2019年1月~放送のアニメ「どろろ」。第20話「鵺の巻」の詳細なあらすじと見どころを紹介します。「どろろに超過保護な百鬼丸が見ものです!」 あわせて感想もどうぞ!【注意】完全ネタバレです!



第20話/どうしても生身の身体が欲しい! 百鬼丸を突き動かすその理由は?

 

鵺の巻

nue no maki

 

しっかり絆を結び直したどろろと百鬼丸は、また連れ立って旅を続けています。山道を歩きながら、どろろは紅葉に赤く染まった木の葉を見上げながら嬉しそうに声を上げます。

 

どろろ「うわぁ~すげぇ。どこもかしこも真っ赤っかだ!」

 

百鬼丸「どろろ」

 

どろろ「おぉっといけねぇ。ここにはバケモンの退治に来たんだったな。この辺りの山で何人も襲われてるらしいんだけど」

 

足を止め紅葉に見入っていたどろろを、先を歩く百鬼丸が呼びます。醍醐の国で自分が背負わされた因果を知り、そのショックからどろろを気遣う余裕がなくなってしまっていた頃の百鬼丸とは大違いです。少しでもどろろが遅れると、心配になるのでしょうね。(百鬼丸って素直ですよね!)

 

百鬼丸に追いつこうと山道を小走りしたどろろは、落ち葉に足を取られステンと転んでしまいました。手のひらに載せた赤い紅葉を観ながらどろろは思います。

 

どろろ(変だな。秋の山なんて初めてじゃないのに。なんでこんなに・・・。そっか、一人でいたときは生きてくだけで精一杯だったもんなぁ。)

 

アニキが、百鬼丸が一緒にいるから、どろろは安心して紅葉に見とれることができる。困ったときに助け合える相手がいるのは、どろろにとってどれだけ心強いことでしょう。でも、良い影響を得ているのはどろろだけではありません。百鬼丸もまた、どろろがいるおかげで、どれだけ良い影響を与えてもらっていることか。

 

どろろ「え、おいらにくれんの?」

 

百鬼丸「どろろの分」

 

どろろ「アニキが・・・オイラに食いもんを・・・」

 

百鬼丸は道端になっているアケビを取り、ひとつをどろろに差し出します。(ちょっとアケビのサイズが大きすぎますけどね~!)。これまでは、ずっと、どろろが百鬼丸の食べ物の世話をしてきました。火を起こして魚を焼いたり、食べ物を口に運んでやったりして。目が見えないんだから仕方ないとばかりに、当たり前に世話を焼いてきたのでしょう。

 

百鬼丸はこれまで、どろろの世話を無表情で受け入れてきたはずです。最初の頃の百鬼丸はまるで動く人形のようだったし、醍醐の国を訪れた後はどろろを気遣うことができなくなってしまっていたし。そんな百鬼丸が、ついに見せた優しさに、どろろ大感激です!

 

生き伸びるだけでも大変な時代に食べ物を分け与える行為は、現代から考えられないほどの優しさの表現です。思わず涙ぐむどろろの気持ちは、育ての親の心境に近いかもです。「こんなに優しい気持ちをもってくれるなんて! アニキ、成長したなぁ~」って感じでしょうか^^

 

今回のテーマは「生身の身体が欲しい!」。サブテーマは「百鬼丸と三郎太の違い」と、しました。

 

今回のテーマは「生身の身体が欲しい!」という百鬼丸の強い想いです。これまで百鬼丸は「自分のものだから」という理由で鬼神から身体を取り戻したがっていました。今回、そこから一歩前進して、さらに強く身体を取り戻したい欲求が強くなります。その理由は・・・? そこに注目しながら観ていきましょう。

 

サブテーマは「百鬼丸と三郎太の違い」と、しました。百鬼丸と三郎太は、ある意味とても良く似たところをもっています。二人のほんの少しの違いが、それぞれの未来をまったく変えてしまいました。そのあたりにも、注目していきたいと思います。

