「巨人どころじゃない敵の存在に、壁内人類は、どう未来を切り拓のか──」。「進撃の巨人」シーズン3、第2クール第59話「壁の向こう側」の感想と考察を、詳細あらすじとともにお届けします。圧倒的な力をもつ巨人と人類の果てしない戦いを描いた人気アニメ「進撃の巨人」。【注意】完全ネタバレです!



第59話/ようやく掴めるかと思った自由が、海の彼方に消えてゆく──ユミルの民が自由になれる日は来るのか?

▲明るい空を飛ぶ鳥に、思わず笑顔になるアルミン 出展/TVアニメ「進撃の巨人」公式

 

#59

壁の向こう側

 

第3クール最終話となる第59話は、前回の終盤から続く御前会議の席上から始まる。これまで最大の謎であり最大の脅威と捉えられてきた巨人の正体が、自分たちと同じ血筋の民族で、自分たちを滅ぼそうとたくらむ他民族・マーレ人の手で巨人化された者たちだったこと。さらにマーレ人は、壁のあるパラディ島に眠る化石燃料ほしさに壁内人類を滅ぼそうとしていることが、グリシャ・イェーガーが残した記録に記されていた真実として共有された。

 

「敵は・・・世界。しかしこのことを公表すれば、壁は大混乱に陥りますぞ」。「そうだ。われわれでさえ、事の大きさを測りかねている状態にあるのだ」。ハンジ以下、ウォールマリア奪還作戦を生き延びた9人の調査兵団(実際は、病室にいるサシャ以外の8人)を取り囲むように座っている憲兵団、駐屯兵団の代表者たちはうろたえていた。

 

ピクシス指令「ならばまた民を騙すか? レイス王がやったように、何も知らない民をこの壁のなかで飼おうというのか? ならば、われわれには何の大義があってレイス王から王冠を奪ったのだ?」

 

そう言われて臨席する代表者たちは言葉を失い黙り込んだ。

 

公表しましょう」。全面中央に座る現在の女王ヒストリアが言った。

 

ヒストリア「100年前、レイス王が民から奪った記憶を、100年後の民にお返しするだけです。われわれは皆、運命をともにする壁の民。これからは一致団結して、力を合わせなければなりません」

 

女王の一声で、世界の真実が壁の人々に公表された。人々は新聞の号外に群がり、新しくもたらされた驚くべき情報の話題でもちきりだ。

 

恐ろしい敵を排除したと思ったら、自分たちが排除される側だったという皮肉な現実

 

突然現れ壁の扉をけ破り、壁内人類を混乱と恐怖に陥れた超大型巨人の登場から始まった「進撃の巨人」は、ひとつの大きな区切りを迎えました。これまで謎に満ちていた、さまざまな事実が明らかになったのです。

 

巨人とは何か? どうして壁内人類は壁ができる以前の記憶をなくしているのか? 壁の外に人はいないのか? グリシャ・イェーガーはどこから来たのか? グリシャはなぜレイス家から巨人の力を奪ったのか? 壁はどうやってできているのか?・・・。

 

明かされた真実は、およそ信じられないような話ばかりでした。御前会議に臨席していた各兵団の代表者たちですら公表にしり込みするほどの。

 

シーズン3の最終話となる第59話では、ウォールマリア奪還作戦で調査兵団が持ち帰った情報を知った民衆の反応、さらに英雄として表彰を受ける調査兵団の9人の生き残りたちの様子が描かれます。いわば、第1話~第58話までの戦いと探求の締めくくりです。さらに最終シーズンとなる次期シーズン4に向けての足掛かりも少し描かれています。

 

グリシャ・イェーガーが残した、およそ信じられないような、この世界の真実。それを記事にして人々に伝えたベルク新聞社の二人の記者(若いピュレと年配のロイ)と、ハンジとリヴァイの4人は、とある建物の2階でテーブルを囲んでいる。どうやら場所は新聞社の1室。おそらく応接室のようだ。

 

