大人気アニメ「BANANA FISH」の世界を、各話のあらすじと見どころを、キャラクターたちの気持ちを軸に紹介します。今回は第11話~17話。バナナフィッシュを深く理解するために外せない名場面が目白押しです! 【注意】完全ネタバレです。



第11話/「そばにいてくれ──」アッシュは英二の膝にすがって泣く──。

 

「美しく呪われし者」

The Beautiful and Damned

 

ショーターを失い、なんとか英二だけは取り戻してニューヨークのダウンタウンにもどってきたアッシュ。ボスとしてテキパキと仲間たちに指示をだし、武器を調達するも、やはり心に深い傷を負っています

 

夜半、うなされて飛び起きたアッシュは、英二に自らの幼少期の辛い過去を告白します。

 

アッシュ「オレは自分が怖い。ショーターを殺すなんて──。今まで何人殺したかわからない。何も感じないんだ・・・何も・・・」

 

涙をこぼすアッシュの肩を抱く英二。

 

英二「アッシュ、アッシュ落ち着いて。何も感じていないなんてことなんてない。君は傷ついている。とても。ボクはよく分かっているよ。君はボクを助けてくれた。君があのことで責めを負うならボクも同じだ。今は何を言っても慰めにならないのかも知れない。でも、これだけは忘れないで。世界中が君の敵に回っても、ボクは君の味方だってことを。ボクは君のそばにいる。君がもし迷惑じゃなければだけどね」

 

涙をためた大きな目を見開いて英二を見つめるアッシュ。

 

アッシュ「側にいてくれ。ずっとなんて言わない。今だけでいい」

 

そのままアッシュは英二の膝に顔をうずめて──冷酷に銃を撃ちながらも罪の意識にさいなまれ揺れるアッシュの心を英二は全身で受け止めます。アッシュにとって英二は、幼い自分を育ててくれた兄のグリフィンと重なって見えているようです。この日以降、アッシュは英二を茶化したように「お兄ちゃん」と呼ぶようになります。

 

アッシュに比べれば英二はとても平凡です。ただ善良なだけ。それでもアッシュは英二がいるときにだけ、素の自分に戻れるんだろうと、二人の親代わりのようなマックスと伊部は考えています。英二の安全のためにと、日本に帰国するよう勧め続けてきた伊部も、ここでようやく諦めの境地です。

 

言葉には出さないけれど、マックスは二人の親密な関係性が危険だと勘づいています。英二がアッシュの「アキレスのかかと」、つまり「唯一の弱点」になってしまったと。

 

第12話/アッシュと口喧嘩した英二は、図書館にアッシュを探しに出かける。そこで見つけたのは──。

 

「持つと持たぬと」

To Have and Have Not

 

もともとは自分の仲間だったが、今ではすっかりゴルツィネ側についてしまったオーサーと、アッシュはサシの勝負を決意します。オーサーにもそれを決意させるために、アッシュはこれまでないほどオーサーの仲間を追い詰め、自分の仲間に殺しまでさせています。それを察知した英二は、ある夜アッシュを咎めます。

 

英二「今の君は君じゃない。ボクの、スキップやショーターのよく知っている君じゃない」

 

口喧嘩の末、飛び出していったアッシュを探して、英二は図書館にやってきます。閲覧室で静かに本を読んでいるアッシュの後ろ姿を見つける英二。このとき、英二はアッシュの壮絶ともいえる深い孤独を感じ、自分だけは何があっても彼を信じようと決心します。ここではサラリと流されているこのシーンは、英二の心に強く刻まれ、最終話で語られることになる見逃せない名場面です。

 

一方アッシュは、ゴルツィネの事務所に出入りしている客に政府高官や軍関係者を見つけ、合衆国政府を巻き込んだゴルツィネの大きな陰謀に気がつきます。そして、英二を遠ざける決心をして、10日後の羽田行きの航空券を英二の分と伊部の分の2枚、リザーブします。

 

「住む世界が違う」と何度も説明して英二を遠ざけようとするアッシュと、日本食をつくったりハロウィンパーティを開いたりしてアッシュの気持ちを和ませようと努力する英二。お互いがお互いのためを思って動く様子に、二人の結びつきの強さを感じさせます。

 

第13話/「君はヒョウじゃない!」希望のない未来に向けて走ろうとするアッシュに英二は強く反論する。

 

「キリマンジャロの雪」

The Snows of Kilimanjaro

 

