バナナフィッシュを最後まで観て、モヤモヤ引きずってしまっている方の心を軽くするお手伝いです。ただの妄想二次設定なので、気楽におつきあいください。



「バナナフィッシュ・ロス」「アッシュ・ロス」を乗り越えろ!

 

「BANANA FISH」は、原作漫画もアニメーションもどちらもとても面白い作品です。とくに人物描写のていねいさが光っていて、キャラにどっぷり感情移入してしまう方、続出ですよね。その反動でもありますが、作品をすべて観終わってしまったときのロス感が半端ない。

 

ダウンタウンを仕切る若きカリスマである主人公「アッシュ・リンクス」は、超美形でありながら、IQ200の天才にして、プロの殺し屋に仕込まれた経歴のだれにも負けない強さ(先生には負けますけどね)をもちます。さらに強靭な精神力で冷酷に銃を撃つかたわら、英二には甘くかわいらしい一面を見せる・・・。最終回を観終わると、このずばぬけて魅力的な主人公をロスしてメンタルやられてしまう方が多いわけですが──。

 

それでもわたしたちは、抜け殻なりにも学校や会社に通ったり、バイトに行ったり掃除や洗濯しながら現実生活をソツなくこなしていかなければいけないわけで。なかなか抜け出せない「バナナフィッシュ・ロス」とくに「アッシュ・ロス」のみなさまが、少しだけ現実逃避して心を軽くしていただこうというのが今回の趣向です。

 

アッシュは生きてる! 生きてるんだよぉ!

▲ニューヨーク公共図書館閲覧室 出展:wiki

漫画でもアニメでも、ラオに腹を刺されたアッシュは図書館の閲覧室で、英二の手紙に淡く微笑みながら目を閉じるところで終わっています。でもね、これはあくまで「死にそう」なだけなんです。アッシュの足元に血だまりができているのに気がついた誰かが「キャー!」って悲鳴を上げて、救急車を呼ぶんです。

 

もちろんアッシュ君、強制的に病院収容。緊急手術を経てICUで治療開始です。で、指紋などからアッシュの身元照会した結果、警察が呼ばれるわけですよね。アッシュはオーサーとの一件で刑が定まっていないとはいえ、推定300年の実刑がある犯罪者確定ですから。ジェンキンズ警部とかチャーリー警部補とかが来るんでしょう。

 

駆け付けた二人は心からアッシュを心配し、容体が落ち着いたところで、ようやくホゥと安どのため息をつきます。一方、マックス経由で伊部にメールが入ります。アッシュが死線をさまよっていると聞いた英二と伊部は、飛行機が羽田につくやその足でまたNY行きの飛行機を探します。

 

アッシュは報いを受けなければいけない

 

正当防衛とはいえ、アッシュはとんでもない人数を手にかけています。オーサーとの一件以降、その数はさらに膨れ上がっています。ユエルンの手下にゴルツィネの部下、国立精神衛生センターの警備員、フォックスの部下たち・・・。そういえばユエルンと内通していたシンの仲間も撃っています。

 

原作者の吉田秋生さんは、かなり早い段階からアッシュは最後には死ななければいけないと考えていたそうです。これだけの人を殺めてきて、最後にハッピーエンドを迎えるのはおかしい、報いを受けなければいけない、と。

 

それはそうです。でも、死ぬ以外の報いだってあるはずです

 

同じように制裁を受けるべき行動を取ってきたユエルンの責任の取り方が、チャイナタウンの立て直しだったように。アッシュにはアッシュなりの責任の取り方があったはずです。

 

アッシュ・リンクスは死人

 

ここで思い出してほしいのは、「アッシュ・リンクス」は死人となっていることです。しかも、最終話でのアッシュは、本名「アスラン・ジェイ・ゴルツィネ」。ゴルツィネとの養子縁組が成立しているのですよね。おそらくマフィアの裏手口を使ったのでしょう。ゴルツィネは死んだ「アッシュ・リンクス」ではない別人と養子縁組していることになっているわけです。

 

