2019年1月~放送のアニメ「どろろ」。第4話「妖刀の巻」の詳細なあらすじと見どころを紹介します。あわせて感想もどうぞ!【注意】完全ネタバレです!



第4話/妖刀に乗っ取られた兄と、兄を待ち続けた妹の悲話

妖刀の巻

youtou no maki

 

まず最初に言ってしまいますが、今回のテーマは「聴覚」です。これまで顔の皮膚と感覚を取り戻した百鬼丸が、今回の鬼神を倒すことで手に入れるのは耳、つまり「聴覚」なのです。「聴覚」に注目しながら第4話のストーリーを追っていきましょう。

 

今回のテーマは「聴覚」です

 

とあるお堂の庭で百鬼丸は、上を向いたまま立ち尽くしています。その日はひどく雨が降っていて、どろろはお堂の軒下で雨宿りしながら百鬼丸の気が済むのを待っています。前回の万代戦で「感覚」を取り戻したので、雨粒が顔にあたり小さな流れとなり落ちていくのを無心で感じているのでしょう。一つひとつの感触に戸惑い受け入れていく百鬼丸を、どろろは辛抱強く見守っているのですね。

 

そのお堂に手を合わせる女性がいました。お須志(おすし)という行商の女性です。お須志は、雨に濡れながら立っている百鬼丸に気がつきます。

 

お須志「あの・・・もし」

 

どろろ「ムダムダ。何を言っても聞こえやしないって。ここが聞こえねぇんだから。あぁして突っ立ったまま、もう半刻も動かねぇ。すっかり濡れ鼠になっちまって。風邪ひいても知らねぇかんな」

 

お須志「雨を──雨を聴いてるんじゃないかしら

 

どろろ「えっ! だから耳は──」

 

お須志「そう、感じただけ」

 

じつは、セリフでどろろは「半時(はんとき)」と言っているのですが、当時は時間を「刻」であらわしていたので、ここは「半刻(はんこく)」──つまりもう15分くらい百鬼丸はお堂の庭に立っているようです。お須志は、百鬼丸が「雨を聴いている」ようだと言います。ここで視聴者に今回のテーマが聴力だと、さりげなく知らせているのですね。

 

突然、百鬼丸は鬼神の気配を察して走り出します。百鬼丸を追ったどろろが見たのは、10人近い人が切り殺されている凄惨な現場でした。

 

田之助「この刀が血を欲したのだ。ゆえに斬ったまで。ただの刀ではない。人の血を吸い生きる妖刀よ。ひとたび握れば我が身を使い、誰とも構わず斬り捨てるのだ」

 

百鬼丸には妖刀が真っ赤に、それを持つ田之助はグレーに見えています。どうやらこの刀が鬼神のようです。田之助と百鬼丸は激しく斬り合います。崖っ縁に追い詰められた百鬼丸は義足で妖刀を受け止め、勢い余った田之助は妖刀から手を離して崖下に落ちていきました。田之助が振るった刀の先で頬を傷つけられた百鬼丸は、傷をちょっと気にしています。感覚が戻っているので痛いんですね。

 

妖刀が刺さったまま百鬼丸から外れ飛んでしまった義足を探し当てたどろろは、刺さっている妖刀を抜こうとして柄(つか)を握ってしまいます。さぁ、事件です。今度はどろろが妖刀に操られてしまいます

 

一方、崖下で田之助をみつけたお須志は近くの村で宿を取り、部屋に兄を寝かせています。5年ぶりの再会です。喜ぶお須志ですが、兄の顔つきが変わっていること、さらにこれまでの状況からして、もしや兄が辻斬りではないかと疑っています。

鬼神に関わった者はやがて鬼神に飲み込まれ、自らが鬼となってしまうのか──?