 

遠くの山が見渡せる高台に並んで座り、百鬼丸とどろろはアケビを食べています。アケビを食べ終わるとどろろは、皮を脇に置いて話しはじめます。

 

どろろ「アニキ、季節にはな、春夏秋冬ってあるんだ」

 

百鬼丸「うん」

 

どろろ「今は秋でな、秋になると山ん中が真っ赤に染まるんだよ」

 

百鬼丸「うん」

 

どろろ「ぁ、真っ赤って言っても、鬼神の色とはぜんぜん違うと思うぜ。見てると何ともいい気分になるんだ。そういうのをキレイって言うんだ」

 

百鬼丸「うん」

 

どろろ「おいらも──さっき、知ったんだ。アニキもいつか、きっと見えるようになるさ。山だけじゃない、お日さんとか雲とか、いろんなキレイなもんがさ」

 

百鬼丸「うん」

 

どろろ「うん、うん、うんって、本当に訊いてんのかい?」

 

百鬼丸「うん。だからもっと訊きたい。どろろの話」

 

どろろ「アニキ、なんか変わったな──やっぱり変わったよ。出会った頃とは大違いだ! おいらも、アニキと話したいことがいっぱいあんだ

 

 

どろろは百鬼丸の目となり、あたりの山々の美しさを伝えます。百鬼丸はどろろの話をうん、うんと訊いています。このシーンがとても好きです。美味しいものを分かち合いたい、美しいものを分かち合いたいと思う二人の気持ちがほほえましくて美しくて。ずっと、こんな風に平和に生きていけたらいいのにね。

 

でも残念ながら、平和な時間はすぐに終わりを告げました。二人の背後に現れた男・賽(さい)の目の三郎太は「バケモンを殺しに来たんだ」と、二人に言います。そうでした。ここにはバケモン退治に来たのでした。

 

三郎太の胸にぽっかり開いた穴

 

半年前からバケモノを追っているという三郎太の胸には、バケモノにやられた大きな引っかき傷がありました。どうしてそこまでしてバケモノを倒したいのか、どろろはその理由を尋ねます。

 

三郎太「ヤツにおっかぁを食われたのよ。目の前でな。今でも忘れられねぇ。あのときから、ここにぽっかりと穴が開いちまったようさ」

 

「おっかちゃんを・・・」と、言葉を詰まらせるどろろと違い、百鬼丸は三郎太が気に入らないようです。身体を横に向け、顔を合わせようともしません。これまで同様に、鬼神と関わりのある者特有の赤い炎がチラチラ立ち上っているのが、百鬼丸には見えているのでしょう。

 

三郎太「──その腕、あんたもヤツらに手ひどい目にあわされたみてぇだな。さぞ、恐ろしい思いをしたろう」

 

そう言うと、三郎太は唇の端でひっそり笑いを浮かべました。どうもこの男、怪しいところがありそうです。いつも決まった日にバケモノが姿を現すという岩場についた3人は、茂みから岩場を見張ります。

 

どろろ「大丈夫。アニキは強いんだ。必ずおっかちゃんのカタキを討てるさ」

 

三郎太「あぁ~、頼りにしてるぜ」

 

「頼りにしてる」なんて言うわりに、三郎太の声はまるで上の空で。カタキ討ちなんてどうでもいいと言わんばかり。そこに、バケモノがやってきました。

 

やってきたのは、身体は虎、焦げ茶色の前足に鶏の後ろ脚、猿の顔の周りにタテガミがあり、蛇の尻尾をもつバケモノでした。鵺(ぬえ)です。百鬼丸の目に鵺はどす黒い赤に染まって見えます。鵺は鬼神のようです!