記者ピュレ「人類を脅かす人食い巨人の正体は人間であり、われわれと同じ祖先をもつ民族”ユミルの民”だった。われわれの王は、100年前にこの壁を築き、巨人の力で民衆の記憶を改ざんし、壁の外の人類は滅亡したと思いこませた。だが人類は滅んでなどおらず、われわれユミルの民をこう呼んでいる。”悪魔の民族”と。近い将来、敵はこの土地の資源獲得を口実に、進行を開始する。それが、5年前から始まった超大型巨人らの襲撃である、と」

 

記者ロイ「もう記事は出た後ですが、一連の話の信ぴょう性は──」

 

ハンジ「少なくとも、われわれがずっと抱いていた疑問とは辻褄があっている。そりゃ信じたくはないですよ。そんな話──それで、街の反応は?」

 

記者ロイ「さまざまです。そのまま受け取る者、笑い飛ばす者、いまだ兵政権に異を唱え陰謀論を結び付け吹聴する者。あなた方が危惧したとおりの混乱状態です」

 

ハンジ「あぁ。でも、仕方ないよ。調査報告がわれわれの飯代だ。情報は納税者に委ねられる──そこが、前の王様よりイケてるところさ」

 

ハンジの言葉にロイもピュレも表情を和らげる。

 

記者ロイ「あなた方を誇りに思います。同じ壁に生きる者として、また働く者として」

 

「あぁ、どうも──」と、ハンジは照れくさそうに視線を外した。隣でテーブルに肘をついているリヴァイは、嫌味なことを言う。

 

リヴァイ「あぁ、今度は調査兵団を担いで記事を書くといい」

 

それを聞いてハンジは、あからさまにリヴァイを睨む。以前、新聞は王政に都合のいいことしか書かなかったことをリヴァイは皮肉っているのだ。それはもちろん、政府からの圧力があったからで、正確には「書けなかった」わけだが。ハンジもリヴァイも、まだまだ人付き合いでは本音が出る。エルヴィンのような重みを身に着けるには、まだ時間がかかりそうだ。

 

そのやり取りに気を悪くするでもなく、逆に少し微笑んでからロイは言った。

 

記者ロイ「わたしたちは、これからどうなります? わたしたちが巨人を恐れ、憎み、どうかこの世からなくなれと願ったのと同じように、世界中の人々が、われわれを人ではなく有害なバケモノとみなした。その結果、あの地獄が繰り返されるのだとしたら──。我々が死滅するまで地獄は、終わらない」

 

ロイが両手を添えたティーカップが、ソーサーの上でカタカタ鳴った。

 

自由への願いと代償

 

ウォールマリアを奪還し帰還した9名の調査兵団員は、その功績を称え勲章を授与されることとなった。ロングコートをきちんと身に着けたエレン、ミカサ、アルミン、ジャン、フロックが式典会場の壁際に立っている。少し離れてまだ体調が万全でないのかサシャが椅子に座っていて、その側にコニーが付き添っている。ハンジとリヴァイの姿はない。

 

ヒッチ「やぁ、壁の英雄たちよ。あんたたちが勲章もらうのを見に来たんだよ」

 

そこに現れたのが憲兵隊のヒッチだった。ジャンは少し視線を落としてからヒッチに向き合った。ヒッチとマルローが仲が良かったのを知っているのだ。

 

ジャン「マルローは、最後まで勇敢だったよ。そうだろうフロック。話してやれ」

 

フロック「あぁ──マルロー・フロイデンベルクは、オレと同じ急募入団の新兵で・・・」

 

ジャンに促されフロックは、現場がいかにひっ迫した状況だったか、その中でいかにマルローが皆を鼓舞し続けていたかを話した。

 

フロック「でも最後は、あそこに行ったことを後悔しただろう」

 

フロックの言葉を訊いたヒッチは「ありがとう、式でヘマしたら笑ってやるから」と手を振りその場を離れた。フロックの言葉は正しかったかもしれないが、わざわざ言うべきことでもなかった。だからヒッチもそれ以上聞きたくなくてその場を離れた。フロックは考えも言動も直接的で、あまり人に遠慮したりおもんぱかったりすることができない人間のようだ。見かねてジャンが口を開く。

 

