「人類最強の頭脳派エルヴィンvs巨人の頭脳戦は見逃せない!」。TVアニメ「進撃の巨人」シーズン3、第2クール第51話「雷槍」の感想と考察を、詳細あらすじとともにお届けします。圧倒的な力をもつ巨人と人類の果てしない戦いを描いた人気アニメ「進撃の巨人」。【注意】完全ネタバレです!



第51話/戦局を読み兵を動かすエルヴィンvs巨人サイドの頭脳戦が見もの!

▲ギザ歯に尖った耳の「獣の巨人」 出展/TVアニメ「進撃の巨人」公式

 

#51

「雷槍」

 

エレンの家の地下室に眠るグリシャ・イエーガーが残した巨人の真実を手に入れるため、いよいよ調査兵団はウォールマリア奪還作戦を敢行。まず、エレンが2ヵ月かけて習得した硬質化能力を使い、ウォールマリアから南に突出したシガンシナ区の外門を塞ぐことに成功する。

 

続いてシガンシナ区とウォールマリア領をつなぐ内門も塞ごうとしているところで、突如、壁の中からライナーが現れ巨人化した。

 

シガンシナ区に現れたライナーの「鎧の巨人」は、両手足を硬質化し、さらに爪の先を獣のように尖った形に変形させてウォールマリアに突進してくる。爪を壁に突き立てながら、50mの高さがあるウォールマリアをよじ登ろうというのだ。

 

エルヴィン「総員、鎧の巨人との衝突を回避する。ヤツに近寄るな!」

 

ウォールマリアの上、シガンシナ区とウォールマリア領内を結ぶ内門近くには、リヴァイ班、ハンジ班ら調査兵団の面々が、エルヴィン団長の指示を固唾を飲んで待っている。

 

壁の上の調査兵団をウォールマリア領内で遠巻きに取り囲んでいるのは、「獣の巨人」を中心にした無数の巨人の群れ。こちらも「獣の巨人」の指示待ちのようだ。

 

エルヴィンは「獣の巨人」の隣にいる背中に箱を載せた4足歩行の巨人に目を留める

 

エルヴィン(あの4足歩行型、荷物を運ぶ鞍がある。先ほど一斉に巨人化した者ではないな。だとすれば、あれが敵の斥候か。我々の接近にいち早く気付き、ライナーらに伝えた。と、するなら・・・)「あの4足歩行型の巨人は、知性をもった巨人だ。いや、もっといてもおかしくない」

 

そのとき「獣の巨人」が動いた。長い右手を振り上げ、強烈に地面に叩きつけたのだ。それを合図に、小型の(2~3m級の)巨人たちが一斉に走り出した。

 

今回の見どころは「エルヴィン vs ライナー&獣の巨人 の戦況を読み打開する戦術を編み出す力と速さの勝負」です! 要は頭脳戦!

▲ウォールマリア領内から調査兵団を包囲する巨人たちの布陣

 

まずは突然姿を現した巨人側の動きや布陣から、ヤツらがどんな作戦を企てているのか、人類最強ともいえる頭脳の持ち主エルヴィンが考察する。タイムリミットは「鎧の巨人」が壁の頂にたどり着くまで。

 

エルヴィン(ウトガルト城の襲撃のときと同じく、ヤツがまず狙うのは馬。敵の主目的はエレンの奪取であるが、そのためにまず、我々から撤退の選択肢を奪う。依然、巨人の領域であるウォールマリア領から我々が馬なしで帰還する術はない。馬さえ殺してしまえば、退路を閉鎖するだけで、我々の補給線は絶たれる。1週間でも1ヵ月でも、動ける者がいなくなるまでただ待てばいい。敵は交戦のリスクを冒すことなく、虫の息となったエレンを奪い去ることができるのだから。まさに今、敵の大型巨人が隊列を組んで動かないあたり、それ自体が檻の役目を担う物だと確信できる。)

 

アルミン「団長、鎧の巨人がすぐそこまで! それにベルトルトがまだどこにいるか・・・」

 

エルヴィン(何より今、危惧すべき課題は、ライナーとベルトルトに成す術なく馬を殺されることか。ならば──)「ディルク班およびマレーネ班は、内門のクラーク班と共に馬を死守せよ。リヴァイ班ならびにハンジ班は、鎧の巨人を仕留めろ。各班は指揮の元、雷槍を使用し、なんとしてでも目的を果たせ。今このとき、この一戦に、人類存続のすべてがかかっている。今一度、人類に心臓を捧げよ!」