1クール目の最終話となる第13話は、アッシュと英二の気持ちが交錯するとても重要な回です。

 

ついにオーサーとの一騎打ちに臨むアッシュですが、またしてもオーサーは卑怯な手を使ってアッシュに襲い掛かります。ここで命を落とすかもしれないと覚悟したアッシュは、口喧嘩して飛び出したアッシュを図書館まで探しにきた英二と仲直りした夕暮れに、運河沿いで交わした会話を思いだします。

 

アッシュ「キリマンジャロの高さ1万9710フィートの雪に覆われた山で、西側の頂はマサイ語で”神の家”と呼ばれている。この西側の頂上近く、干からびて凍り付いた一頭のヒョウが横たわっている。こんなところまでヒョウが何を求めてやってきたのか、誰も説明した者はいない。──『キリマンジャロの雪』という小説に出てくる一節さ。オレは自分の死を思うとき、このヒョウについて考える。ヤツはなぜ、何のためにそんな高地へとやってきたのかを。獲物を追いさまよううちに、戻ることのできない場所へ迷い込んでしまったのか。それとも何かを求め、憑かれたように高みへと上り詰め、力尽きて倒れたのか。ヤツの死体はどんなだったろう。戻ろうとしていたのか、それともなお高みへと登ろうとしていたのか。いずれにせよ、ヤツはもう戻れないと知っていたに違いない」

 

アッシュがまるでキリマンジャロのヒョウのように、絶望に向かって突き進む決意をしていると感じた英二は、君はヒョウではないと力説します。

 

英二「人間は、運命を変えることができる。ヒョウにない知恵をもって。そして君はヒョウじゃない。そうだろ?」

 

英二の反論に頷いてみせたアッシュですが、その言葉はどこか空虚な響きでした──。

 

英二に詳しいことを一切知らせず空港に連れていくようアッシュから命じられていた仲間二人は、たまらずアッシュがオーサーとの決闘に向かったことを英二に話してしまいます。二人を振り切り、英二はアッシュを求めて街を走りだします。

 

激闘の末ついにオーサーを仕留め、勝利の右手を上げたアッシュは、歓声に沸く群衆の中に英二の姿を認めると悲痛な叫びをあげます。

 

アッシュ「日本へ帰れ! オレはおまえに見ていられたくないんだ!」

 

オーサーとの決闘で多くの死者を出してしまったアッシュは犯罪者として、警察に追われる立場になることをアッシュは覚悟しています。しかもこの先、激化するだろう闘いを見据え、さらに冷酷にならざるを得ないアッシュは、そんな自分を英二に見せたくないのです。

 

ついにアッシュは警察に包囲されて気を失い、決闘の最初からアッシュを見続けてきたシンは、改めて「かなわない」とアッシュへの畏敬の念を強くします。

 

第14話/アッシュの驚くべきIQが発覚!

 

「夜はやさし」

Tender is the Night

 

今回から第2クールとなり、オープニングとエンディングの楽曲が変わりました。オープニングの最初、じょじょに明るくなっていく画面とともに瞳孔が狭まっていくアッシュの緑色の瞳が印象的です。

 

オーサーとの決闘に勝利したものの重症を負ったアッシュは、手術を経て一命をとりとめます。病室を訪れたニューヨーク市警察のジェンキンズ警部は、アッシュにこう言います。

 

ジェンキンズ「自分のしたことは分かっているな。おまえももう18歳だ。子どもではない」

 

アメリカでは18歳から成人として扱われるので、通常の裁判にかけられると告げているのです。次の回で分かりますが、どうやら実刑300年の見積もりのようです。

 

アッシュ「今まで法を無視して生きてきたんだ。今さら法に守ってもらおうなんて、虫のいいことは考えていない」

 

廊下に出たジェンキンズ警部は、すっかり覚悟しているアッシュの様子を思いだしやりきれない様子で呟きます。

 

ジェンキンズ「加害者と被害者は紙一重か。やりきれんな」

 

ジェンキンズ警部はアッシュの幼い頃の事件を知っているのです。本来なら守られるべき被害者が、いつしか身を守るため加害者になってしまう──ジェンキンズ警部のもどかしい気持ちが伝わってきますね。アッシュを取り巻く大人たちは、皆、なにがしかの悔しさやもどかしさ、憤りを覚えています。でも、だれも彼を救うことができません。

 