 

「鬼神!」と言って飛び出した百鬼丸は、鵺の頭めがけて戦いを挑みます。けれど鵺の尻尾はそれ単体で動くらしく、どろろを狙ってきます。

 

どろろ「うわぁぁぁぁ、こっち来んな!」

 

そう叫んだ声に気づいた百鬼丸は、鵺の尻尾からどろろを助けます。自分をしっかり守ってくれる百鬼丸に感激したどろろは、嬉しそうに「アニキ!」と。そのとき、百鬼丸の頭上に刀が振り下ろされました。三郎太です! 百鬼丸は予測していたらしく、仕込み刀で受け止め身を守ります。

 

どろろ「何やってんだよアンタ!」

 

三郎太「少しはやるみてぇだな」

 

どろろ「なんでバケモンと一緒にいんだよ。そいつはおっかちゃんのカタキだろ?」

 

三郎太「バケモン殺したところで、おっかぁは帰っちゃこねぇ。だからよぉ、代わりにこっちが奪ってやるのよ。山を通りがかったヤツぁみんなこいつに食わせたぜ。誰もが助けてくれって泣き叫んでよぉ。そいつを見てるときだけぁ、ここが埋まる気がすんだ

 

三郎太は、鵺につけられた引っかき傷が生々しい胸に手を当て言いました。母親を食った鵺に人を食わせて胸がスカッとするなんて、この男も相当ひねくれてますね。

 

またしても鵺が百鬼丸とどろろを襲ってきます。百鬼丸はどろろをかばい、崖の端に追い詰められた二人は崖崩れとともに崖下に落ちていきました。なにがあっても、どろろを守るという百鬼丸の強い気持ちが伝わってきますね

 

生身の身体が欲しい!

▲大変! このままじゃどろろが溺れる! 出展/TVアニメ「どろろ」公式

 

崖下に転落した二人は、怪我はなかったものの、どろろの左腕が岩に挟まれ抜けなくなってしまいました。「その内抜けらぁ」と強がるどろろの足元に水が迫ってきます。そこは滝つぼのように狭いくぼ地になっていて、岩の間から湧いてくる水が、どんどん溜まってくるのです。

 

必死でどろろを岩から抜こうと、岩に挟まれたどろろの左手を引っ張るも、百鬼丸の義手は外れてしまってどろろを助けられません。それなら、と、どろろの腕の上にある大岩をどかそうと必死で押すも、今度は義手に亀裂が入り、ついに左の義手が壊れてしまい──。

 

水は迫ってくる。岩はどかせない。義手は使えない。もうどうしようもなくなった百鬼丸は、ついに岩に頭突きをするくらいしかできなくて──。うわぁぁぁぁぁ! と、大声で叫びながら頭突きを繰り返す百鬼丸何があっても、絶対に守ると誓ったのに! この腕さえ生身なら、どろろを今助けられるのに! 悔しくて悔しくてたまらないでしょうね。

 

琵琶丸「ちょっくら、どいてくんな」

 

額から血を流している百鬼丸を脇にどけ、琵琶に仕込んだ刀を抜いて突き当てると大岩が崩れ、危機一髪のところでどろろは助かりました。

 

琵琶丸「もう大丈夫だ。聞き覚えがある声がしたもんでね。間に合って幸いだったよ」

 

またしても琵琶丸です。狙いすましてでもいるように、いつもいいところに現れますね、この人。今回もまたGOOD JOB! でした。

 

どろろが助かったというのに、百鬼丸は浮かぬ顔です。自分一人で助けられなかったことが、よほど悔しかったのでしょう。この手が生身なら! そんな気持ちが強くなり、義手のさやを投げ捨て一人で鬼神退治に向かいます。

 

悲しくもひねくれた、三郎太の心のよりどころは・・・。

 

最初に鵺がやってきたあの岩場に、三郎太がいました。岩の上には鵺もいます。

 

三郎太「おまえ生きていたのか。──なぁんだ、おまえもココに穴が開いてんのか」

 

心の穴は、辛くてやりきれなくて、どうしようもない後悔の念。たしかに今の百鬼丸も、胸にぽっかり後悔の穴が開いているでしょう。けれど、後悔を後悔のままにしたくないから、だから百鬼丸は生身の身体を取り戻すためここに来たのです。三郎太と違い、百鬼丸には守るべき相手がまだいるのだから。

