2019年1月~放送のアニメ「どろろ」。第7話「絡新婦(じょろうぐも)の巻」の詳細なあらすじと見どころを紹介します。あわせて感想もどうぞ!【注意】完全ネタバレです!



第7話/むやみに奪っていい命はない。百鬼丸の心の成長が感じられるほっこり回。



絡新婦の巻

jyorougumo no maki

 

第5・6話「守り子唄の巻」は、悲しいお話しでした。ここで百鬼丸は「人を想う心」や「大切な人を失う悲しみ」、「自分の心に宿る修羅」といった大切なことをたくさん学びました。日はとっぷり暮れた山道を、百鬼丸とどろろは押し黙って歩いています。辛いことばかりの世の中だけど、こんなときこそ笑おう! と、どろろは百鬼丸をくすぐり、無理やりにでも笑わせようとします。

 

おどけて笑うのは~♪」。ここ、まるでエンディングの歌詞そのままですよね!

 

でも、百鬼丸は「クスリ」ともせず、懐に入れたお守りを握り締めています。ミオの形見の種籾の袋が入っているお守りです。そりゃ、幼いとはいえ人生経験豊富などろろのようにはいきませんよね。百鬼丸は、まだまだ深い悲しみの中です。

 

山道で二人は蜘蛛の妖怪に出会います。蜘蛛妖怪(絡新婦)は旅の男を捕え、その精気を吸おうとしているところでした。真っ赤に燃える絡新婦の魂の炎を目にした百鬼丸は、さっそく臨戦態勢に! ところが百鬼丸は絡新婦の糸で木に巻き付けられ、絡新婦を取り逃がしてしまいます。

 

今回のテーマは「命の重さ」です

 

さて、今回のテーマはいくつか考えられます。が、「命の重さ」がもっとも大きなテーマだろうと思います。命について考えながらストーリーを追いましょう。

 

夜道をしばらく歩いて二人がたどりついたのは、高い塀に囲まれ、旅人の証となる手形を配るほど用心深い村でした。

 

役人「村を守るために見張りを強めてるんでなぁ」

 

どろろ「守るって何からさ?」

 

役人「最近、村に人さらいが出るのさ。夜な夜な、村の人間がいなくなっちまう。あの見張り台だって、そのために置いたんだ。おまえも怪しいやつを見つけたら、すぐに知らせてくれ」

 

これを聞いたどろろは、人をさらっているのは、さっき山道で出会った絡新婦だと考えます。そして絡新婦を退治すれば、きっと褒美にありつけるに違いないと皮算用します。

 

一方、夜陰に紛れて村に入った絡新婦(じょろうぐも)は、自分が吐いた糸を使って着物をつくり、人間の女に化けました。かなり弱っている様子です。朝になり、洗濯物を抱えた男が萩の花咲く茂みに倒れている女を見つけて、自分の家に連れ帰ります。絡新婦、なかなか美人に化けました。男は、ちょっと頬を染めちゃってます。

 

人間の女に化けた絡新婦は、優しく話しかける男に対してかなりツンケンしています。隙を見て男の精気を吸うつもりなだけで、仲良くする気などまったくないのです。

 

男「そういやあんた、名前は?オレは弥二郎ってんだ」

 

絡新婦「そんなものはない」

 

弥二郎「ない?ないかぁ──よし、じゃぁ、お萩ってのはどうだ?」

 

絡新婦「お萩?」

 

弥二郎「萩の花んなかで寝てたろう」

 

絡新婦「なんとでも呼べ」

 

雑穀粥のようなものを炊いてお萩に出すと、お萩は箸を使わず手で食べ始めました。人の食べ物を食べるのは初めてだったのでしょう。その様子に驚いた弥二郎ですが、お萩が「うまい」と喜ぶのをみて、嬉しそうに頬を緩めます。

 

弥二郎「お萩、おまえどっから来た?もし良かったら教えてくれ」

 

お萩「良くないから教えないよ」

 

弥二郎「なら、何であんなとこで寝てたんだ?」

 

お萩「好きで寝てたわけないだろう。ったく、力さえもどりゃ、さっさとこんなとこ出ていきたいよ」

 