ジャン「おい、何でそんなことを!」

 

フロック「でも、誰かが本当のことを言うべきだろう」

 

その視線は、アルミンに向いていた。フロックが言いたい「本当のこと」は、エルヴィンとアルミンのどちらを生き返らせるかでもめた一件のようだ。察したアルミンは伏し目がちに口を開いた。

 

アルミン「君がエルヴィン団長を生き返らそうと必死だったことは知ってる」

 

フロック「そうだ、おまえじゃなく、団長がふさわしいと思った。でもそれはオレだけじゃない。皆だ。報告書を読んだ誰もがそう思った。何でエルヴィンじゃないんだって」

 

エレン「おまえがアルミンの何を知ってるって言うんだ。言ってみろよ!」

 

たまらず気色ばむエレン。

 

フロック「知らないな。オレは幼なじみでもないし、仲良しでもないから。でも何でアルミンが選ばれたかは分かる。おまえら二人とリヴァイ兵長が私情に流され、注射薬を私物化し、合理性に欠ける判断を下したからだ要は、大事なものを捨てることができなかったからだろ」

 

エレン「なぁ、おまえそろそろ黙れよ」

 

フロック「エレン、おまえって腹の底じゃ、なんだって自分が一番正しいって思ってんだろ。だから最後まであきらめなかった。聞き分けのねぇガキみたいに」

 

歯を食いしばり、沸き立つ感情を押し殺すエレンの肩にミカサが手をかける。

 

ミカサ「エレン、もういいから離れて」

 

フロック「その点ミカサはまだ大人だった。最終的にあきらめたんだからよ」

 

止まらないフロックの嫌味。「おい、なんだってんだよ!」と、たまらずジャンが割って入った。

 

ジャン「フロック、これから死んだ仲間を弔おうって式の場なんだぜ」

 

コニー「何でもう終わった話を蒸し返すんだよ」

 

フロック「おまえらは、上官に歯向かうわけでもなく、エレンとミカサを止めるわけでもなく、ただ見てただけだったよなぁ。なんの勲章だ? 誰を弔う。これから補充する調査兵団には本当のことを言えよ。オレみたいな腰抜けが間違って入ってこねぇようにな。エルヴィン団長なしでこれからどうするつもりなんだよ。そりゃ、オレみたいなザコ、使い捨てるくらいしか使い道もないだろうが、そんなザコにだってなぁ、値踏みする権利くらいはあるだろう」

 

アルミン「・・・フロックが正しい」

 

しばらく黙って聞いていたアルミンが、顔を歪めて言った。

 

アルミン「エルヴィン団長が生き延びるべきだった。この状況を変えることができるのはボクじゃない」

 

エレン「何でそんなことが分かるんだよ。オレには分からないな。正しい選択なんて、未来は誰にも分からないはずだ。だいたい、おまえは見たのかよ? 壁の外を。壁の外には何があるんだ?」

 

エレンの問いかけに応じて、アルミンはゆっくりと顔を上げ、「・・・海」とつぶやいた。

 

エレン「そうだ、海がある。でもまだ観てないだろう。オレたちはまだ何も知らないんだよ。炎の水も、氷の大地も、砂の雪原も! 可能性はいくらでも広がっている。きっと壁の外には自由が──」

 

エレンはまさに「進撃の巨人」そのもの。「進撃の巨人」とは、自由を求めてやまない、自由を得るまで戦い続ける巨人の名。しかし同じように自由を求めたグリシャは、自らの行いの代償を払わなければならなかった。「あの日」、自由を求めて妹のフェイの手を取り壁を突破して飛行船を追った代償は・・・最愛の妹の死だった・・・。「きっと壁の外には自由が」と言ったエレンの脳裏には、まざまざとグリシャの記憶がよみがえってきて──ついにエレンは言葉をなくした。

 

少し離れたところから新兵たちのやり取りを訊いていたリヴァイが歩み寄る。

 

リヴァイ「おいガキども、時間だ。並べ」

 

気の利いたことの一つも言わず、リヴァイはただ親指を立てて並ぶよう指示した。

 

感想1、真実とどう向き合うか?