 

三郎太「だが、無駄よ」

 

そう言って諦めたように笑う三郎太の目の前で、百鬼丸は鵺を十字斬りし、退いた鵺を気迫のこもった目で見据えながら迫ってきます。一歩も引かず鵺と戦う百鬼丸に、三郎太は思わず「やめろぉぉぉぉ」と叫びながら斬りかかり──。

 

三郎太「なんでだよ、なんでおめぇは逃げねぇんだ。怖ぇだろ、なら叫べ! 泣いて命乞いしろ!」

 

じれたように叫ぶ三郎太をチラリとも見ず、ついに百鬼丸は鵺の頭を半分に切り取ります。

 

母親のカタキのはずの鵺と行動を共にし、山を通る者を鵺に食べさせ、ついに鵺を倒すなと叫ぶなど謎の行動を取る三郎太。じつは彼の胸に開いた穴は、母親を失ったことだけではありませんでした。

 

その日、三郎太は、病気の母親を背負い、山道を急いでいました。山向こうの医者に母親を診せるためです。三郎太には夢がありました。侍として立身出世し、母親にも楽をさせてやりたいと。そこに現れたのが鵺です。三郎太はすっかり怯えてしまい、母親を置いて逃げ出してしまいました。母親は鵺に食べられてしまいます。

 

怖いんだ、しょうがねぇ、しょうがねぇ」と、三郎太は村に帰り、家の中でガタガタ震えながら頭を抱えます。

 

そこに村人がやってきて、カタキ討ちに行こうと三郎太を誘いました。でも、村人も鵺にまったく歯が立ちませんでした。勇んで出かけたわりには「助けてくれ!」と逃げたあげくに鵺に踏みつぶされてしまいました。それを見て三郎太は思います。

 

三郎太(なぁんだ、皆そうじゃねぇか)

 

恐くて逃げ出すのは自分だけじゃないと思えば、溜飲が下がる。母親を見捨てたのは、仕方がなかったんだと、自分が慰められる。だから三郎太は鵺に人を襲わせて、人が逃げ出すのを見ながら、これまで自尊心を保ってきたのです。

 

それなのに百鬼丸は一歩もひるまず鵺を追い詰めて──。このまま鵺を倒されては自尊心が保てないから、だから何としてでも百鬼丸を倒さなければ、と、三郎太は鵺に加担するのです。

 

でも本心は。

 

三郎太オレは、オレは・・・おまえのように、なりたかった

 

そうですよね。病気の母を背負い山道を歩くほど優しかった三郎太です。いつか母親に楽をさせてやりたいと一生懸命に剣の腕を磨いてきた三郎太です。襲い来る鵺を斬り倒し、母親を守りたかったはずです。でも、自分はそうできなかった。村人だって、これまで山で食わせてきた誰もが、できなかった。それなのに、どうして百鬼丸はできるのだろう──? 恐れず鵺に立ち向かい、そして倒すなんて、どうしてそんなことができるのだろう?

 

鵺に食べられ、鵺の一部になった三郎太は、最期に言います。

 

三郎太そうか

 

百鬼丸「返せ」

 

三郎太おまえは

 

百鬼丸「返せ」

 

三郎太人じゃ、ないから

 

三郎太と百鬼丸の想いが交錯する印象的なシーンでしたね。三郎太は母親を置いて逃げてしまった自分の弱さを認めたくなくて、目の前にいる強い百鬼丸も認めたくなくて、ついにこう結論づけました。人間は弱いものだから、鵺に怯えて当たり前。目の前にいるコイツが鵺に怯えず強いのは、人間じゃないから!

 

最期まで自分を正当化したくて、弱い自分を乗り越えられない三郎太でした。屈折しているけれど、愚かだけれど、三郎太の気持ちも分かる・・・人間て、弱いものですよね。そして一筋縄ではいかない。人間こそ鵺のような存在です。

 

百鬼丸は再び醍醐の国を目指す!