妖刀の名は「似蛭(にひる)」といいました。


両親亡き後、田之助は、お須志一人を残して戦に出ました。兵として仕えた主君は残虐な男でした。立派な櫓(やぐら)をつくった城大工の首をはねるよう田之助に命じたのです。もしこの城大工が敵に寝返ったなら、櫓の弱点が知られてしまうからという理由でした。嫌がる田之助ですが、命じたとおりにしないのならば、おまえがこれで切腹しろと言って古い刀を投げてよこします。

 

自分がいなくなればお須志は天涯孤独の身になってしまう──田之助は心を決め、主君が投げてよこした刀で城大工に斬りかかります。その刀こそが妖刀「似蛭」でした。似蛭はさらに血を欲しがり、周りじゅうの者を斬ってもまだおさまらず、ついに主君をも手にかけてしまいます。こうして田之助は、似蛭に操られ殺生を繰り返してきたのです。

 

田之助「オレはここだ。ここにいるぞ」

 

一緒に過ごした年月が長すぎたせいでしょうか、手を離しても田之助は似蛭を呼んでいます。似蛭も、血を吸わせてくれるを田之助を求めて、柄(つか)を握ったどろろの足を田之助のもとに向かわせます。すっかり田之助は似蛭に憑りつかれ、自我をなくしかけているようです。


 

ようやく、どろろの手から似蛭を跳ね飛ばすことができた百鬼丸は、気を失ったどろろを道の端に寝かせます。その隙にまた田之助が似蛭をつかみ、二人の斬り合いが始まります。

 

お須志「待ってお願い。その人を、兄上を斬らないでー!」

 

叫ぶお須志の声は、もちろん百鬼丸に届きません。百鬼丸は左の義手で似蛭を受け、そのまま義手を抜いて左腕に仕込んだ刀で田之助ごと似蛭を斬ります。主を失った似蛭は真っ二つに折れ、田之助に会う前の錆びた刀にもどって光を失いました。

 

走り寄ったお須志の目に、田之助はどう映ったのでしょう。田之助はもともとヘの字口で、あまり変化は感じられませんでしたが、それでもどこか安らいだ表情だったように思えます。

 

似蛭を折ったことで百鬼丸に耳がもどります。彼が初めて聞いた音は、ざぁざぁと降りしきる雨音と、お須志の悲しいすすり泣き、そして遠い雷でした。

 

鬼神に身体のあちこちを奪われ、それを取り戻すために旅をしている百鬼丸ですが、物心ついたときから寿海のもとで義手・義足で育ってきた彼に恨みの心もなければ復讐しようというつもりもないでしょう。百鬼丸に邪心が見えないからこそ、どろろも一緒にいるのでしょう。そんな百鬼丸にもし、「兄上を斬らないで」というお須志の声が聞こえていたら、どうなっていたでしょうね。

 

そこに迷いが生まれ、逆に似蛭に斬り伏せられていたかも知れません。聴覚を取り戻し、百鬼丸の世界は飛躍的に広がりました。でも、それは戦いにおいてマイナスに働くことも多いはずです──。

 

お須志は、兄が辻斬りになってしまったことを知りました。でも、田之助が座っていたところに折り鶴が置いてあったのを見つけ、幼い頃に鶴を折り慰めてくれた優しい兄の片りんがまだ残っていると気づきました。心すべてが妖刀に乗っ取られないうちに逝ったのは、せめてもの救いとお須志には思えたのではないでしょうか。

 

最後のシーンでは、雨上がりのお堂に2羽の折り鶴が供えてありました。物語の冒頭で、仏さまに兄との再会を願っていたお須志は、ほんとうに会わせてくれたことへのお礼をしに立ち寄ったのでしょう。きっとお須志なら、これからも行商をしながら強く生きていってくれそうな、哀しいなかにも希望の見えるラストでした。

 

[char no=”1″ char=”あいびー”]聴覚を取り戻した百鬼丸は、次回、明らかに弱体化します。回を重ねるごとに、どんどん弱くなっていく主人公って・・・新しすぎる! なんか変なハラハラ感が増してきます![/char]

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