壁の内で100年の平安を享受してきた人類は、突然現れた超大型巨人により命の危機にさらされました。「進撃の巨人」という作品は、巨人による理不尽な蹂躙に抗い続ける、人類の果てしない戦いを描いたものです。強大で意思疎通もできない、その目的も分からない巨人を相手に、ひとり一人は小さな存在である人間が、その英知を振り絞って戦いに挑み続けてきた軌跡です。

 

今、ようやくその巨人の正体がわかり、なぜ巨人たちが壁の中の人類を襲ってきたのか、その理由が分かりました。

 

壁の外の真実とは──壁の中の人類は「悪魔の民族」として恐れられており、その脅威を排除するために壁の外の人類により滅ぼそうとされている──というものでした。これまでバケモノを追い滅ぼそうとしてきた壁の中の人類が、今度はバケモノとして滅ぼされようとしているという、なんとも皮肉な現実です。

 

けれど、本質は変わっていません。「理不尽な蹂躙に抗い続ける軌跡」は、これからも続きます。あきらめてしまったら、そこでゲームオーバー。今度は敵は壁の外の人類すべて。いわば「世界」。

 

その真実を知らされた人々は混乱しています。そのまま受け取る者、笑い飛ばす者、いまだ兵政権に異を唱え陰謀論を結び付け吹聴する者。けれど、受け取り方はどうあれ、だれでも真実を知る権利がある。

 

それをそのまま実行したのがフロックでした。

 

ヒッチにマルローの最後の様子を話したとき、いかにマルローが勇敢だったか話すと同時に、「でも最後は、あそこに行ったことを後悔しただろう」と。ヒッチはそれ以上は聞きたくないとばかりにその場を離れました。

 

さらにフロックはエルヴィンではなくアルミンが生かされたことにも不満を蒸し返します。誰もがエルヴィンを生かすべきだと思ったと。とうぜんエレンやミカサは反発しますが、アルミンは受け入れました。受け入れるしかないですよね。

 

ヒッチとアルミン。二人とも真実との向き合い方が違います。どちらが正解でどちらが間違っているというのではなくて、人それぞれだと思うのです。でも、現実を乗り越えようとするなら、アルミンのように現実を受け入れ先を向いて歩いていくことが大切だと思います。アルミンは大人ですね。

 

それに引き換えフロックはなんて子どもっぽい──まぁ、エレンもたいがい子どもっぽいけどね。

 

授与式にて──地下室にあったのは希望か、それとも絶望か?

 

ウォールマリア奪還作戦で命を落とした者たちを弔い、生還した9人を称える勲章授与式が執り行われる。光差す一面の窓を背景に、冠をいただき、赤いマントを着用した女王ヒストリアは、今、胸に手を置きうやうやしくひざまずき頭を垂れる9人の勇者たちに勲章を与えるところだ。勲章は緑色の石のついたループタイ。石には調査兵団の印「自由の翼」が彫られている。

 

まずヒストリアはハンジの首にループタイをかけた。ハンジはヒストリアの右手を取りその甲に口づける。それが勲章をさずかるさいの一連の動作となっている。

 

エレン(地下室にあったものは何だ。希望──だったのか? それとも絶望か? 敵は果てしなく強大だった。このまま何も変わらなければ、またあの惨状が繰り返される。何かを変えることができるなら──自分の命ぐらい、いくらでも捧げてやるのに。オレには・・・ヒストリアを犠牲にする覚悟がない

 

さっきのフロックとの言い合いのせいで、エレンの頭の中はいっぱいだった。膨大な犠牲を払って得たものは、屍を積み上げてたどり着いたエレンの家の地下室で見つけたこの世の真実は、あまりに厳しいものだった。それを打開するカギは、レイス家から奪った「始祖の巨人の力」。その力を発動するには、王族を──ヒストリアを巨人にして接触すればいいのかも知れない──そう思いついたものの、エレンにはそれを言う勇気がない。

 

ループタイの勲章はハンジからリヴァイ、続いてエレンが授与する番となった。ヒストリアがエレンの首にループタイをかけ、エレンがヒストリアの右手を取り口づけようとした、そのとき──。