 

エルヴィンの下した判断は、巨人側の作戦は馬を奪い調査兵団を壁の上に足止めすること。そうすれば巨人たちはこちらが衰弱するまでただ立っていればいい。兵糧作戦を仕掛けてきたと分析した。

 

その上で彼が調査兵団に命じたのは、ひとつはウォールマリア領内の馬を巨人から守る部隊、もうひとつはエレンを守りつつ「鎧の巨人」を倒す部隊に兵団を二分して戦う作戦。

 

指示に従い散会しようとするリヴァイとアルミンをエルヴィンは呼び止める。

 

エルヴィン「待て、リヴァイ、アルミン。リヴァイ班と言ったが、おまえだけはこっちだリヴァイ」

 

リヴァイ「オレにエレンではなく馬を守れと?」

 

エルヴィンそうだ。そして隙を見てヤツを討ち取れ。獣の巨人は、おまえにしか託せない

 

リヴァイ「了解した。さっき鎧のガキ1匹殺せなかった失態は、そいつの首で埋め合わせるとしよう」

 

馬を守れと言われたときにはやや不服そうな顔をしたものの、「獣の巨人」を討ち取れと言われてリヴァイはがぜんやる気になったらしい。素早い動きで立体軌道装置をふかし、ウォールマリア領内に飛び去った。

 

エルヴィン「アルミン、鎧の巨人用に作戦がある。人類の命運を分ける戦局のひとつ。その現場指揮は、ハンジと君に背負ってもらうぞ

 

おぉ! ライナーを壁の中からあぶりだした功績もあり、いよいよアルミンへの信頼が厚くなってきましたね。ハンジと共同とはいえ、重要な作戦の指揮に任命されました!

 

今度はライナーがエルヴィンの作戦を読む!

 

ようやく壁の頂に到達したライナーの「鎧の巨人」は、ウォールマリア領内につないである調査兵団の馬の位置を確認。

 

ライナー(あの馬を殺してここから離れる、それだけでいい)

 

やはり、エルヴィン団長の読みは正しかったようです。馬を殺して調査兵団の足を奪い、壁の上から動けなくして兵糧攻めにしようというのが巨人側の作戦です。巨人側というか、正しくは「獣の巨人」の中の人の作戦ね。ライナーたちは彼を「戦士長」と呼んでいます。

 

ライナーが馬の方に向かおうとしたそのとき、シガンシナ区側に金色の稲妻が光った。巨人化の光だ。「エレン巨人」が姿を現した。

 

さぁ、ここから先のエルヴィンの作戦。読めるかなライナー?

 

ライナー(エレン! なぜ自分から姿を現した。オレたちの目的がおまえの存在であることはじゅうじゅう承知のはず。いったい何のつもりだ?)

 

戸惑うライナーを無視して、「エレン巨人」はシガンシナ区外壁に向かって走り出す。

 

ライナーまさか南から壁を越えて逃げるつもりか。ヤツ一人なら巨人の力でトロスト区まで逃げられる。そうなっては、オレたちがここに留まって戦う理由もなくなる。ここで調査兵団を壊滅させることはできても、2カ月で硬質化を身に着けてきたヤツを再び壁内に戻すのはまずい。ヤツが完全な「座標」の力を身に着けた後では手遅れだ──いや、まて、おかしい。本当に逃げるつもりなら、立体軌道で東か西の壁を伝った後に巨人化するべきだ。なぜわざわざ壁に囲まれたシガンシナ区の中で巨人化する? ──そうか、ヤツらの狙いは、オレの目標を馬からエレンに移すことか!

 

壁の上に一人立ち尽くしているエルヴィンと、同じく壁の上にいるライナーの「鎧の巨人」はしばし視線を交錯させる。

 

ライナーはすべての作戦を立て指示しているのがエルヴィンだと知っています。今、目の前に立っているエルヴィンが何を考えているのか、その頭の中身が知りたくてたまらないことでしょう。しかし、そう悠長に構えている暇はありません。こうしている間にも、エレンが逃げてしまいます!

 

「考える時間もくれないってわけですか!」と捨て台詞を吐き、「鎧の巨人」は「エレン巨人」を追いかけ登ったばかりのウォールマリアを降りて行く。

 

エレン「よし、食いついた!」

 

エルヴィンの作戦はこう!