ジェンキンズとチャーリーが口をつぐめば、「アッシュ・リンクス」=「アスラン・ジェイ・ゴルツィネ」という事実はもみ消せます。アッシュは、大物政治家が少年を買春していたという事件の重要な情報を握っています。それを司法取引の材料に使うこともできます。もう表沙汰になることはないけれど、恐ろしい「バナナフィッシュ」に絡む世界的な陰謀も、アッシュの活躍により未然に防ぐことができたのですから、ここはジェンキンズ警部がアッシュを助けるために一肌も二肌も脱いで頑張ってくれると信じます。

 

アッシュへの制裁と責任の取り方

 

こうしてジェンキンズ警部らの助けもあり実刑を免れたアッシュですが、一命をとりとめたとはいえ身体に大きな損傷が残りました。ラオのナイフは左の肺にまで達していて、左肺のほとんどを摘出しなければいけませんでした。こうなると、これまでのように跳んだり走ったりすることは難しい。

 

その一方で、アッシュはゴルツィネの正式な後継者です。ゴルツィネ亡き後のコルシカ・マフィア組織を何とかしなければいけません。本人の気持ち的には関わりたくないかも知れませんが、そこは責任をもって後始末すべきでしょう。アッシュの手元には、莫大な財産が残ったはずです。それをどう使うか──その明晰な頭脳をフル回転して、最良の方法を探してくれるはずです。

 

きっとダウンタウンを整備し、ストリート・ギャングたちを雇い入れ、みんながもっと良い生活が送れるように道筋をつけるのでしょう。

 

カリブでの隠居生活を決め込んでいたブランカも、きっと協力してくれます!

 

アッシュと英二の楽しい週末

画:幻騒アぽろ

かつてゴルツィネの裏資金を盗み購入したニューヨークの高級アパートを拠点に、アッシュは日々、自分のなすべき仕事をこなしています。真向かいにあるコルシカ財団の事務所では、ブランカが書類とにらめっこしています。

 

英二は永住権を取り、アッシュと一緒に暮らしています。ただし英二は財団の仕事をしていません。伊部から紹介されたカメラマンの助手をしていて、いつか写真家として独り立ちしたいと頑張っています。

 

週末や長期休暇、二人はケープ・コッドのカフェで過ごします。長くクローズしたままだったかつてのダイナーを、カフェにしたのです。内装はかつてのまま、古めかしい雰囲気のカフェです。気まぐれにオープンするカフェにあまり客は来ませんが、休暇がわりに来ているので二人とも気にしていません。

 

英二「ねぇアッシュ、これ、どうかな?」

英二の一眼レフに目を落としながらアッシュは答えます。

アッシュ「あ、いいね。やっぱおまえは、夜明けとか夕暮れとかの写真うまいよな──紙焼きして、そこの壁に貼るか?」

英二「うーん・・・。もうちょっと納得できるのが撮れたらね」

 

普段はコーヒーと軽いアルコール、乾き物ぐらいしか扱っていませんが、「えびとアボガドのサラダ」「トーフサンド」がメニューに載ることもあります♪

 

リハビリを経て、もう少しアッシュの体力が戻ったら、二人は日本旅行に出かける予定です。シンもついていくらしいです。英二の故郷を訪れ、伊部の姪っ子の暁とシンは、ここで出会うことになるはずです。。。

 

[char no=”1″ char=”あいびー”]「光の庭」でアッシュの亡骸が描かれている? いやぁ、そんなこたぁ知らないなぁ![/char]

▼「光の庭」未読の方は、こちらのページの「アッシュ・ロスと英二の後日談」の項目をご覧ください。

おわりに。。。

ある意味、英二のくれた言葉をかみしめながら幸せな気持ちでこの世を去るのは、アッシュにとって望ましい死に方かもしれません。ここで書いたような未来はもしかしたら、神格化されたアッシュの伝説にとって蛇足になるかもしれません。

 

それでも生きて、自分で選んだ人生を送ってほしい。煩わしいことも多いけれど、同じくらい幸せな瞬間も多いのだから。

 

アッシュにしかできないことは、たくさんあるはずです。本物の「The Catcher in the Rye」になってほしいという願いをこめて。

 

▼「The Catcher in the Rye」(ライ麦畑でつかまえて)について詳しくは、こちらのページ「アッシュの祈り」の項目をご覧ください。


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