 

パリパリと弱い電流のようなものが走り、エレンの頭にとある映像が結ばれる。

 

▲壁の王・フリーダ・レイス 出展/TVアニメ「進撃の巨人」

 

場所はレイス家の聖堂。青白く光る聖堂の中には中央に始祖の巨人の力をもつフリーダ、左後方にロッド・レイス、ロッド・レイスのさらに左には彼の妻らしき人物。フリーダの左右にいるのは彼女の4人の兄弟たち。全員が同じような白い衣服を着ている。

 

グリシャ「わたしは壁の外から来たエルディア人。あなたがたと同じユミルの民です。壁の王よ、今すぐ壁に攻めてきた巨人を殺してください。妻や子どもたちが──! 壁の民が食われてしまう前に!」

 

どうやらこれは、始祖の巨人の力を奪う直前のグリシャの記憶のようだ。グリシャは、壁の人類を助けるために始祖の巨人の力を使うようフリーダに懇願しているのだ。しばし目を閉じ苦悶の表情を浮かべたフリーダは、やがて目を見開いた。フリーダはそこで何事かを語ったのだろう。グリシャは歯をむき出しに驚愕の表情を浮かべ・・・。

 

突然流れ込んできたグリシャの記憶に気を取られ、エレンはヒストリアの右手を取ったまま動かなくなってしまっていた。心配したヒストリアが声をかける。

 

ヒストリア「エレン・・・?」

 

エレンの表情は記憶の中のグリシャと同じ、歯をむき出し目を見開いて、驚愕の表情を浮かべていた。

 

感想2、フリーダの言葉

▲ヒストリアの手を取り驚愕の表情を浮かべるエレン 出展/TVアニメ「進撃の巨人」

 

授与式で、エレンがヒストリアの手を取ったとき、唐突にエレンに流れ込んできたグリシャの記憶。

 

グリシャ「わたしは壁の外から来たエルディア人。あなたがたと同じユミルの民です。壁の王よ、今すぐ壁に攻めてきた巨人を殺してください。妻や子どもたちが──! 壁の民が食われてしまう前に!」

 

これは、超大型巨人により外門が破られ、シガンシナ区に巨人がなだれ込んできた直後の出来事でしょう。グリシャはフリーダに「始祖の巨人」の力を使って壁の中の人類を救ってほしいと頼んでいます。けれどフリーダは何かを告げ、それに対してグリシャは驚愕の表情を浮かべます。

 

ここでフリーダは何と言ったのか?

 

始祖の巨人との「不戦の契り」について語ったのだろうと思われます。王家の者は「不戦の契り」に囚われ、戦うことができない、人類を救うことができない、と。

 

そこで仕方なくグリシャは、クルーガーが課した任務を実行したのでしょう。つまりクルーガーから受け継いだ進撃の巨人になり、フリーダを捕食して始祖の巨人の力を奪った──ということなのでしょう。

 

でも、ちょっとした疑問も残ります。「不戦の契り」について、グリシャはあらかじめクルーガーから情報を得ていたはずです。だからそれについてフリーダが話したとしても、ここまで驚かなかったろうと思うのです。今はまだ語られていない「何か」がここに潜んでいるのかも知れません。

 

現在公開可能な情報

未来への意思

我々は世界全体が憎む「悪魔の民族」であると分かった。彼ら世界の人々は我々「ユミルの民」の根絶を願っている。だが、ただ座してそれを待つ理由などない。生ある限り、私たちには生き続ける義務がある。抵抗する努力をやめてはならない。しかし。しかしだ。はたしてその手段とは、世界に対し力を示し、恐怖を与えることだけなのだろうか? 巨人の力、彼らの言う悪魔の力を振るう以外に、本当に別の道はないのだろうか? 同じテーブルにつき、お互いの心を語り合う未来を考えることは夢想なのだろうか? 世界中の人々がお互いを尊重し、話し合うことは本当にできないのだろうか? 今、それが空虚な理想論に思えたとしても、私は考えたい。考えることから逃げたくない。それが私の負うべき、責務と信じるからだ。