▲エレン一人なら、巨人化して単独行動が可能

 

エルヴィンの作戦はこうです。

 

まず「鎧の巨人」が馬を襲うのを阻止するため、馬のいるウォールマリア領内ではなくシガンシナ区内でエレンが巨人化する。つまりエレンは馬を守るための囮。ここから先は、「鎧の巨人」の動きに合わせて2つの作戦が立てられています。

 

作戦1/「鎧の巨人」がエレンを追えば、リヴァイ班(ただしリヴァイは別行動のため分隊長はアルミンが務める)とハンジ班で「鎧の巨人」を倒す。

 

作戦2/「鎧の巨人」がエレンを無視して当初目的の通り馬を襲えば、エレンはシガンシナ区から外を経由してウォールマリア領内に入り、「獣の巨人」を背後から襲う。正面から攻撃してくるリヴァイと背後から襲うエレンの巨人で「獣の巨人」を挟み撃ちにする。

 

つまり、どちらの行動を取るにしても対策は考えてあるのです。とりあえず「鎧の巨人」は「エレン巨人」を追ったので、調査兵団が取るべき行動は 作戦1 です。

 

ハンジ「よし、鎧をシガンシナ区内で迎え撃つぞ!」

 

さっそく「鎧の巨人」討伐に動こうとするハンジをアルミンが呼び止める。

 

アルミン「待ってください! もう一つ危惧すべきことが。ベルトルトがまだどこかに潜んでいます。前回エレンはライナーをあと一歩のところまで追い詰めましたが、ベルトルトの強力な奇襲を受け、連れ去られるに至ったのです。単純な対策ですが、壁から離れた位置で戦いましょう!」

 

ですよね! まだ居場所が分からないベルトルト(超大型巨人)の行方が気になります。確かに超大型巨人は巨大ですが、もしかしたら巨大すぎて壁に手をついた状態でなければ2本の脚で立ち上がることもできないのかも知れない。自力で立っているところも歩いているところも見たことがないしね。

 

だとすれば、壁から離れた場所で戦えばベルトルトに邪魔される心配は少なくなる。アルミン分隊長(仮)さすが!

 

「エレン巨人」vs「鎧の巨人」

 

エレンは自らの巨人の手を硬質化。突進してきた「鎧の巨人」を巧みに避け、その顔面に拳を叩きつける!

 

エレン「おまえには、ここがどこだか分かるか? ここはオレの、オレたちの、故郷があった場所だ! 取り返してやる、おまえらをぶっ殺して! おまえらに奪われたすべてを!」

 

いよいよ「エレン巨人」と「鎧の巨人」の戦いが始まりました。このダイナミックな戦闘は「進撃の巨人」の華ですよね! 巨人同士の戦いは武器を使わない肉弾戦なので、頼みは自身の拳と格闘術。

 

エレンの硬質化した拳の威力は絶大で、「鎧の巨人」の鎧を簡単に砕いた。エレンは前回もう一歩のところまで「鎧の巨人」を追い詰めていたので、今回はかなり自信ありげだ。

 

「エレン巨人」の足をつかんでぶん投げる「鎧の巨人」。ガラガラと派手に瓦が飛び散る。さらに「鎧の巨人」は「エレン巨人」の片足をつかんだまま逆さづりに引っ張り上げ、頭から地面に叩きつける! その拍子に地面にメリメリと亀裂が走り──。

 

いや~ダイナミックですね~! しかし、ここはエレンの故郷。そんなことしてエレンの家の地下室が潰れやしないかとヒヤヒヤします。

 

 

現在公開可能な情報

雷槍

頑強な装甲をもつ鎧の巨人に対抗するため、中央憲兵が隠し持っていた技術を導入して開発した武装。取り回しに難はあるものの、衝撃を一点に集中させ、落雷のごとき威力を発揮する。

 

 

エレン巨人と鎧の巨人が盛大に街を破壊しながら戦っている周りを、ハンジ班とアルミン率いるリヴァイ班は立体軌道装置でハエのように飛び交っている。彼らは、絶好の機会を狙っていた。調査兵団の剣は鎧の巨人に無力だったので、新たな兵器を用意していたのだ。名づけて「雷槍」。

 

ライナー「やはりオレひとりでは、エレンをかじりとるまでは至らないか。もはや、この手を使うしか・・・」

 

ライナーが何かをしようとしたそのとき、ハンジの「今だ!」の叫びとともに、2本の雷槍が「鎧の巨人」の両目を捕える。打ち込まれた雷槍は、落雷のような音を発しながら「鎧の巨人」の目の奥で炸裂。たまらず苦しみの雄たけびを上げる「鎧の巨人」。

 

ハンジ「今ここで、決めるしかない!」

 

すかさず第2波GO! 今度は8本あまりの雷槍が同時に「鎧の巨人」のうなじに打ち込まれる。ワイヤーを引き瞬時に調査兵たちが撤退した直後に雷槍は「鎧の巨人」のうなじの奥で同時に炸裂! 操作するライナーに強烈なダメージを与える。

 

「やったぞ、効果ありだ。うなじの鎧がはがれかけている!」。そう叫んだのはコニーか?

