クオリティの高い作品に仕上がっている2019年版テレビアニメ「どろろ」。その制作陣の意気込みが伝わるショードキュメンタリー動画が公開されているので、内容をまとめてお届けします。第1弾は古橋一浩監督×シリーズ構成・小林靖子さんの対談です。



第1弾/「魂の鼓動」古橋一浩監督×シリーズ構成・小林靖子さんの対談

2019年1月より放送のテレビアニメ「どろろ」。手塚治虫の名作であり、1969年に一度テレビアニメ化されているこの作品をリメイクするにあたり、制作陣の意気込みが伝わるショードキュメンタリー動画が公開されています。その内容を集めてお届けします。今回は第1弾です。

 

 

2019年版テレビアニメ「どろろ」の監督を務める古橋一浩さんは、「機動戦士ガンダムUC」「るろうに剣心・明治剣客浪漫譚」などを手掛ける方です。シリーズ構成は、「進撃の巨人」「ジョジョの奇妙の冒険」などを手掛ける小林靖子さん。人気作品をいくつも世に出してきたお二人の新「どろろ」にかける意気込みが対談で語られました。

 

古橋「2019年版「どろろ」ならではの変更点こそが価値につながればいいな!」

古橋「むかしの白黒があるので、どう変えようかなっていうとこらへんは、まずありましたね。似たようなものだと、あんまり存在意義が薄くなってしまうので、変えたとこらへんが価値につながればいいなぁって、思いますね

小林「見て楽しむっていうのとは、ちょっと作品の質として違うんですが。感じてもらえたらいいのかなぁって

古橋「ネタバレになっちゃうかもしれませんが●●●●は使おうっていうのはありましたね」

小林「あーそうか。でも、ネタバレですよね」

古橋「(百鬼丸は)しゃべんない」

小林「しゃべらないですねー」

古橋「原作知ってる人は、そこはものすごい思い切ったとこだろうなぁって思ってもらえるかなー。良かったと思いますよ。今のやり方で。手塚アニメと育ってきちゃったってとこありますよね、アニメーション自体。50年経ったからこそシニア世代とか、そういう人たちも、その年でもアニメーションが見られるような。そういう作品ていうものも、あっていいと思うし。それが手塚作品で実現できたら、もう一番いいんじゃないかなぁっていうのがあるのでしょうかね──」

 

古橋監督の「●●●●」の伏字が気になりますね。この対談は放送開始前に行われているので、原作や旧作アニメとの変更点がすべてネタバレになっちゃう状態。と、いうことは。やっぱり、百鬼丸は本当に目も見えないし耳も聞こえない、声も出せないというところからのスタートにしたという点でしょうか。

 

原作でも旧作アニメでも、百鬼丸はテレパシーのような特殊能力が使えることになっています。そのため最初から、普通に見て聞いて話すことができているように思えます。新作「どろろ」では、その特殊能力をほとんど封じて、ぼんやり「魂の炎」が見えるだけという設定にしてあります。

 

これ、確かに思い切った変更点ですよね。話の作りこみがとても面倒くさくなりそうです。でも、おかげで格段にリアリティが増しました! 妖怪が出てくるので、「どろろ」はジャンルでいえば「ファンタジー」になるのですが、そういったファンタジー要素があるからこそ、他の部分でリアリティを作りこんでいって地に足のついたしっかりした印象をもたせてほしいですよね!

 

この思い切った変更点は、とてもうまく機能していると思います!

 

──と、いうことは。伏字になっている部分は「魂の炎」・・・かな?