粥をぜんぶお萩にあげてしまったので、弥二郎は朝からお腹を鳴らせています。弥二郎の気遣いに気が付かないお萩は「変な男だねぇ」と言いながら、モリモリ粥を食べています。口調は相変わらず素っ気ない。

 

このあからさまなお萩の様子に、勘のいい視聴者ならきっとこう思いますよね。「このツンケンした絡蜘蛛、じつはいい妖怪だったってことになるんじゃないかなぁ~?」と。さらにこれまでの「どろろ」の展開からすると、「いい妖怪なのに百鬼丸に成敗されて、哀しい終わり方をするのかなぁ~?」なんて予想するはず。今回のシナリオは、視聴者の想像の上を行くかなり素晴らしいデキなので、そのあたりも注目していくと楽しいです!

 

弥二郎の仕事場は採石場です。その日、岩が崩れて人足が下敷きになり亡くなるという、痛ましい事故が起きました。しかも、どうやらこういった事故はちょくちょく起きているようです。

 

夕方。仕事から家に帰ってきた弥二郎は、お萩の飯椀にゴキかぶり(まぁ、ゴキブリですね)がいるのを見つけて捕まえ、窓から外に逃がします。

 

お萩「なぜ逃がすんだい? 人間が死ぬのは良くて、虫けらが死ぬのは嫌なのかい?」

 

弥二郎「人も虫も同じだ。生きていることに変わりはねぇ

 

お萩「そんなことを言う人間に初めて会ったよ。あんた、変わってるね」

 

弥二郎「そうか? そんなことより、まずは食え、そして寝ろ。人間、それが一番だ」

 

わたしも含めて、人間は人の命には敏感でも、それ以外のものの命には鈍感です。動物の命をもらって食べているし、ゴキブリを見つけたらスリッパ振りかざして叩き潰す人もたくさんいます。でも本来なら「命の重さに違いはない」のだと思います。人間も一つの命、ゴキブリも一つの命。お萩にとっては「絡新婦も一つの命」と、自分を尊重してもらえたように聞こえたでしょう。

 

この時代にそんな死生観をもてた人はとても稀だと思います。弥二郎、とても気持ちの優しい男ですね。

 

人さらいは誰?

▲どろろと百鬼丸がかじっていた「ドクダミ」はこれ!

 

人さらいの絡新婦を捕まえて褒美をもらおうと考えているどろろと百鬼丸は、妖怪が動き回るなら夜だと踏んで、夜中じゅう歩き回ります。でも、ついに朝になっても妖怪を見つけることはできませんでした。それなのに立て看板には「夕べ、また人さらいが出た」と、書いてあるようで──。

 

子ども「ねぇ、人さらいの人、捕まっちゃうの?」

 

老人「そったらことにはならへん。どげに褒美を積まれても、領主に寝返る男なんぞ、この村にゃただの一人もおりゃせん

 

立て看板の前で話している子どもと老人の会話に、どろろはすっかり困惑します。──というか、わたしも困惑しました。どろろと百鬼丸が夜中じゅう歩き回っても絡新婦を見つけられなかったのに、人さらいが出たということは、絡新婦が人をさらっているわけではない? しかも子どもは「人さらいの人」と言っていて、それが人だと知っている様子です。さらに老人の言葉から、村人は人さらいの味方のように聞こえます・・・。村人は人さらいが誰か知っていながら、みんな黙っているようなのです。

 

あてが外れたどろろと百鬼丸は二人ともグーグーお腹を鳴らせています。そういえば丸まる1日以上草の実くらいしか口にしていません。この日もドクダミを食べて飢えをしのぐようです。ドクダミ・・・臭いけど、毒はないんですよね。お腹いっぱいにはならないと思うけれど。

 

弥二郎が仕事から戻ってみると、お萩はさらにやつれていました。

 

お萩「あんた、今朝はやけに早く出かけたねぇ。まだ外は暗いのに、灯りも持たず。山での仕事以外にも何かやってんのかい?」

 

弥二郎「月の沈む時刻に一仕事あってなぁ。そっちが本業みたいなもんだ

 

お萩「大変だねぇ」

 

弥二郎「お萩、オレの見たところ、おまえは何かしらの病だ。だがこの村には医者がいねぇ。旅の札がないおまえが村を出るのは難しいだろうが、オレなら、確実に逃がしてやれる

 