 

ハンジ「もう1度だ、もう1度雷槍を打ち込み、とどめを刺せ!」

 

ハンジの言葉に息を飲むコニーとサシャ。さらにミカサにアルミンにジャンも。同じ104期生として入団したライナーにとどめを刺すことに躊躇の色を見せる。つかの間の迷いを断ち切るようにジャンが叫ぶ。

 

ジャン「おまえら、こうなる覚悟は済ませたはずだろう?! やるぞー!」

 

ジャンの言葉に頷く104期生たち。意を決し一斉に「鎧の巨人」に飛び掛かり、うなじめがけて雷槍を叩きこむ! 確実にうなじを捕えた雷槍は、ライナーのすぐ側で同時に炸裂し──。

 

ついに、ついに調査兵団は、敵勢力の重要な一角「鎧の巨人」を倒したのか?!

 

エルヴィンの望みはただ一つ

 

調査兵団の面々が死闘を繰り広げている間、一人ウォールマリアの上に立つエルヴィンは、戦局を観ながら感慨にふけっている。

 

エルヴィン(訓練兵時代は、よく自分と父が考えた仮説を仲間に話していた。調査兵団に入ってそれを証明してみせると。だが調査兵団になったとたん、なぜか誰にもその話をしなくなった。いや、違う。なぜかではない。わたしは気づいていた。わたしだけが自分のために戦っているのだと。わたしだけが自分の夢を見ているのだと。いつしかわたしは部下を従えるようになり、仲間を鼓舞した。人類のために心臓を捧げよと。そうやって仲間をだまし、自分をだまし、築き上げた屍の山の上にわたしは立っている。それでも脳裏にチラつくのは地下室のこと。この作戦が失敗しても、死ぬ前に地下室に行けるかも知れない。グリシャ・イエーガーが残した地下室。世界の真相に)

 

エルヴィンは、優れた指揮官ではあるが、巨人と戦うその目的は人類の未来のためなどではなかった。彼の父が立てた「我々の記憶は、王政の都合のいいように改ざんされているのではないか?」という仮説を証明することが第一の目的だった。

 

エルヴィンの父親は教師で、幼い日のエルヴィンは教室で父にこの世界の真実に迫る質問を投げかけた。教壇で王政を批判するような仮説を言うことははばかられるので、父は家に帰ってからエルヴィン一人だけに自分の立てた仮説を打ち明けた。子どもだったエルヴィンは父の仮説を皆に言いふらし、やがてそれが中央の目に留まり──数日後、父は遺体で発見された。父は王政の刺客に殺されたのではないか? エルヴィンは長い間、そう疑っている。

 

かつてエルヴィンが犯してしまった愚かな行動と父の死の真相をあばくために。この世界の真実を知り、父の仮説を立証することだけが彼を戦いへと突き動かす原動力となっていた。

 

それがエルヴィンの偽りのない気持ちであり、同時に仲間に対するうしろめたさでもあった。巨人に片腕を食いちぎられ、クーデター前には厳しい拷問を伴った尋問を受けていて、彼はもう満身創痍だ。それでも、今回の作戦は別の人間が指揮をし、エルヴィンは療養していた方がいいというリヴァイのなかば脅しのような提案を退け、彼は今ここに立っている。

 

おそらく──ここが彼の死地となるのでしょう。

 

もしも父の仮説が正しければ、父を死に追いやったのは子どもの頃のエルヴィンが周りに吹聴して回ったことが原因。遠回しにエルヴィン自身が父を死なせてしまったのだ、と知ることになります。それでも知りたいのか──いや、だからこそ知りたいのか──。きっとそんな宙ぶらりんな状況では、どんな気持ちで父の墓前に手を合わせていいのか気持ちのやり場に困るだろうから・・・。

 

[char no=”1″ char=”あいびー”]調査兵団はついに「鎧の巨人」を倒したのか? 「獣の巨人」の次なる一手は? リヴァイは「獣の巨人」を捕えることができるのか? エルヴィンの望みは達成されるのか? 次回#52「光臨」[/char]

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