2019年1月~放送のアニメ「どろろ」。第8話「さるの巻」の詳細なあらすじと見どころを紹介します。あわせて感想もどうぞ!【注意】完全ネタバレです!



第8話/ついに音を味方につけた百鬼丸。どろろと共に倒した鬼神から、嗅覚を取り戻す!

 

さるの巻

saru no maki

 

旅を続けるどろろと百鬼丸は、火山活動の活発な地獄谷があるあたりにやってきました。あたりは草木も茂らぬ黄色っぽい山肌で「卵の腐ったような臭い」がしています。地獄谷特有の、硫化水素のいやーな臭いがしているのですね。といっても、臭がっているのはどろろだけ。鼻がもどっていないので、百鬼丸はぜんぜん臭くありません。

 

そこに突然、獣の皮をかぶった少年「さる」が現れ、谷向いの峠道を通る花嫁行列に向かって矢を放ちます。真っ白な花嫁姿の女性は浮かぬ顔つきで、さらに花嫁を輿に担ぎ上げている男たちも、だれもが厳しい表情の男ばかりで──どろろは「なんか変だなぁ」と思いながら見ていたところでした。

 

どろろ「うわぁっ、ちょっと待てよ!」

 

さる「何すんだ、おめぇ!」

 

どろろ「そりゃこっちだ。めでたい花嫁に矢なんか飛ばしやがって。どういうつもりだよ」

 

さる「はっははははは。めでたくなんかねぇ。ねぇちゃんはなぁ、バケモンの嫁になりに行くんだ」

 

どろろ「バケモンの嫁?」

 

さる「だからオレが止めねぇと! いね! おめぇごと射んぞ!」

 

どろろ「まぁ、待てって。よかったらその話、聞かせてくれよ。オイラたち、バケモンにはちっとばかし縁があんだい

 

化け物と聞いたどろろは、お金の匂いをかぎつけましたね^^

 

さるの案内で、どろろと百鬼丸は「残され雲」の見えるところにやってきます。「残され雲」とは、むかしからこの辺りにときどき現れて、村人を食べてしまう恐ろしい雲です。天気に関係なくひとつだけポツンと出現するので「残され」雲と呼ばれているのです。

 

あるとき生贄として「嫁」を岩場に置いたところ「残され雲」は大人しく帰っていったことがあり、それから残され雲が出るたびに村では「嫁」をつくって捧げてきたのです。今回、その生贄に選ばれたのがさるが「ねぇちゃん」と呼び慕っている女性だったということなのです。

 

今回のテーマは「嗅覚」、サブテーマは「名前」です


硫化水素の臭いがプンプンする地獄谷を舞台に繰り広げられる、今回のお話しのテーマは「嗅覚」です。じつは「残され雲」とは巨大なムカデの形をした鬼神で、この鬼神を倒すことで百鬼丸は鼻と嗅覚を取り戻すのです。

 

それとは別に「名前」をサブテーマに選んでみました。嗅覚よりもサブテーマの方がストーリーを追うには面白いので、こちらに注目していきましょう!

 

どろろ「こりゃ砂金だ!」

 

さる「川で拾ったんだ。そんな石ならいっぺぇあんぞ。欲しいだけやらぁ」

 

どろろ「ほんとか? よぉし取引成立。オイラどろろ」

 

さる「オレぁ、さるだ」

 

どろろ「さる? それが名前か? 変だな

 

さる「どろろも変だ

 

どろろ「変じゃない。いい名前だろう!」

 

化け物を倒すかわりに報酬を要求したどろろに、さるは川で拾った砂金を渡しました。すっかり気をよくしたどろろです。商談成立ですね。さらに二人はお互いの名前を「変だ」と言って口争いを始めます。「さる」は「猿」だろうし、「どろろ」は「どろぼう」がなまってできた原作者・手塚治虫オリジナルの名前です。確かにどっちもどっちなんですが、二人とも自分の名前が気に入っているようです。

 

生贄の「嫁」は、手首を縄で縛られ岩場に座っています。嫁が逃げないよう、二人の男が見張りについています。そこに「残され雲」が現れ、二人の男は吸い上げられ、かみちぎられてしまいました。どうやら「残され雲」はあまり男が好きじゃないようで、食べ残しがボトボト落ちてきます(^^;

 

硫黄の粉塵爆発で化け物を焼いてしまえ!