お萩「まぁ、この村じゃ若いエサにはありつけそうもない。とっととおさらばしたいのはヤマヤマだけど。わたしに払えるもんなどないよ」

 

弥二郎「生きていてくれればいい」

 

お萩「そうだったねぇ。わたしはゴキかぶりと同じってわけだ」

 

弥二郎「あぁ、同じだ。命の重さに変わりはねぇ

 

お萩「わたしだって死ぬ気はないからねぇ。頼むとするよ」

 

弥二郎「引き受けた。一日でも早い方がいいな。今夜、月が沈み、夜が明ける前にやる。それまで休んでおいてくれ」

 

うーん。突っ込みどころ満載ですが!

 

まず「人さらい」は弥二郎でした。「人さらい」と言えば、嫌がる人を無理に連れて行く感じですが、どうやら真相は違うようです。弥二郎は「逃がしてやる」と言っています。この村から逃げたい人を手助けしているようです。

 

お萩は「この村じゃ若いエサにありつけそうもない」なんて、まるで自分が人間じゃないことを隠す気がまったくなさそうな言いぶりです。これまでのことから、弥二郎の方でもそれは分かっている様子です。それでも、こんなにお萩を心配して・・・。どこまでもいい人ですね、弥二郎は。

 

魂の炎の色は変化するもの

 

すきっ腹で夜じゅう絡新婦を探し回っていたどろろと百鬼丸は、夜明け前、逃がし屋の弥二郎とお萩に出会います。

 

お萩「しつこいね、とどめを刺しに来たのかい?この小僧ども」

 

どろろ「森で聞いた声。いた!アニキ、この女が蜘蛛のバケモンだ。やっぱりそいつが人さらいだ!おっちゃん、そいつから離れな、干からびちまうぜ。バケモンをやっつければ飯が食える。さくっと頼むぜアニキ!」

 

弥二郎「お萩がバケモン?」

 

どろろ「え?おいらの言うことが分かんねぇのかよ。その女はバケモンで、人さらいなんだって!」

 

弥二郎「人さらいはこのオレだ。オレが手引きして、この村から逃がした。お萩は関係ない。オレは捕まってもいいが、お萩は見逃してくれ! 病にかかって弱っているんだ」

 

どろろ「え? え? なんでバケモンをかばうんだい?」

 

この会話じゅう、どろろの隣にいる百鬼丸は少しも動きません。どうしてでしょうね?

 

そこに、逃がし屋を探していた警備兵たちがやってきます。

 

警備兵「きさまが逃がし屋か。手間取らせやがって」

 

どろろ「見つけたのはオイラたちだぜ。褒美はもらえるんだろうな?」

 

警備兵「そんなものないわ。密告者を釣るための方便よ

 

どろろ「えぇ~そんな殺生な。やり方が汚ねぇぜ。おまえらは悪党だ!」

 

警備兵「悪党、結構。これ以上、人足に足抜けされて上りが減ったら、オレたちが始末されちまう──その男を捕えろ!」

 

そのとたん、お萩は警備兵に蜘蛛の糸を投げつけ、倒れたところをすかさず精気を吸い上げます。その様子を眺めていた百鬼丸の目に、お萩の魂の炎は赤く映りました。そろそろと、どろろに義手を抜かせる百鬼丸。これまでのように、両方の義手をはねのけて猛然と向かっていくのと随分ちがっています。

 

またしても蜘蛛の糸で百鬼丸を振り切ったお萩は、弥二郎と一緒に高台まで逃げてきました。

 

弥二郎「もう、すっかり元気だな。もうオレがいなくても、どこへでも行けるだろう」

 

お萩「まだ山を越えられるほど力は戻ってないよ。あと5~6人は男の精気を吸わないとね」

 

弥二郎「人を──殺すのか?」

 

お萩「人間は貴重なエサだからね。今まで命まで取ったことはないよ。生きてりゃ人間の精気はもどる。そいつをまた吸うんだ。共に生きるのが長生きの秘訣

 

弥二郎「そうか。これからも、か?」

 

お萩「あぁ」

 

弥二郎「ならいい」

 

ようやく抜け道の岩穴の前にたどり着いた弥二郎はお萩に「さぁ、行ってくれ」と逃げるよう促します。けれどお萩は「あんたも行くんだよ」と。逃がし屋の仕事がばれてしまったのだから、村に戻らない方がいいと言うのです。

 

お萩「なら逃げるしかないだろう。バケモンと一緒じゃ嫌かい?」

 

弥二郎「お萩・・・分かった。この村で死ぬくらいなら、ここから逃れて、おまえのエサとして生きていくか

 

お萩「あんたみたいなおかしな人間には、今後二度と出会えないだろうよ」

 

「おまえのエサとして生きていく」って・・・。これから死ぬまで一緒にいるって宣言ですね! 弥二郎、はからずもプロポーズですか!