 

百鬼丸を探してやってきたどろろが見たのは、ちょうど鵺に止めをさすところでした。鬼神を倒し、さぁ腕が戻るかと期待する百鬼丸ですが、何の変化もありません。

 

どろろ「前の、化け狐んときと一緒だ。鬼神を倒したのに、身体が戻らねぇ」

 

百鬼丸「返せ! オレの身体だ!」

 

鵺の動かない体を仕込み刀でメッタ斬りして、怒りを爆発させる百鬼丸です。そしてまた、どろろに止められます。

 

どろろ「やめてくれよ、アニキ。こんなの、こんなのひどすぎるよ」

 

鬼神を倒すのは仕方がないけれど、その亡骸を粗末に扱うのはどろろは嫌いです。でも、今の百鬼丸はどろろのために生身の身体を取り戻したいと必死なんですよね。まぁ、それが分かっていても、やっぱりどろろは体を張って百鬼丸を止めるんでしょうけどね。百鬼丸が鬼になんて、なってほしくないから。

 

どろろはついに、百鬼丸に自分のおでこをくっつけスリスリしながら、涙声で止めます。

 

ようやく刀を振るうことをやめた百鬼丸は、すっくと立ちあがると意を決したように言います。

 

百鬼丸醍醐。そこに、オレの身体がある

 

残りの身体を求めて、百鬼丸は再び醍醐の国に向かいます。どろろはいつものように、壊れた義手を両手にかかえて追いかけます。そして琵琶丸は、これまたいつものように「因果」を連発しながら離れてついていくのでしょう。

 

いよいよ最終舞台。エンディングへ向けて、醍醐の国へまっしぐらですね!

 

百鬼丸は、容易に三郎太になってしまう!

 

三郎太は、母親想いの優しい男です。けれどその大切な母親を、自分の力ではどうしようもない状況で失ってしまいました。恐ろしい鵺を前に、思わず母親を置いて逃げ出してしまったのです。その自責の念から、三郎太の心は壊れてしまいました。壊れた心をなんとか形だけでも取り繕おうとして見出した方法が、「鵺が怖いのは自分だけじゃない。誰だって逃げ出すんだから、自分が逃げても仕方がなかったんだ」と思うことでした。やがてそれを見るため、三郎太は鵺に山道を歩いている人を食わせ始めました・・・。

 

本当は勇敢に鵺を成敗して母親を助けたかった。でもできなかったから、その後悔の念がおかしな方向に向かってしまったのです。三郎太は愚かだけど、人間らしいともいえますね。

 

一方、百鬼丸も大切な人(どろろ)を、自分の力ではどうしようもない状況で失いかけました。どろろの腕を引っ張って抜くことも、大岩を押し崩すことも、義手ではどうしてもできませんでした。結局、いいタイミングで琵琶丸が現れたからどろろは助かったけれど、そうでなければ、百鬼丸も大切などろろを失ってしまっていました

 

これからも今回のようなことがあるかも知れないから。なにしろ、どろろはまだ生きているのだから。だから百鬼丸は鵺を倒して生身の身体を取り戻そうとしました。未来のために戦いました。

 

でも万一。琵琶丸が現れず、どろろがあのまま溺死していたら・・・。百鬼丸の心も壊れてしまったかも知れません。後悔と無力感にさいなまれ、三郎太のようにおかしな行動に走ってしまったかも知れません・・・。

 

人間て、危ういものですよね。

 

どろろは「鬼になっちゃダメだ!」と、百鬼丸を止めるけど、百鬼丸に限らず誰だって容易に鬼になってしまう。きっと、三郎太は鬼になってしまったんですよ。

 

景光が結んだ鬼神との約定の行方は──?