「残され雲」が現れたというのに、百鬼丸はキョロキョロするばかりで少しも戦おうとしません。じつは百鬼丸に見える「残され雲」はすべてが真っ赤で、その中に隠れている化け物がどこにいるのか分からないのです。

 

雲の中から現れたのは巨大なムカデの化け物です。花嫁姿の「ねぇちゃん」は、ムカデの化け物に丸のみされてしまいます。

 

そのとき間欠泉が吹き上げて「残され雲」に隙間ができ、そこから陽の光が差し込みます。化け物はどろろたちを襲うのをやめ、どこかに去っていきました。ムカデの化け物はどうやら陽の光が苦手なようです。だからいつも雲をつくってそこに隠れているのですね。

 

ねぇちゃんを丸のみされて、すっかりしょげた「さる」は、形見の花嫁衣裳をもってねぐらに帰ります。さるはここで一人暮らしをしているのです。「ねぇちゃん」は、さるの本当の姉ではありませんでした。

 

さる「とうちゃんとかぁちゃんは、オラがちっせぇ頃に病で死んじまった。でも平気だ。オラには山があったから。人は嫌ぇだ。ここはオラの山じゃなくなったって言って、オラを追い出すんだ」

 

あるとき、脚をくじいてしまったさるに優しくしてくれたのが「ねぇちゃん」でした。

 

ねぇちゃん「あんたが山に住んでるって子かい? おさるみたいな顔やねぇ。名前は?」

 

さる「名前?」

 

ねぇちゃん「自分の名前、忘れちまったのかい?」

 

さる「さるだ。オレぁ”さる”ってんだ

 

それを聞いたねぇちゃんは、ケラケラ笑い出します。それからさるは、いつもねぇちゃんを観てきました。自分に優しくしてくれたのは「かぁちゃん」だけだったから、あの人は「いつかオレのかぁちゃんだった人かもしんねぇ」と思いながら観ていたのです。輪廻の思想ですね。

 

さるとどろろは、ねぇちゃんの弔い合戦を誓います。今回、百鬼丸はアテにできないと知ったどろろは、二人だけでなんとかしようとしています。敵の場所が特定できずに戦えない百鬼丸は、ずっと石を投げています。どこか拗ねているように見えますが──?

 

翌日、どろろとさるは連携してムカデの化け物を雲から引きずり出そうと奔走します。昨日の様子から、陽の光が弱点だと踏んだからです。花嫁に扮したどろろが地獄谷の真ん中に化け物をおびきだし、そこにさるが火矢を打ち込みます。すると大爆発が起きて、雲が消えていきました

 

これ、硫黄の粉塵爆発ですね! その証拠に炎の色は青紫色をしています。もしくは硫化水素の炎も混じっているかもしれません。硫化水素は青白い炎です。どろろとさる、賢いですね! ところが、これだけ大きな爆発なのに、ムカデの化け物はびくともしません。しかも──!

 

鬼神の場所が特定できない百鬼丸、どう窮地を切り抜ける?



粉塵爆発を使い、うまくムカデの化け物を覆っていた雲を消し去ったどろろとさるですが、やった! と思ったのもつかの間、化け物は体じゅうからまた雲を吐き出してきます。どうやら、いくらでも雲を作れるようなのです。

 

さぁ、困った!

 

そこに現れた百鬼丸は、鬼神に向かって矢じりのついていない矢を放ちます。矢が跳ね返る音で鬼神の場所を特定して、百鬼丸は素早く飛び掛かって右の目を潰します。ずっと石を投げていたのは、石の跳ね返る音で敵の場所を確認するためだったのですね!

 

ミオのおかげで音を克服した百鬼丸は、ついに音を味方にして戦えるまで成長しました!