 

話しているうちに警備兵たちが追いついてきて、弥二郎は肩に矢を射られてしまいます。怒ったお萩は絡新婦の本性を現し「一人残らず吸い尽くしてやる!」と、警備兵たちを糸で絡めとります。その姿は百鬼丸には、オレンジ色の炎に赤い炎が混じって見えています。危険な色と判断した百鬼丸は、絡新婦に斬りかかります。脚を1本失いながらも、絡新婦はまたしても百鬼丸を退けます。

 

お萩「この村に医者はいないんだろう? わたしがおまえを連れていく。おまえを死なせはしないよ」

 

弥二郎に優しく語りかけるお萩の前に、またしても百鬼丸が立ちます。

 

お萩「やっぱり、どっちかが死ななきゃならないようだねぇ」

 

弥二郎「殺すのはダメだ、お萩。今までも、これからも、だろ?

 

弥二郎の言葉を聞いたお萩の魂の色から赤みがどんどん消えていき、ついにグレーになりました。それを見て、百鬼丸は刀の腕を降ろします。

 

こうして弥二郎とお萩は、二人一緒に逃げていきました。

 

前回、ミオを失った百鬼丸は怒りに我を忘れて凄まじい勢いで侍たちを斬りました。きっと琵琶丸が見れば、そのときの百鬼丸の魂の炎は真っ赤だったことでしょう。「鬼神になっちゃダメだ!」と、百鬼丸を命がけで止めてくれたのが、どろろでした。百鬼丸は、自分の中に修羅が宿っていることを知りました。もう怒りに任せて刀を振るうことはすまい、と、誓っているのでしょう。

 

今回の絡新婦(じょろうぐも)の魂は、最初に山の中で会ったときは赤色をしていました。だから百鬼丸は戦いました。でも次に会ったとき──弥二郎と一緒に逃げようとしているお萩が絡新婦だと、その声からどろろが見抜いたとき、百鬼丸は少しも動きませんでした。おそらく、そのときのお萩の魂の色はグレーだったのでしょう。

 

続いてお萩が警備兵に襲い掛かったとき、その魂の色はまたオレンジ色から赤に染まりました。そこで、警戒するためどろろに義手を抜いてもらったのです。次に百鬼丸がお萩に斬りかかったのは、お萩が追手の警備兵たちと戦っているときです。お萩の魂の色はまた赤く染まっています。そして、弥二郎の言葉でじょじょに色を失い、グレーに変化しました。

 

鬼神の魂の炎はどす黒い赤です。それはいつでも変わりません。でも、鬼神ではない妖怪の魂の色は移ろうものだと百鬼丸は知りました。

 

むやみに命を奪ってはいけない

 

お萩は、男の精気を吸って生きている妖怪です。でも、人の命までは取りません。人に攻撃を仕掛けるとき、お萩の魂の炎は赤味が強くなります。これまでの百鬼丸なら、赤い炎を持っている妖怪はすべて斬り伏せてきたのでしょう。でも今回は聴覚がもどっていたので、お萩と弥二郎が愛し合っていることを知り、刀を降ろしました。

 

倒すべき者を見極めなければいけない、むやみに命を奪ってはいけないと、命の重さを知ったのですね。百鬼丸は、これまでより戦うことに慎重になりました。またひとつ、百鬼丸の心が成長しました。

 

百鬼丸の笑顔

 

村を出たどろろと百鬼丸は、また二人並んで旅を続けます。どろろの前に小さな蜘蛛が降りてきて、驚いたどろろはパチンと潰しかけ、ふいに思いとどまります。

 

どろろ「ごめんよ、驚かしちまったのはオイラだな」

 

