・・・。お自夜の意志の強さと自尊心の高さはすさまじい! 改めて、そう思わせられます。

 

今回のテーマは「未来」。サブテーマは「百鬼丸の異変」です。

 

温泉を出た百鬼丸とどろろ、そして琵琶丸は、寺のお堂で話しこんでいます。(どうやら、寺の敷地内に温泉があるようです)。話題はもちろん、どろろの背中にある地図のようなものについて。どうやら、どろろは背中の地図を知らなかったようですね。

 

ここでどろろは、お自夜が亡くなる少し前のことを思いだします。

 

お自夜「いいかい、どろろ。よぉく覚えておおき。これはお父ちゃんの命がけの願いなんだ。おまえが受け継いで、守っていくんだよ

 

お自夜は、どろろに背中を見せてこう言っていたのです。

 

どろろ「残りの半分は、おいらのすぐ側にいつもある。おいらが心から信じられる相手に出会えたら、そのとき、きっと分かる──って。まぁ、どういうことかサッパリ分かんなかったし、忘れたつもりでいたけどさぁ」

 

琵琶丸「良かったじゃないか。これでおまえさんたちの道が増えた。鬼神どもを斬って、身体を取り戻したとして、その後はどうするね? 金ってのはいいもんだよ。腹いっぱい食えれば心も穏やかになる。周りを見る余裕が生まれて、明日のことを考え始める。食うや食わずの身の上で、それでも志を貫けるのなんて、ほんの一握りだけだからねぇ。おまえさんたちが鬼神の何匹か斬ったところで、世の中なんにも変わりゃしないよ。けどね、おまえさんの背中のソレは、人を動かし世を変える、でかい力の源になる。ま、要は別のアテができたってことさ。金を見つけて遊ぶもよし、新たな国を築くもよし。だれも知らない異国へ行くってのも悪かないねぇ。ここらで、ちょっくら考えるといいさ。ま、おまえさんがどうしても、なくした身体と引き換えに醍醐の国を滅ぼしたいってんなら、別だけどね

 

正論を吐いて、最後にチクッと嫌味を言うだけ言うと琵琶丸は、また一人でさっさと出かけていきました。

 

百鬼丸とどろろ。二人の旅の目的は、ただひたすら鬼神を倒して百鬼丸の身体を取り戻す、それだけです。その先は決まっていません。醍醐家の人たちとの決着はつけなければいけないけれど、それもどうすればいいのか、まだ百鬼丸は決めかねているでしょう。どろろは、とりあえず生き延びることが目的ですよね。

 

いつ命を落とすか知れない戦乱の世で未来を思い描くなんて、二人ともこれまで考えたこともないでしょう。でも、たしかに莫大な財宝があれば、未来を変えられる。琵琶丸が言うとおり、お金にはその力がある。

 

この財宝を使って火袋は「力のねぇ農民たちが立ち上がって生きていく」、戦で理不尽に奪われないようにしたい。つまり、農民主体の国をつくろうとしていたんでしょう。その望みはどろろに受け継がれました。でも、今のどろろにはどうしていいのか、サッパリ分からない。だから百鬼丸に相談したいのに、百鬼丸は今は鬼神を倒すことに夢中で、どろろの相手をしてくれない──。

 

っていうか。2期に入ってからの百鬼丸、少しどろろに素っ気ないですよね。なんだか、身体を取り戻すことをすごく焦っているように見える。もしかしたら言葉には出さないけれど、身体を取り戻した先にどうするか、彼には考えがあるんでしょうか?

 

廃寺と鯖目邸の妖怪

森を歩いていると、そこにやせ細った女と巨大な赤ん坊のような二人の妖怪が現れます。女の魂の炎は青で、赤ん坊は金色っぽい色です。

 

慈照尼の霊と妖怪小僧

 

女(慈照尼の霊)は「買うてくだされ」(または「負うてくだされ」?)と言って姿を消し、赤ん坊妖怪(妖怪小僧)は「まんま、おんぶ」と言ってどろろに覆いかぶさります。ただ、巨大な赤ん坊なので、どろろは押しつぶされそうですけど。

 

百鬼丸「鬼神じゃない」

 

なんと百鬼丸は、妖怪小僧にのしかかられ助けを求めるどろろを放ってスタスタ歩き出します・・・。なんか、やたら冷たいんですよね。醍醐の国での経験から、心が壊れちゃったんでしょうか? いくら妖怪小僧が害のない色をしているとはいえ、どろろが助けを求めているのに!

 

やがて二人と妖怪小僧は、燃え落ちたらしい廃寺にやってきます。またやせ細った女の妖怪(慈照尼の霊)が現れ、地面を指さします。そこには油が撒いてありました。それまでどろろに付きまとっていた妖怪小僧は、急に姿を消し、入れ替わりに男がやってきました。男は鯖目といいました。

 

鯖目「こんなところに旅の者とは、奇特な人もあったものだ。あなた方は知るまいが、ここは夜は危ない。あやかしが出るのでな」

 

鯖目は片手に持った野菊の花を供え、手を合わせます。枯れた野菊の花がいくつもあるので、どうやら彼がいつも花を供えに来ているようです。鯖目は貼りついたような妙な目をしていて、どろろは思わず百鬼丸の後ろに隠れます。百鬼丸の目に鯖目は、だいたい人と同じような灰色の魂の色をしているけれど、身体の周りにわずかに鬼神の赤い炎をまとっています。景光ほどまがまがしくはないけれど、なにかしら鬼神と関わりがあるようです。