 

どろろ「そうか、音だ! アニキ! おいらの声のするところがムカデの頭だ!」

 

縄をつかんで鬼神に飛び移ったどろろは、百鬼丸に呼びかけます。ところが、どろろは鬼神が跳ね飛ばした石に当たって気を失います

 

百鬼丸「ああああああ! ぉああああああ! おぉおぉあぁぁぁぁぁ!

 

叫ぶ百鬼丸。どろろの声がしなくなったので、鬼神の場所が分からず困っているのですね。ようやく意識がもどったどろろは再び百鬼丸に呼びかけます。

 

どろろ「アニキ、ここだ。オイラの横がこいつの目だ!」

 

きゅっと口を結んだ百鬼丸はどろろの声に従いもう一つの目を潰します。

 

どろろ「今度こそ終わりだ!──尻尾にも頭があんのか!

 

後ろから迫る気配とどろろの声で、百鬼丸は尻尾の頭に飛び掛かります。すっかり音を味方につけていますね。尻尾の口に飛び込んだ百鬼丸は、腹の中からムカデの身体を裂ききります。やった! 百鬼丸とどろろの連携プレイでようやく討伐完了です!

 

温泉に落ちた二人を追ってきたさるは、そこにねぇちゃんを見つけます。彼女はまだ生きていました! 丸のみされたので、鬼神の腹の中でまだ消化されずに生きていたのですね。

 

百鬼丸が最初に嗅いだにおいは・・・

急に震えだした百鬼丸から作り物の鼻が落ちて、ついに本物の鼻がもどってきます。ところがそこは地獄谷の温泉の中。百鬼丸はうううっと呻いて顔をしかめます。臭かったんですねぇー! かわいそうに

 

オイラの名前、いい名前だろ!?



ねぇちゃんとさるは、村で一緒に暮らすことにしたそうです。よかったですね。

 

ねぇちゃん「そうだ、名前。新しく考えないと」

 

さる「さるでいいよぉ」

 

ねぇちゃん「ダメ、名前は大事なんだから」

 

さる「なんだか、ホントのねぇちゃんみてぇだな」

 

そんな二人を見ているどろろも、ちょっと嬉しそうです。結局さるからもらえたのは最初の砂金一粒だけでしたが、まぁいいかと旅を再開します。地獄谷の臭いが辛い百鬼丸は、さるのねぇちゃんからもらった花の香りを嗅ぎながら歩いています。

 

百鬼丸「どろろ

 

と、百鬼丸はどろろに花を渡します。

 

どろろ「アニキ、これはな”匂い”ってんだよ」

 

と言ってから、ようやくどろろは気が付きます。

 

どろろ「ん? 今オイラのこと”どろろ”って・・・。初めてだ、名前呼ばれたの──アニキ、待ってくれよ。オイラの名前、いい名前だろ?」

 

名前を呼んでもらえるのって嬉しいですよね。長く一緒にいて、やっと名前を呼んでもらえたのを知ったとき、どろろの表情の変化がすごく繊細に描かれていて、どれだけどろろが嬉しかったのか強く伝わってきます。このアニメは、いつも気持ちの変化をとても大切に描いてありますよね。キャラクターの演技がとてもいいです。

 

戦いのさなか「ああああああ! ぉああああああ! おぉおぉあぁぁぁぁぁ!」と百鬼丸が叫んでいたのは、ただの叫びではなく、どろろを呼んでいたのです。よく聞いてみると、なんとか「どろろ」と言いたくて少しずつ叫び声を変えているのが分かりますよ。

 

まだまだ発音は曖昧ですが、少しずつ話すことができるようになってくる百鬼丸。そんな百鬼丸を支えながら共に旅をするどろろ。二人の距離がまた少し縮まりましたね。

 

前回に引き続き、今回もハートウォーミングなお話になりました。

 

[char no=”1″ char=”あいびー”]辛かった「守り子唄の巻」。その後で2回続けてのほっこり回・・・ということは。次回、かなり厳しいお話になりそうです。予告によると「無残帳の巻」──どろろの過去のお話しですね。またまたきっつい回になりそうです。心して待ちましょう![/char]

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