そういって道端の葉っぱに蜘蛛を載せて逃がしてやります。それを聴いていた百鬼丸はフンと小さく笑います。「鼻で笑ったろう!?」と、どろろはその笑い声を聞き逃しません。どろろの位置からは見えませんでしたが、蜘蛛を逃がしてやっているとき、百鬼丸の口元はほころんでいました。

 

冒頭でどろろは、なんとか百鬼丸の気持ちを晴らそうと頑張っていましたよね。くすぐったりして。でも、物理的にくすぐっても百鬼丸の心は沈んだまま。妖怪と人が心を通じ合わせられることを知り、人と共生しようとしているお萩を斬らずに済ませたことで、百鬼丸の心に温かいものが広がったのでしょう。心を動かされたから、どろろのちょっとした行動に彼は微笑んだのです。

 

このあたりの落とし込みは、まるで北風と太陽の寓話のようですね^^

 

シナリオの完成度が半端ない!

 

最初ツンケンしていた絡新婦は、悪い妖怪ではありませんでした。これは最初に予想していた通りでした。最後には表情もずいぶん穏やかになっていましたね。

 

最初からとても優しそうな弥二郎が、じょじょに「人さらい」ではないかと思えてきます。もしや裏の顔は極悪人か? と、疑わせておいて、そうではなくて、勘違いしているのは自分の方だとやがて気がつきます

 

人さらい」というのは、村から人足がいなくなっては困る警備兵たちからの言い分です。じつはいやいやながら危険な仕事をさせられている村人たちは、弥二郎の手を借りて村から逃がしてもらっていたのです。村人たちからすれば弥二郎は「逃がし屋」です。

 

村を取り囲む高い板塀や、夜じゅう寝ずの番をしている兵たちは、「人さらい」から村人を守っていると見せかけて、じつは村人が逃げないように見張っていたのですね。同じものも、別の側面から見ればまったく違って見えるもんです! ここはどろろ同様、まんまと騙されました!

 

警備兵たちは「人さらいを見つけた者に褒美を出す」と立て看板に書いておきながら、じつは最初から褒美など出す気はなくただの釣りだったと言いました。倒すべきは、この嘘つきたちでしょうか?

 

いいえ。警備兵たちも、どんどん人足が減って上りが減れば領主から咎められるのです。どうやら、この村に倒すべき相手はいなかったのですね。だから百鬼丸は、誰も傷つけませんでした。

 

ざっくり言ってしまえば今回の物語は、丸2日間お腹を空かせて動き回って空振りになったどろろと百鬼丸は、褒美ももらえず仕舞いでした──といったところです。でも、中身濃かったですね。自分の思い込みや予想がどんどん覆されて、最後には百鬼丸の笑顔が見られるなんて! 情報の出し方や視聴者の誘導のしかたがものすごく秀逸で、シナリオに一本取られた! って感じです。

 

重苦しい話が続いた後だけに、今回のハートウォーミングな物語は、とても楽しめました!

 

季節の表現が美しい♪

▲萩の花

 

今回、取り上げたいのは「どろろ」の季節感の表現がとても美しいことです。

 

第1話、どろろと百鬼丸が出会った頃は春ですね。柔らかい緑が美しいです。第2話も青々とした竹林が色鮮やか。これも春ですね。第3話、寿海との別れのシーンは木の葉が舞い散り、百鬼丸はマントとマフラーを巻いています。どうやら秋のようです。

 

第4話は雨の季節。梅雨なのでしょう。回想も梅雨のようで、田之助が戦に出る別れのシーンで紫陽花が咲いていました。第5話と6話は真夏。蝉が鳴いていますね。ヒグラシを鳴かせることで、夕方をあらわしているシーンもありました。田んぼに植えた苗がまだ小さくて、7月末くらいかなぁという雰囲気です。

 

第7話は9月初旬ごろでしょう。萩の花が咲いています

 

日本は四季のどの季節も美しいのですが、それを正しく写し取っているのがとても素敵です。これから寒くなっていきますね。百鬼丸はつぎはぎマントとマフラーがありますが、どろろは何もありません。もう少し着せてあげたいところです。

 

[char no=”1″ char=”あいびー”]北陸の冬は雪が深いので、そんな中を二人がどうやって耐え凌いでいくのか、これからの季節描写も楽しみです![/char]

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