 

実りの季節を迎えた醍醐の国では、国境の村を中心に災難に見舞われていました。ある村では収穫間近の稲をバッタの大群に食べつくされ、ある村ではねずみに田畑を食い荒らされ、流行り病すら出ているようです。被害は国境の村から始まり、じょじょに醍醐の国じゅうに広がりつつあります。

 

兵庫「やっぱり、鬼神の仕業かなぁ。オレたちがあいつを討ち損ねたから──」

 

多宝丸「確かめねばなるまい。地獄堂へ行くぞ」

 

現状を視察して回っている多宝丸、兵庫、陸奥の3人の前に、頬のそげた村人がぐったりしている子どもを抱えて進み出ました。

 

村人「お慈悲でございます! どうか、この子にひとかけらの食べ物でも分けちゃぁもらえませんでしょうか?」

 

村人が小さな握り飯を子どもの口元につけると、子どもはあえぎながら、ほんの少し口に含みます。多宝丸は二人の前に片膝をつき、静かに言います。

 

多宝丸「この地を治める者として約束しよう。けしてそなたたちを見捨てはせぬ」

 

多宝丸の言葉に村人は思わず嗚咽をもらし、その様子を兵庫と陸奥の二人は微笑んで見守って──。実の兄を討つと決心した多宝丸の動機は、醍醐の国の領民を助けるためです。「情は捨てる」と言ったものの、多宝丸自身が冷徹になりきってしまったわけではないのを見て、兵庫と陸奥は嬉しく思っているのでしょう。

 

こういうシーンを見ると、まだ多宝丸は捨てたものじゃないと思えます。領地の惨状を実際に見て回り、地獄堂を訪れ自分の目で確認しています。ただ父親の言葉を鵜呑みにするばかりでもなさそうに思えるのです。多宝丸は自分の頭で考えられる子です。頑張れ、多宝丸! 思わず応援しちゃいます!

 

一方、縁側で物思いにふけっている景光の元に、隠者が来て報告します。

 

隠者「殿、地獄堂で妙なことが。ときおり、鬼神像の一つから、鼓動のごとき音が響くのです。微かではありますが、間違いなく」

 

景光は第17話「問答の巻」での縫の方の言葉を思い出します。

 

縫の方「あの菩薩像が砕けたとき、ハッキリと感じたのでございます。12の鬼神のうち、あの子を食い損ねた者がいると。菩薩像が砕けた今、殿との約定は破れました。そして、百鬼丸はきっと己の身体を取り戻すでしょう。殿、この国の安寧のときは終わりまする

 

景光としては、どう思っているのでしょう。かつて百鬼丸を犠牲に鬼神の力で国を救ったのは、間違いではなかったと思いたい。実際、それで大勢の領民を救えたわけだし。しかし鬼神と関係なく雨が降ったりしているのを目にしているし、縫の方の言葉もあり、もう鬼神との約定は反故になっているのかも知れないと疑っている。だとすれば、どうすべきか? 身の振り方を考えているのでしょうね。

 

景光の動きは今後の展開に大きく影響します。注視すべきですね。

 

地獄堂に到着した多宝丸たちは、鬼神像の異変を目撃します。鵺の鬼神らしき像を青い光が這い登り、背後にいる3面の像に吸い込まれていきました。

 

[char no=”1″ char=”あいびー”]景光と鬼神の約定は破れたと縫の方は言い、地獄堂に封印されているもう1体が実体化しようとしているのでしょうか? それが多宝丸たちが目撃した3面の鬼神像なのでしょうか? 鬼神と約定の行方は、謎のままです。[/char]

おまけ。百鬼丸とどろろのお宝画像!

 

前回第19話で、天邪鬼の術にかかった百鬼丸がどろろを絞め殺しかけた後のシーンですね。よほどホッとしたのか、思わずどろろを抱きしめました! これもあってか、今回の百鬼丸はどろろにすごく甘いですよね^^

 

▼「どろろ」関連のすべてのページ一覧はこちらです

 

スポンサーリンク