警察は、アッシュの精神状態や知能を検査します。その過程でIQ180以上という、アッシュの並外れて高い知能が発覚します。これに興味を示した医師の待つ、国立精神衛生センターにアッシュは移送されることに。

 

第15話/「なぜ、おまえなんだ!」ユエルンは英二に激しい苛立ちを見せる。

 

「エデンの園」

The Garden of Eden

 

テレビでは、ストリート・ギャングの抗争の首謀者アッシュが死亡したというウソのニュースが流されます。どうやらゴルツィネが政治家に手を回し、アッシュが警察に追われないようにしたようです。

 

集団暴動罪で拘置所に入れられていたシンと英二は、ユエルンの力により釈放されていました。ユエルンは英二を自分の屋敷に閉じ込めています。アッシュ死亡の報道を受けて、英二はユエルンに銃をつきつけ屋敷を抜けだします。やがて車を降りた二人は夜の路上で対峙します。

 

英二はニュースを信じていないと言い、ユエルンは、もしアッシュが生きているなら自分は敵に回ると宣言します。「たった今、そう決めた」と。それを聞いて英二はユエルンに銃口を向けます。

 

ユエルン「撃てよ。アッシュのためにボクを殺せよ。どうした、アッシュならためらわずに引き金をひく。たとえアッシュのためでも、君は自分の手を汚すことができないってわけだ」

英二「違う。無抵抗な人間を撃てなんて──」

ユエルン「何が違う。アッシュなら君のためにためらわずに手を血で汚す。君を傷つけないために自分を傷つける。フェアじゃないね、まったくフェアじゃない。なぜおまえなんだ」

英二「おまえなんかに分からない。分かるもんか!」

 

ユエルンは、自分とアッシュが同じような存在だと感じています。陰陽太極図の白と黒のようなものだと。ユエルンは、自分の存在や力を自認していると同様に、アッシュという人間も認めています。どちらも自らの力を頼りに混沌の世界を生き延びている人間です。自覚していないようですが、もしかしたらユエルンは、自分もアッシュから認められたいと思っているのかも知れません。もしアッシュが自分を信頼してくれるなら、アッシュ側についてもいいと思っていたのかも知れません。

 

ところがアッシュには全服の信頼を置く英二という存在がいるのに気がつき、英二のどこがそんなに魅力的なのか見定めようとしています。英二は特別、優れたところの感じられない平凡な男で、なぜアッシュが英二を選ぶのか、ユエルンには分かりません。

 

アッシュに認められたいと思っていると同時に、自分と同じ境遇のアッシュに英二のような友人がいるのが、ユエルンには信じられません。自分には誰もいないのに、なぜアッシュには──と、強いジェラシーからくる苛立ちを隠せません。アッシュと英二のつながりを理解したいユエルンの行動は、ここだけに収まりません。

 

第16話/「小僧めよくやった、褒めてやる!」素直じゃないゴルツィネのアッシュへの愛情もれまくり!

 

「哀しみの孔雀」

Lo, The Poor Peacock

 

アッシュが移送された国立精神衛生センターは、表向きは犯罪者の厚生施設となっていますが、じつはゴルツィネ率いるコルシカ財団の息がかかった施設でした。あわやバナナフィッシュの実験台にされる寸前だったアッシュは、ゴルツィネの登場により難を逃れます。

 

翌日、病室に入れられたアッシュは警備員を襲い、バナナフィッシュの生みの親であるドースン博士を連れて逃亡します。

 

一方、ゴルツィネはアッシュが起こした詐欺事件で多額の資金を奪われたことの責任を問われ、コルシカ財団から失脚していました。かわってトップになったザハレフ男爵が、逃亡したアッシュを捕えるためてこずっている様子を楽しそうに見物しています。

 

「IQ200以上と言ってもただの子どもだろう?」と、なめてかかる男爵の言葉に、ゴルツィネは心の内で毒づきます。

 

ゴルツィネ「そうだ、そうして舐めてかかるがいい。おまえなどに分かるはずがないのだ。アレはわたしが創り上げたこの世で唯一の魔性の生き物なのだからな。知性と力、強靭な精神力、ひるいなき気品と美貌。それを生かすも殺すも、その権利は創造主たるわたしのものなのだ」

 

完全に「子離れできない親の心境」ですね。アッシュがかわいくてかわいくて仕方がないようです。ゴルツィネの期待通り、アッシュはドースン博士を連れて逃げおおせます。

 

ゴルツィネ「小僧めよくやった、褒めてやる。おまえの息の根を止めるのは、このわたしなのだからな。貴様は誰にも渡さん!」

 

[char no=”1″ char=”あいびー”]ほんと、素直じゃないですねパパ・ディノは。この回は、看護婦に変装したアッシュも見ものです![/char]

第17話/「側にいてくれと、もう一度言わせたいのか?」照れるアッシュと英二の嬉しそうな表情が見逃せない!