 

マイマイオンバとイモムシ妖怪

 

鯖目はこの辺りの領主でした。自分の領地で人が食い殺されるのを放っておけないという鯖目の誘いで、百鬼丸とどろろは鯖目の屋敷に泊まることにしました。

 

女官たちの踊りや豪華な食事でもてなされ、どろろは上機嫌。鯖目は食事をとらず酒を飲んでいます。百鬼丸は箸は持つけれど食べる気がなさそうです。もしかして、鯖目が怪しいから警戒しているのかも。

 

鯖目は、廃寺のことを話します。

 

鯖目「あそこにはかつて、尼寺があってな。住職は近隣の里から身寄りのない子どもを貰い受けておった。まるで牛か馬でも扱うように働かせ、(言うことを)きかねばたちまち(弓で打ち据え)──。そうして何年かすると、売り飛ばされてしまうのだ。天罰が下ったのだろうな。ある夜、本堂に稲妻が落ちて火事となり、あっという間に焼け落ちてしまった。住職も子どもたちも、もろともに」

 

どろろ「そんな。ひでぇじゃねぇかい。子どもたちまで、みんな」

 

鯖目「我々も、もう少し早くなんとかしてやれなかったのかと、今更だが、ときおり参って冥福を祈っておる」

 

百鬼丸「あやかしは?」

 

鯖目「住職のなれの果てだ。成仏できなかったのだろうな。夜な夜な現れては通りかかった者を食らうのだ」

 

どろろ「良かったぁ、おいらたち食われなくって。おっさんのおかげだよ」

 

食事の後、百鬼丸とどろろは布団を並べて横になります。どろろは鯖目の話を信じていません。なにしろ地面に油が落ちていたのだから、雷で焼けたというのは嘘だろうし。百鬼丸も「女の霊は違う」とハッキリ言います。おぉ、青い魂は幽霊なんですね!

 

 

夜はすっかり虫の音でいっぱいです。最初の頃に一面のススキ原が描かれていたから10月頃かな? でも夕方にヒグラシが鳴いていたし、まだ9月なのかな? 鯖目が野菊を持っていたから、やはり10~11月だと思うけれど・・・。

 

妙な気配にどろろは目を覚まします。天井から腕の生えた巨大イモムシが襲ってきたのです! 素早く布団と義手をはねのけた百鬼丸がイモムシの胸を突きさすと、イモムシの叫びに応じて蛾の妖怪(マイマイオンバ)が現れました。マイマイオンバは真っ赤っか! どうやら鬼神のようです! マイマイオンバは鱗粉を撒き百鬼丸とどろろが咳こんでいる間にイモムシを連れていきました。

 

12番目の鬼神が奪ったものは?

 

その頃、高台に立つ鯖目の元に、白い蛾の妖怪が舞い降りました。マイマイオンバです。マイマイオンバは白い着物を着た女に変身して話しかけます。

 

女「鯖目さま」

 

マイマイオンバが化けた女は鯖目に抱きつき、鯖目は顔色ひとつ変えずに女を受け止めます。

 

鯖目「久々のエサ。それも二つもじゃ。あの子らも、今日は満足したろう」

 

女「食えませなんだ。あれは手ごわい」

 

鯖目「撃ちもらしたというのか」

 

女「12番目の食いもらし。よもや、取り戻しに来るとは

 

鯖目「いかな相手であろうとも、そなたらには指一本触れさせぬ。この地とこの地に生きる民のために」

 

ぬぬ? 「12番目の食いもらし」? それを「取り戻しに来るとは」? と、いうことは。もしかして観音菩薩の加護がなくなって、実体化した12番目の鬼神がこのマイマイオンバ? だとすれば、百鬼丸は12番目の鬼神になにかを奪われ、それを取り戻しに来たってこと?

 

・・・・・。

 

以前の百鬼丸と2期からの百鬼丸の違いといえば。前回の「百面不動の巻」ではどろろを突き飛ばして平気だったり、今回ではどろろが相談したがっていても妖怪小僧に乗っかられて助けてって言っていても無視したり・・・。もしかしたら百鬼丸は「暖かい心」とか「愛情」を奪われてしまったのかも!?

 

だって、明らかに冷たい態度が増えたもんね! だとすれば、これは絶対に取り戻さないと!

 

それともう一つ。「この地とこの地に生きる民のために」? ということは、鯖目の土地は醍醐領ではないけれど、マイマイオンバの幼虫に旅人を食べさせることでこの地や民を守ってもらっているということでしょう。 いわば、第2話の「万代の巻」と同じような約束になっているのかも知れませんね。

 

万代が旅人を差し出せなければ村人を食べていたのと違い、マイマイオンバは鯖目が食料になる旅人を用意できるまで我慢しているようなので、少し状況は違うようですが。マイマイオンバと鯖目は、なんだか愛し合っているようにも見えます。

 

続きは次回に引き継がれるので、第16話でいろいろ明らかになるのでしょう!


[char no=”1″ char=”あいびー”]しかし百鬼丸がよく喋るようになってきました。CVを務める鈴木拡樹さんの声って不思議ボイスですよね。なんだかちょっと人工的な掠れ声。わたし基本、掠れ声は苦手なんだけど、百鬼丸の声は決して嫌じゃない。1969年版の百鬼丸はアランドロンの声を担当していた野沢那智さん。低いけれどよく通る男っぽい声でした。顎の細い今の百鬼丸には、鈴木拡樹さんの声がピッタリだと思います![/char]

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