 

「向こうにいる敵、ぜんぶ殺せばオレたち自由になれるのか?」

 

授与式から数カ月後。兵団は、ウォールマリア内の巨人は掃討されたと発表した。さらに道路整備などを経て、避難していた住人たちはトロスト区に戻っていった。

 

そして、最初の超大型巨人襲来から6年。調査兵団は、ウォールマリア外の壁外調査を開始した。馬を駆り壁外を走る調査兵団の面々。

 

リヴァイ「おまえの読み通りだ、ハンジ。ウォールマリア内に入っていた巨人がほとんどだった。オレたちはやつらを1年でほぼ淘汰しちまったらしい」

 

ハンジ「そんじゃ予定通り、目的の場所を目指すぞ」

 

奪還作戦で負傷したハンジの左目は結局もどらず、今は黒い眼帯をつけている。ハンジとリヴァイを追うのはエレン、アルミン、ミカサの3人。エレンは少し髪が伸び、大人びた表情になっている。頭上で鳴き交わす鳥の声に気づいたアルミンは空を見上げ、思わず笑顔になる。彼らの上に広がる空は高く、澄んでいた。

 

ジャンとコニーの馬のはるか前方で赤い信煙弾が上がった。「巨人だ!」「やっぱり現れやがったか!」と、信煙弾のほうに馬を走らせると、そこにいたのは体に比べて極端に細く短い手足をもつ巨人だった。巨人はなかば土に埋もれるようにして、動けずにいた。

 

サシャ「あの身体で、少しずつ這って、壁まで進もうとしたんでしょう」

 

巨人の這った後には、既に草が生えている。どれだけ長い時間ここにこうしているかが分かる。馬を降りたエレンは、巨人の額に手を置いた。その行動に驚き「おい!」と声をかけるのはフロックだ。

 

エレン「楽園送りにされた、オレたちの同胞だ」

 

そう言うとエレンも他の皆も巨人をそのままに、さらに先を目指した。フロック一人が「このままにしといていいのかよ!?」と叫んでいた。

 

やがて調査兵団がたどり着いたのは、砂地に建つ丈高い白壁だった。エレンはその場所を記憶していた。父・グリシャから受け継いだ記憶にあった場所だったのだ。

 

エレン「間違いない。ここの場所で、エルディア人は巨人にされた。そして、あの先に・・・」

 

アルミンは、エレンの言う「あの先」に目をやる。壁の脇に回り込むと、岩の切れ目に砂の上り坂があり、その道を進んでいくと──。ついに調査兵団は海の見える高台にやってきた。どこまでも青く広がる大海原に、言葉を忘れて見入るハンジ、リヴァイ、ジャン、サシャ、コニー。ミカサすらぽかんと口を開け、海に見とれている。ただ一人、エレンだけは冷静な表情で記憶を確かめていた。

 

 

幼い頃から憧れ続けた海に、ようやくたどり着いた! アルミンは呆然と目を見開いていた。

 

それから皆は靴を脱ぎ、海に足を浸してみる。アルミンの足元に、巻貝が転がっている。サシャとコニーは海水を掛け合ってじゃれあい、ジャンは海の水を舐めて「しょっぱい!」と顔をしかめる。

 

ハンジ「これ、ほんとに全部、塩水なのー? ・・・あ、何かいる」

 

好奇心旺盛なハンジが水の中を覗き込み、マントも脱がず靴をはいたまま海につかろうともしないリヴァイがくぎを刺す。

 

リヴァイ「おいハンジ、毒かも知れねぇから触るんじゃねぇ」

 

なんとハンジが見つけたものは、ナマコだった。ミカサすら靴を脱ぎ、砂に足を取られそうになりながらアルミンの側までやってきて、照れ笑いをしている。足元の巻貝を両手で拾ったアルミンは、ミカサに笑いかける。

 

アルミンほら、言っただろうエレン。商人が一生かけても取りつくせないほどの巨大な塩の湖があるって。ボクが言ったこと、間違ってなかっただろ?