 

「殺し屋」

The Killers

国立精神衛生センターを逃げ出したアッシュは、英二を探してシンのアジトに現れます。アッシュの無事な姿に歓喜する英二と仲間たち。

 

夕陽さすビルの屋上で、英二はアッシュを抱きしめ、アッシュもおずおずと英二の背に手を置きます。そして英二に言うのです。

 

アッシュ「おまえを日本に帰しても、何かありはしないかと、きっと気をもむ。それならいっそ、目の届くところにいてくれた方がいい。──何とか言えよ。側にいてくれと、もう一度言わせたいのか?」

 

英二が自分の中で大切な存在になるにつれ、ことあるごとに「日本に帰れ」と言い続けてきたアッシュが、照れながらも「側にいてくれ」と改めて思いを告げるこのシーンは見逃せません! 11話でもアッシュは英二に「側にいてくれ」と言いますが、そのときは「今だけでいい」という望みでした。でもここでいう「側にいてくれ」は、もう「ずっと」側にいてくれという意味です。

 

第13話で「オレはおまえに見ていられたくないんだ!」と、悲痛な叫びをあげたアッシュは、自らの手がどんどん血で汚れていくのを英二に見られたくないと思っていました。おそらく、アッシュは自分を恥じていて、自分に対する英二の態度が変わるのを恐れていたのでしょう。

 

第17話のこの時点で、アッシュはもう何十人と殺害しています。それでもアッシュに対する英二の態度は少しも変わりませんでした。アッシュの身を案じ、その帰還を心から喜び、抱きしめてくれる英二の気持ちに一点の曇りもないことをアッシュが確信したのがこのシーンです。

 

だからもう、英二を手放す理由がなくなったのです。アッシュのこの微妙な心の変遷を見逃さないでくださいね!

 

マックスと伊部は、知り合いの別荘にドースン博士を隠しています。ある日、そこに様子を見に行こうとアッシュと英二はフェリーに乗ります。そこでの二人のやりとりも、記憶に残しておきたいところです。

 

英二「前に話してくれたことがあっただろう。君の本当の名前”アスラン”ていうのは、お母さんがつけたものだって。何か意味があるの?」

アッシュ「古代ヘブライの祈りの言葉で”暁”って意味だそうだ。おれは夜明けに生まれたから」

英二「じゃぁ、ミドルネームの”ジェイ”は?」

アッシュ「ジェイド──翡翠」

英二「ほら言ったとおりだろ。お母さんは一生懸命その名前を考えたんだよ。夜明けに生まれた君の幸せを願ってさ。君の人生が、夜明けの翡翠みたいに素晴らしいものであってほしいって。そういう人が君を愛してないなんてこと、ありえないよ」

 

アッシュには、幼い頃に出て行った母親の気持ちは分かりません。でも、英二がそう言うのなら──と、「きっとそうだったんだろう」と思い直します。アッシュの本名が「暁」という意味をもつというのは、英二を主人公とした後日談「光の庭」に繋がる重要なエピソードです。

 

アッシュと英二が心の絆を強くしていく一方で、コルシカ財団を失脚したゴルツィネと、李一族への復讐を誓うユエルンは結託します。お互いの部下を使ってユエルンがコルシカ財団の上層部を抹殺し、ゴルツィネがユエルン以外の李一族を根絶やしにしたのです。こうしてゴルツィネは再びコルシカ・マフィアのボスに返り咲き、ユエルンはチャイナ・タウンのトップに上り詰めます。

 

[char no=”1″ char=”あいびー”]今回のタイトル「殺し屋」は、気配だけあらわした最強スナイパー「ブランカ」の登場をさしていると思っていたのですが、じつは違うかも! 英二に好意を寄せながらも、その態度が変わることを恐れてきたアッシュの心が打ち抜かれた──つまり、アッシュが英二に降参したってことを意味するタイトルかも知れないです![/char]

▼続きの第18~24話は、こちらをご覧ください。


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