 

小林靖子さんは「見て楽しむっていうのとは、ちょっと作品の質として違うんですが」と話していますね。いやいやいや。作画もアニメーションもすごくいいから「見て楽しむ」部分はありますがやはり手塚作品ですから、テーマ性の深さを感じさせるものでなくてはいけない。だから「感じてもらえたらいいのかなぁって」という発言につながったのでしょうね。

 

そこは、小林靖子さんの腕の見せ所です。視聴者のさまざまな感情を呼び起こし、深く考えさせる──そんなすぐれた文学作品のようなシナリオに仕上げてくれることでしょう! 第7話まで進んだ今までのところ、とても素晴らしいものになっていると思います。今後も期待したいですね!

 

とにかく、人生経験豊かなシニア世代をもターゲットに置いた、ウソのないしっかりとした作品にしようという心意気にあふれています!

 

小林「現実のハードな部分も隠さず描きたい!」

小林「できれば全世代観ていただけたら、ほんとにいいとは思うんですけど。その割には少しハードな描写もあるにはありますが。わたし、そこはあんまり隠さなくてもいいかなと思っているので

古橋「現実ってハードですもんね。少量の毒って薬になるわけじゃないですか。子どもに見せていいもの、隠しちゃいけないものってあるはずですけどねぇ

小林「言われる前から自制するっていう風潮が、あるので

古橋「じゃ、どこで子どもは、世の中のそういう部分、不条理だなんだみたいなものを知るのかって話で。それがアニメであってもいいと思うんですよ、わたしは。今の映像作品、想像力を喚起しない気がするんですよ。なるべく想像力を育む作品を作りたいなと」

 

 

小林靖子さんといえば、けっこう心をえぐる感じの作品が際立っていますが。今回の「どろろ」でも、現実にある不条理や辛さをそのまま描く覚悟でいるようです。原作者の手塚治虫さん自身がそうですよね。ふんわりまとめて口ざわりのいい作品にしようという気があまりない。(もちろん、作品によりけりですけど)。辛い現実をつきつけて、そこから読者にどんな感情を呼び起こさせるか。多くの作品にはいつも問題提起が込められていて、だからこそ手塚漫画は、何度読み返しても新しい発見があります。

 

手塚治虫さんと小林靖子さんのコラボは、なかなか相性が良いと思います。手塚作品の本質を失わず、より現代にマッチした形に昇華してくれていると思います。

 

「どろろ」は、観て、感じて、考えさせられる作品。

古橋監督のラストの言葉「なるべく想像力を育む作品を作りたいな」というのは、描かれている物語から、それぞれの視聴者が何をつかむか。観終わった後に、何を想うか。そこを大切にしたいと語っているのだと思います。「どろろ」は、心を育む作品でありたいという想いで作られているのですね。

 

「どろろ」を視聴した海外のリアクターさんの動画をよく観るのですが。視聴後にさまざまなことに思いをはせて熱く語っている方をよく見かけます。あるときは「命の重さ」について。「正義」について。作品に描かれている「鬼」とは何か。「人間とは何か」について。そういった哲学的命題に想いを巡らせ、自らの経験を踏まえて感想を述べているのですね。

 

「どろろ」はワクワクする冒険や、主人公の爽快な活躍を楽しむようなその場かぎりのエンターテイメント作品とは一線を画しているのが、海外の方にもビンビン伝わっているようです。とくに海外ではまだまだ「アニメ=子どものためのもの」という認識でしょうから、暗く重い世界観や深いテーマ設定、これまでのアニメではありえないような描写に驚きを隠せない様子の方が多くいます。「どうして子どもが・・・だって、これアニメでしょう!?」なんて、眉をひそめる方もたくさんいます。

 

それでも放心したり、涙にくれたり、思わず拍手したりした後に語らずにいられないという様子で10分も20分も熱く語っている彼らを見るにつけ、制作陣の熱意は国を問わず伝わっているのを感じます。

 

あいびー

もちろん日本人にとっても、新「どろろ」はとてもエキサイティングです。心に重い球を投げ込んできます。しっかりキャッチし、考える糧にしていきたいですね。こんな良作に出会えて、とても嬉しく思います。制作陣のみなさま、本当にありがとうございます!

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