 

エレン「あぁ。すっげぇ広いな」

 

アルミン「ねぇ、エレンこれ見てよ、壁の向こうには──」

 

エレン海があって、海の向こうには自由がある。ずっとそう信じてた。でも違った。海の向こうにいるのは、敵だ。何もかも、親父の記憶で観たものと同じなんだ

 

初めて見る海にはしゃぐ皆と違い、エレンはグリシャの記憶が間違いないと確信するとともに、海の向こうにあるのは自由ではなく敵だという記憶もまた現実なのだと確信する。それは、壁の外には自由があると信じてきたエレンの希望を簡単に打ち砕くものだった。

 

「なぁ」。エレンは海の彼方を指し示す。

 

エレン向こうにいる敵、ぜんぶ殺せばオレたち自由になれるのか?

 

その問いに答えられる者は誰もいなかった──。

 

感想その3、王家の末裔は3人

▲ダイナ巨人 出展/TVアニメ「進撃の巨人」

 

エレンが「始祖の巨人」の力を発動すれば、マーレ政府に奪われた巨人たちも操ることができます。そうすれば再びマーレ政府を倒しエルディア復権が果たされるでしょう。でも、そのためには王家の巨人と接触することが必要・・・と、エレンは考えています。

 

だとすれば壁の王家の末裔ヒストリアもしくは、大陸の王家の末裔ダイナの存在が重要です。でも、壁外調査を再開したリヴァイいわく「ウォールマリア内に入っていた巨人がほとんどだった。オレたちはやつらを1年でほぼ淘汰しちまったらしい」と。ダイナ巨人はどこに行ってしまったんでしょう? ダイナ巨人も駆逐されてしまったのでしょうか?

 

そしてもう一人、王家の末裔がいますよね。ダイナとグリシャの息子ジークです。ジークは既に巨人化している・・・とすれば、ジークと上手く手を結ぶことができれば、エルディア復権が果たせるような気がしてきました!

 

感想その4、アルミンが拾った巻貝の意味するものは・・・。

 

シーズン3のしめくくりとなる第59話のラストは、アルミンが海から拾い上げた貝殻のアップでした。貝殻というか、サザエみたいな巻貝ですね。象徴的に描写されたこの巻貝、何だろうかと考えると、おそらくですが、この巻貝じたいが3重の壁を築いてその中に引きこもってきた壁内人類そのもののように思えます。

 

貝殻の外には広大な海が広がっています。貝殻の中だけが世界のすべてだと思っていたら、外からみたら貝殻の中なんてとても狭い世界でした。その広さにエレンは恐れを抱き、アルミンは目を輝かせます。

 

これからの展開、アルミンの重要性が増していくような、そんな予感を抱かせるラストでした。そしていつか、フロックに後悔させてやりたいものです! 「あのときは、ごめん」って一言謝らせたいですよね!

 

感想その5、絵がものすごくキレイでした!

▲「海の向こうには自由があると思っていた・・・」 出展/TVアニメ「進撃の巨人」

 

「進撃の巨人」は安定していつも絵がきれいですが、今回の空と海の背景はとくに素晴らしくきれいでしたね! 空は澄んで高く、海はキラキラと輝いて。エレンはちょっと大人びているし、アルミンは期待に目を輝かせているし。

 

絵の力って大きいから、美術さんが頑張ってくれていると嬉しくなります。ありがとうございました。

 

ファイナルシーズン4は、2020年秋オンエア!

 

ついに来期シーズン4はファイナルシーズンとなります。オンエア予定は2020年秋。まだ先になりますが、アルミンの超大型巨人を見てみたいし、ジークたちとの確執も残っているし、エレンがいずれ手にするだろう「始祖の巨人の力」をどう使うかも気になりますよね。ユミルの件も未解決のままです。

 

そしてもちろん、壁内人類がどんな決着を迎えるのかも見逃せません!

 

あいびー

自分たちが世界から疎まれている「悪魔の民族」だと知ってしまった壁内人類。巨人のように駆逐するには強大すぎる「世界」という相手と、調査兵団はどう戦っていくのか? エルディア人の行く末を見守るファイナルシーズンは、2020年秋に放送予定です! もう楽しみすぎて!

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